これまでNinja-320/400で12年ほどを掛けて約5500天体を観望してきました。その中でも見栄えのする約10%に相当する568天体を厳選しました。日本(関東/東海地区)から見えない天体を除くと490天体が相当します。
その天体を参加者の皆さんで観望して、メジャー天体だけでなく準メジャー天体も楽しみながら皆さんで品評会を行おうというイベントを以下のバックヤードプロダクツオフ会の中でやってみようと思います。普段見れない天体も見れると思いますし、皆さんで同時にいろんな望遠鏡での見え方を楽しむことも出来ると思います。ご自身のレパートリーを増やしたり、自分なりのお気に入り天体も見つかるかもしれません。
●日時: 2008/9/27(土) 20:00~4:00
●場所: 富士山富士宮口バス駐車場
●目的: 参加者でDeepSky天体を見て評価して楽しむ
●方法:
・添付のCHARTとLISTを事前に参加者に配ります
・LISTは私が約10年間で見た北天約5000天体の中で、見栄えがする490天体をセレクトしたものです
・CHARTはLISTだけでは位置が分からないので45度の視野の星図です
・私もしくは關さん、他の方でも構いませんがレーザーファインダを付けて天体を順に導入します
・参加者はそのレーザーファインダーを目印に天体を導入します
・参加者でそれぞれ5段階(5~1で5が良い評価)で自分なりの尺度で評価します
・評価はどれだけ素晴らしいか、どれだけ美しいかなどなど自由です
・目安ですが3~5分くらいで一つの天体を導入して参加者の皆さんで楽しみながら評価します
・快晴の場合、5,6時間やれれば100天体は見れるでしょう
・観望/評価が終わればCHARTもしくはLISTを提出していただき私のほうで集計します
・いただいたCHARTもしくはLISTはスキャンしてフィードバックします
・集計したものは、ネット上で公開します
・ランキングをつけるも良し、何回か繰り返して1年分を評価して厳選100天体を個人の分、皆さんの分を含めて公開して楽しめればと思ってます。
・もともとドブソニアンの集まりでもあるので、機材は十分揃ってますので有効な評価になるのではないでしょうか。もちろん小口径でも屈折での評価も別の視点で面白いと思います。
●観望の場所:
バス駐車場の奥のほうでやります。参加を希望の方は事前にこのブログへのコメントなどでご連絡をお願いします。資料をプリントアウトして用意します。
●厳選天体リストExcel(全天版/日本から見える天体版)
ExcellentDSO.xlsをダウンロード
ExcellentDSO-North.xlsをダウンロード
●厳選天体リストPDF(全天版/日本から見える天体版)
ExcellentDSO.pdfをダウンロード
ExcellentDSO-North.pdfをダウンロード
●バックヤードオフ会で使用する星図(視野45度)
CHART.pdfをダウンロード
おおいぬ座τの周りを囲むように集まっている散開星団がNGC2362です。こじんまりとしていますが、星数は60個を数え4.4等のτを囲み、なかなか賑やかな様子で見れます。あたかもτを中心にした線香花火のように見えてきます。τもこの星団に属していてO型の巨星であり、周りの星団を構成する星々も青色巨星です。恒星の並びとしては三角おむすびのように見えています。
Ninja-400でこの星団を見ると倍率が高くなりすぎて、ちょっと興ざめですが、短焦点屈折で見るとτの周りに三角形のように微光星が集まり見事な眺めです。特に双眼望遠鏡での低倍率だと天の川に近いために星々の賑わいの中で、ひときわ目立ちます。倍率として30倍程度がお勧めだと思います。
ガム星雲は全景はとても大きく写真では、大きさは40°X90°にも及びます。そのスケールは、ほ座、りゅうこつ座、とも座という昔で言えばアルゴ座全体に広がっています。ガム星雲は約11,000年前に、ほ座に出現したと考えられる超新星の残骸です。太陽系に近い位置で爆発したために、大きく広がって見えます。距離は1,000光年なので超新星としては抜群に明るかったハズです。
私がこの星雲(Gum12)を初めて見たのは、4年ほど前の晩秋の富士山新五合目ででした。通常富士山新五合目は沼津市、富士市などの光害が酷く、南天の低空は諦めモードなのですが、確か11月の寒い日だったと思いますが、透明度が異常に良く、カノープスが1等星くらいに見えていました。ひょっとして見えるのではないかと思い、Ninja-400にOIIIフィルタをプラノキュラーに付けて有効最低倍率にして探してみたところ、GSC7670:866(PPM313335)という4.1等級の恒星の近くでなにやらボーッとした横に延びた本当に淡い天体が見れました。DSSの写真ではその星は左上に明るく写っています。このときは条件は良かったのですが、私独りで見ていたためガム星雲が見えたことをなかなか信じてもらえなかったかもしれません。
次にガム星雲を見たのはオーストラリアのクーナバラブランででした。最初はNinja-320で次にNinja-400で明らかにフィラメントが延びた姿を見ることが出来ました。ただ如何なオーストラリアでもノーフィルタではまったく分からず、OIIIフィルタが必須となります。
目印の恒星から長く延びたフィラメントを5°程度追うことが出来ました。さらに分岐したり複雑な様子が見れました。
さらに2006/2/4には、南伊豆でもかなり長く延びた姿を見ることが出来ました。網状星雲と比較するとかなり淡く、OIIIフィルタを付けて見たガム星雲は、ノーフィルタで見た網状星雲よりも若干淡い感じでしょうか。それも年に数回あるかないかの、かなり南天の透明度が良いときなので難物には変わりません。
ガム星雲は巨大なので、他の場所も見えるのだと思いますが、どうもこの場所が一番濃そうです。フィラメントも長いですね。
黒目銀河M64はかみのけ座銀河群に属しています。Mel 111からちょっと離れた場所にありますが、5等星のかみのけ座35番星の傍にあり、M64が明るいため簡単に導入することが出来ます。
黒目と呼ばれるのは中心部の目立つ暗黒帯が、瞳の様に見えるためで、この黒目を見るためには口径30cmクラスの望遠鏡は必要になります。またシーイングの影響も受けやすく、黒目を分離するためには平均以上のシーイングは必要だと思います。
アメリカでは目を半分開けている様子から"Sleeping Beauty Galaxy"眠れる森の美女銀河と呼ばれています。発想が柔軟ですね。
この銀河はおとめ座銀河団に属し、銀河系から1600万光年離れています。距離についてはドップラー効果から算出されていると思いますが、カタログ等でかなり幅があります。
銀河の大きさとしてはメシエ天体では2番目になる大きな銀河です。ちなみに一番大きな銀河はM77となっています。M64はローカルグループに近い銀河と考えられます。1990年代には、この銀河で注目すべき発見があり、銀河の外側のガスが内側のガスとは反対方向に回転していることが分かったとのことで、これが特徴的な黒目の原因になっているようです。約10億年前に伴銀河がM64と衝突することにより逆方向の流れが生じたと考えられています。またこの銀河は星生成が活発な銀河としても知られていて(Star formming)、伴銀河と衝突した影響かもしれません。
Ninja-400では渦巻までは分かりませんが、M64の中心核とそれを囲むように見える暗黒帯が見事です。かなり暗黒帯は小さく見えますが、全天でも中心近くに暗黒帯が見える銀河はかなり特異ですね。Ninja-320でも空がよければ暗黒帯はハッキリ分かります。DSS(Digital Sky Servey)の写真では中央部が露出過多で潰れていて暗黒帯が見えていません。
おうし座とふたご座の境界あたりにある非常に大きな超新星残骸です。Siemeis 147としてもカタログされています。直径は3度もあり、かなり広がっており、写真でもかなり淡い天体になります。約10万年前に爆発した超新星の残骸が広がっている姿で、広がりは150光年にもなっているそうです。ちなみに距離は3,000光年で網状星雲の約2倍ほど離れていて、実直径は3倍ほどです。
写真では不思議な天体でまさか眼視では見えないと思っていました。ただ昔、米国の天文雑誌のSky & Telescopeでスケッチを見た記憶があり、いつかは一部だけでも見てみたいと思っていました。日本ではほぼ天頂付近を通過するため条件は良いハズです。
そこで最高の透明度の夜に南伊豆でこの星雲をNinja-400でチャレンジしてみました。DSSの写真で少しでも濃い部分を狙ってMegaStarの星図と照らし合わせながら、探してみるとかろうじて淡く見える部分を発見。もちろんノーフィルタではまったく分かりません。
プラノキュラー30mmとOIIIフィルタの組み合わせで瞳径7mmとして、かろうじて分かりました。Sky-90でもなんとなくあるような感じですがこれは自信はありません。Ninja-400でかわのさんにも見ていただき、なんとなく星雲状のものがあるのは感じるとのこと。場所はSH2-240でも写真から濃いと思われるGSC1873:935のあたりとGSC1874:453のあたりです。もう見えるというより感じるというほど淡いものでした。DSSでの中心部分は一番濃い部分と思われて眼視でとても淡いながら確認できた部分です。DSSの写真では一番右上の部分も恒星の周りで不均一に光芒が広がっていることから、たぶん星雲だろうと考えています。
決して心眼のつもりではないので、どなたかの追試をお願いしたいところです(^^)/
当日の夜は透明度9/10もしくは10/10というかなり良い空で、この天体に限らずメジャー物はすべて最高の見え方をしていました。瞳径で7mmが使える環境ってオーストラリア以来でした。対日照がふたご座の真ん中あたりに見え、黄道帯が薄っすら分かるという空でした。至福の時間ですね。
DSSでのSH2-240
あまりに大きく全体は直径3,4度もあります。
わし星雲(Gum 1)は天体写真で有名な散光星雲です。おおいぬ座シリウスの北東7度ほどのところにあります。日本ではわし星雲でわしが羽を広げた姿だとしていますが、アメリカではSeagull Nebulaと呼ばれています。
距離は1820光年で、HII領域が光っています。そのためかHβフィルタで見ると、一番濃く見えます。Sky-90にプラノキュラー30mmの組み合わせると、わしの頭部は淡いのですが、羽と胴体の部分はかなり広がってみえます。OIIIフィルタでも見えますが、バックが暗くなりすぎてHβフィルタのほうが広がりを感じます。バーナードループの明るさより若干明るく感じます。
Ninja-400では全体が淡すぎて、また星数が多すぎてバックの輝きが星雲かどうか見極められませんでした。ただしIC2177の一番南部にあるIC2177の丸い部分はOIIIフィルタやUHCフィルタでハッキリ見ることができます。
DSSによるIC2177