2006-02-26

うみへび座の巨大銀河M83

オメガ星団やケンタウルスA(NGC5128)が南中する頃、ちょうどその北にはM83が見えています。うみへび座とケンタウルス座の境界付近にあり、メシエ天体では最も南に位置する天体です。南中高度は25°で決して高度は高くないのですが、透明度の高い夜には見ておきたい天体です。

M83は棒渦巻銀河と渦巻銀河との中間状態である銀河とされていてSAB(s)cに分類されています。距離は1500万光年であり、M83グループという銀河群に属しており、M83グループはケンタウルスAと共に16個ほどの銀河で構成されています。属している銀河は以下のものがあります。NGC 5253,NGC 4945, NGC 5102, NGC 5164, NGC 5408, ESO 381-20 (MCG-6-28-017; 1243-33), ESO 324-24 (MCG-6-30-003; 1324-41), ESO 444-84 (MCG-5-32-000; 1334-27), ESO 325-11 (1342-41), ESO 383-87 (MCG-6-30-025; 1346-35)

M83は南天の回転花火(Southern Pinwheel)と呼ばれていて、サイズも0.2°の広がりがあり、見ごたえがあります。特にオーストラリアでは天頂付近に見えるため、銀河の濃さもかなり高く、腕の見え方も含め、本家のM101を凌いでいます。Ninja-400では溜息が漏れるくらいの素晴らしさで、またフェイスオンの円形が見事です。銀河としての見ごたえはM81クラスなので、場所がわかりにくいことや、南天低いために見逃しがちですが、チェックはしておきたいですね。

・M83        8.2等

DSSでのM83
M83

2006-02-21

線香花火状星団NGC2362

おおいぬ座τの周りを囲むように集まっている散開星団がNGC2362です。こじんまりとしていますが、星数は60個を数え4.4等のτを囲み、なかなか賑やかな様子で見れます。あたかもτを中心にした線香花火のように見えてきます。τもこの星団に属していてO型の巨星であり、周りの星団を構成する星々も青色巨星です。恒星の並びとしては三角おむすびのように見えています。

Ninja-400でこの星団を見ると倍率が高くなりすぎて、ちょっと興ざめですが、短焦点屈折で見るとτの周りに三角形のように微光星が集まり見事な眺めです。特に双眼望遠鏡での低倍率だと天の川に近いために星々の賑わいの中で、ひときわ目立ちます。倍率として30倍程度がお勧めだと思います。

DSSでのNGC2362
Ngc2362

2006-02-20

南天で巨大なガム星雲

ガム星雲は全景はとても大きく写真では、大きさは40°X90°にも及びます。そのスケールは、ほ座、りゅうこつ座、とも座という昔で言えばアルゴ座全体に広がっています。ガム星雲は約11,000年前に、ほ座に出現したと考えられる超新星の残骸です。太陽系に近い位置で爆発したために、大きく広がって見えます。距離は1,000光年なので超新星としては抜群に明るかったハズです。

私がこの星雲(Gum12)を初めて見たのは、4年ほど前の晩秋の富士山新五合目ででした。通常富士山新五合目は沼津市、富士市などの光害が酷く、南天の低空は諦めモードなのですが、確か11月の寒い日だったと思いますが、透明度が異常に良く、カノープスが1等星くらいに見えていました。ひょっとして見えるのではないかと思い、Ninja-400にOIIIフィルタをプラノキュラーに付けて有効最低倍率にして探してみたところ、GSC7670:866(PPM313335)という4.1等級の恒星の近くでなにやらボーッとした横に延びた本当に淡い天体が見れました。DSSの写真ではその星は左上に明るく写っています。このときは条件は良かったのですが、私独りで見ていたためガム星雲が見えたことをなかなか信じてもらえなかったかもしれません。

次にガム星雲を見たのはオーストラリアのクーナバラブランででした。最初はNinja-320で次にNinja-400で明らかにフィラメントが延びた姿を見ることが出来ました。ただ如何なオーストラリアでもノーフィルタではまったく分からず、OIIIフィルタが必須となります。
目印の恒星から長く延びたフィラメントを5°程度追うことが出来ました。さらに分岐したり複雑な様子が見れました。

さらに2006/2/4には、南伊豆でもかなり長く延びた姿を見ることが出来ました。網状星雲と比較するとかなり淡く、OIIIフィルタを付けて見たガム星雲は、ノーフィルタで見た網状星雲よりも若干淡い感じでしょうか。それも年に数回あるかないかの、かなり南天の透明度が良いときなので難物には変わりません。

ガム星雲は巨大なので、他の場所も見えるのだと思いますが、どうもこの場所が一番濃そうです。フィラメントも長いですね。

DSSでのガム星雲(Gum12)
Gum

2006-02-12

黒目銀河M64

黒目銀河M64はかみのけ座銀河群に属しています。Mel 111からちょっと離れた場所にありますが、5等星のかみのけ座35番星の傍にあり、M64が明るいため簡単に導入することが出来ます。
黒目と呼ばれるのは中心部の目立つ暗黒帯が、瞳の様に見えるためで、この黒目を見るためには口径30cmクラスの望遠鏡は必要になります。またシーイングの影響も受けやすく、黒目を分離するためには平均以上のシーイングは必要だと思います。

アメリカでは目を半分開けている様子から"Sleeping Beauty Galaxy"眠れる森の美女銀河と呼ばれています。発想が柔軟ですね。
この銀河はおとめ座銀河団に属し、銀河系から1600万光年離れています。距離についてはドップラー効果から算出されていると思いますが、カタログ等でかなり幅があります。
銀河の大きさとしてはメシエ天体では2番目になる大きな銀河です。ちなみに一番大きな銀河はM77となっています。M64はローカルグループに近い銀河と考えられます。1990年代には、この銀河で注目すべき発見があり、銀河の外側のガスが内側のガスとは反対方向に回転していることが分かったとのことで、これが特徴的な黒目の原因になっているようです。約10億年前に伴銀河がM64と衝突することにより逆方向の流れが生じたと考えられています。またこの銀河は星生成が活発な銀河としても知られていて(Star formming)、伴銀河と衝突した影響かもしれません。

Ninja-400では渦巻までは分かりませんが、M64の中心核とそれを囲むように見える暗黒帯が見事です。かなり暗黒帯は小さく見えますが、全天でも中心近くに暗黒帯が見える銀河はかなり特異ですね。Ninja-320でも空がよければ暗黒帯はハッキリ分かります。DSS(Digital Sky Servey)の写真では中央部が露出過多で潰れていて暗黒帯が見えていません。

ハッブル宇宙望遠鏡によるM64

DSSによるM64
M64


りょうけん座の見ごたえあるダブルダブル銀河NGC4631,4656

りょうけん座にある見ごたえのある銀河群です。メシエ天体でもおかしくないほど両銀河とも明るく迫力があります。それぞれお供の伴銀河がくっついていて伴銀河の重力により、それぞれの銀河が歪んでいるのも面白いところです。いつもかみのけ座のMel 111から北東に約4度ほど振るとNGC4631の細く延びた姿を見つけて導入しています。りょうけん座の銀河群ではありますが、かみのけ座に近いところにあります。

NGC4631とNGC4627のペアはArp281というHalton C. Arp博士がまとめた特異銀河カタログにも掲載されています。Arpは当時世界で最大口径のパロマ5m望遠鏡を使い、特異な形をした銀河をカタログした人です。銀河を楽しむにあたってArpの特異銀河カタログは参考になります。

NGC4631とNGC4656とも、距離は2200万光年でサイズとしてはアンドロメダ星雲クラスになります。

Ninja-400では、NGC4631とNGC4627は視野に大きく広がり、NGC4631がエッジオンなのに菱形を横に延ばしたような形をしています。楕円銀河のNGC4627の重力の影響を受けている様子が良く分かります。Sky-90でも細長く延びた姿が分かり、小口径の望遠鏡でも楽しい対象ですね。NGC4631は特徴的な形をしているので、アメリカでは"Whale Galaxy"、"Herring Galaxy"と呼ばれています。それぞれ"くじら銀河"、"ニシン銀河"になりますが、私の印象だと潮を吹くくじらが似つかわしいと思います。さらにNGC4627は"Pup"と呼ばれ、子くじらとでもいう意味でしょうか。

・NGC4631    9.8等
・NGC4627    12.5等

NGC4656とNGC4657は、さらに不思議な形をしています。NGC4656自体が歪んでいて、その端にNGC4657という小さな棒渦巻銀河がくっついているように見えています。NGC4656は等級よりは若干淡く見えており、空の状態が悪いとなかなか辛くなります。Ninja-400で見るとNGC4656の端にちいさな銀河がちょんと付いていて、その近くのNGC4656が歪んで見えて特徴的です。

・NGC4656    11.0等
・NGC4657    10.5等*
                    *MegaStar表記によるが、誤りで12等後半だと思われる

このNGC4631とNGC4656のダブルダブル銀河ですが、実際の距離も近く20万光年のほんのお隣さんの位置にあります。両方ともエッジオンというのも見ごたえがありますね。両銀河の住人とするとフェイスオンの視直径が20度もある銀河が雄大に広がっているのが見えるハズですね。このNGC4631とNGC4656も重力の影響で水素ガスで繋がっている様子が観測されています。

DSSによるNGC4631とNGC4656
Ngc46314656

2006-02-11

うみへび座I銀河団AGC1060

コップ座が南中する頃、その南方では非常に見ごたえのあるうみへび座I銀河団AGC1060が広がっています。Hydra 1とも呼ばれています。残念ながら、この銀河団はペルセウス銀河団やヘルクレス銀河団ほど有名ではないのですが、実はこちらのうみへび座I銀河団のほうが、明るい銀河が多く、密集度もそこそこ高いのでそれほど大口径でなくても楽しめるお勧めの銀河団です。うみへび-ケンタウルス超銀河団の一部でもあります。

場所はコップ座の南西10度ほどのところにあります。南中高度は北緯35度の場所で、約30度でちょうどアンタレスが南中した高さはあります。結構高く昇り、明るい銀河が多いのにほとんど紹介されないのが不思議です。

銀河団としては銀河系にはかなり近く1.65億光年のところにあり、ローカルグループのアンドロメダ銀河の約70倍ほどの距離にあります。20分の範囲に14等級より明るい銀河が6つあり、それぞれの銀河が結構大きく、まさに群れている様子が分かります。
赤経方向に明るい銀河が5つ並ぶ姿が特徴的です。また銀河団として明るい渦巻銀河が含まれていることも特徴があります。

・NGC3311    11.6等
・NGC3312    12.7等
・NGC3309    12.6等
・NGC3308    12.9等
・NGC3316    13.6等
・NGC3305    13.8等
・NGC3314A  14.0等
・NGC3307    14.5等

Ninja-400でもNinja-320でも、そこそこ明るい銀河が多いため、かなり楽しめます。Ninja-400では58個の銀河を確認できました。DSSの写真に表示されている銀河は確認できたものです。

特に南天の透明度が良い夜はねらい目ですね。

DSSによるAGC1040
Agc1060
真ん中の青緑の円は0.5度の視野円

2006-01-25

かみのけ座の銀河群BOX

この記事は冬に書いていますが、この時期は春の銀河群/銀河団を観望するのには透明度の良い冬空ということもあり最適です。残念なのは寒いことですね。

春の星座では天の川は流れていないために可視光を遮る星間物質が少なく、銀河が減光されることが無く、無数の銀河を見ることが出来ます。特にかみのけ座とおとめ座方向には銀河系からは近い巨大な銀河団が存在していて密集しています。

その中ではかみのけ座に面白い形に密集しているBoxと呼ばれるそれぞれ4つの銀河が長方形状に集まって見えている銀河群があります。別名ではHickson61と呼ばれていて、楕円銀河1つと渦巻銀河3つとで構成されます。面白いのは見かけ上ですが、長方形に並んでいてそれぞれ光度が揃っていることでしょうか。

Ninja-400で観望するとNGC4169, NGC4174, NGC4175は割とすぐ分かりますが、NGC4170はエッジオンの棒渦巻銀河ですが、面積が大きく、空の状態がかなり良くないと確認するのは難しい存在です。この季節ですと富士山新五合目は雪や凍結で閉鎖されていますが、西臼塚駐車場や粟倉駐車場ではボーッとした姿さえ見ることも出来ません。春になり新五合目で雲海になって下界の光を遮るくらいでようやく見えてきます。

新年、南伊豆で最高の夜に観望してきましたが、ハッキリまさにDSSの写真の様に見えて感動しました。これまでNinja-320でも空がかなり良い時に4つ見れましたが、4つ見るためには口径30cmは必要だと思います。

Boxを導入するためには、いつもMel 111の一番北に位置するかみのけ座γから3度ほど西にあり、おひつじ座のような不等辺三角形のような星の並びから辿るのが一番簡単だと思います。

大口径ドブをお持ちの方にはお勧めです。

・NGC4174    14.3等
・NGC4175    14.2等
・NGC4169    13.2等
・NGC4170    13.6等

DSSによるBox
Box

おうし座の超新星残骸SH2-240

おうし座とふたご座の境界あたりにある非常に大きな超新星残骸です。Siemeis 147としてもカタログされています。直径は3度もあり、かなり広がっており、写真でもかなり淡い天体になります。約10万年前に爆発した超新星の残骸が広がっている姿で、広がりは150光年にもなっているそうです。ちなみに距離は3,000光年で網状星雲の約2倍ほど離れていて、実直径は3倍ほどです。

写真では不思議な天体でまさか眼視では見えないと思っていました。ただ昔、米国の天文雑誌のSky & Telescopeでスケッチを見た記憶があり、いつかは一部だけでも見てみたいと思っていました。日本ではほぼ天頂付近を通過するため条件は良いハズです。

そこで最高の透明度の夜に南伊豆でこの星雲をNinja-400でチャレンジしてみました。DSSの写真で少しでも濃い部分を狙ってMegaStarの星図と照らし合わせながら、探してみるとかろうじて淡く見える部分を発見。もちろんノーフィルタではまったく分かりません。
プラノキュラー30mmとOIIIフィルタの組み合わせで瞳径7mmとして、かろうじて分かりました。Sky-90でもなんとなくあるような感じですがこれは自信はありません。Ninja-400でかわのさんにも見ていただき、なんとなく星雲状のものがあるのは感じるとのこと。場所はSH2-240でも写真から濃いと思われるGSC1873:935のあたりとGSC1874:453のあたりです。もう見えるというより感じるというほど淡いものでした。DSSでの中心部分は一番濃い部分と思われて眼視でとても淡いながら確認できた部分です。DSSの写真では一番右上の部分も恒星の周りで不均一に光芒が広がっていることから、たぶん星雲だろうと考えています。

決して心眼のつもりではないので、どなたかの追試をお願いしたいところです(^^)/

当日の夜は透明度9/10もしくは10/10というかなり良い空で、この天体に限らずメジャー物はすべて最高の見え方をしていました。瞳径で7mmが使える環境ってオーストラリア以来でした。対日照がふたご座の真ん中あたりに見え、黄道帯が薄っすら分かるという空でした。至福の時間ですね。

DSSでのSH2-240

Sh2240
あまりに大きく全体は直径3,4度もあります。

2006-01-09

とも座の散光星雲SH2-311

とも座は天の川が流れているためか、小さな散光星雲が沢山あります。中でも小口径で見れるお勧めはSH2-311です。場所はとも座の1番星をはさんでM39と対象の位置にありますので、簡単に導入できます。ノーフィルタでも星雲で潤んでいる様子が分かります。

もともと天の川なので星数が多いのですが、この星雲には散開星団が重なっていてそれぞれ次の星団です。

・NGC2467    7.1等    星数50個
・Haffner18    9.3等    星数15個

Ninja-400にOIIIフィルタを付けてみると丸く可愛らしく見えます。この星雲は割りと明るく見える割には紹介されている書籍はありません。干潟星雲を1/3くらいにしたような感じでしょうか。オリオン座と周辺の散光星雲と違い、地味ではありますが、ドブソニアンで特に楽しめる星雲としてお勧めしたいですね。

DSSでのSH2-311
Sh2311

2006-01-06

りゅう座の見事なエッジオン銀河NGC5907

NGC5907はりゅう座にあるエッジオン銀河です。ほとんど真横から見ているため、非常に細く全天一とも言える細さです。銀河自体は渦巻銀河で等級も明るいため見栄えは最高です。ただ光度はそれほど明るいわけではないので、ドブソニアンの好対象だと思います。Sky-90をファインダとして併用していますが、Sky-90では存在が分かる程度です。銀河の視直径は12.9'x1.3'*であり、1/10の薄さの銀河円盤を持っていることになります。
                                                                                                    *MegaStar5.0の表記

この銀河へのアプローチですが、私は北斗七星のひしゃくの柄の先にあるおおぐま座η(Alkaid)より、うしかい座の特徴的なうしかい座θが作る三角形から探します。小さな"や座"にように見える星列からM102を探し、そこから3つ並ぶ8等星より辿りつくパターンで導入しています。

この銀河はほとんど真横から見ているわけですが、NGC4565のようなバルジの膨らみがほとんどないのが特徴です。またNinja-400では暗黒帯はまったく分かりませんでした。DSSの写真ではかろうじて暗黒帯が見られます。

・NGC5907    11.1等

DSSでのNGC5907
Ngc5907

しし座の銀河群Hickson44

Hickson44はしし座流星群の輻射点あたりにある有名な割とコンパクトな銀河群です。しし座の鎌を構成するしし座γ(Algieba)とζ(Adhafera)の中間あたりにある星がちょっと密集している場所に望遠鏡を向けると導入が出来ます。非常に簡単ですので、探してみてください。

私は子供の頃、パロマ天文台のシュミットカメラで撮影したものを初めてみたのですが、非常に印象深い天体でした。4つ明るい銀河が群れていて、それぞれの銀河がとても特徴的な形をしています。とくに棒渦巻銀河であるNGC3187の特異な銀河腕の伸び方は変わっています。Ninja-400では残念ながらNGC3187の腕はとても淡いようで見る事は出来ませんでした。ボーッとした楕円状の星雲に見えるだけでした。

またNGC3190はこの銀河群の代表的な立派な渦巻銀河です。Ninja-400ではシーイングと透明度とも良い日にかろうじて暗黒帯が見えますが、かなりシーイングが良くないと分解しません。この銀河には2002年に超新星が現れました。SN2002boです。茅ヶ崎市にお住まいの広瀬洋治さんが第二発見者となったもので、15.5等級で発見されたものです。当時、Ninja-400でこの銀河を見ていましたが、超新星には気づきませんでした。15等級という暗さと、また銀河中心に近いところに出現したことも眼視では厳しいですね。

広瀬さん、またも超新星を発見(NAOニュース)

・NGC3190(Hickson44A)    12.1等
・NGC3193(Hickson44B)    11.8等
・NGC3185(Hickson44C)    13.0等
・NGC3187(Hickson44D)    13.4等

Hickson44は導入簡単、それなりにドブソニアンでも楽しめる銀河群の代表的なものです。

DSSでのHickson44
Hickson44

2006-01-01

わし星雲IC2177

わし星雲(Gum 1)は天体写真で有名な散光星雲です。おおいぬ座シリウスの北東7度ほどのところにあります。日本ではわし星雲でわしが羽を広げた姿だとしていますが、アメリカではSeagull Nebulaと呼ばれています。

距離は1820光年で、HII領域が光っています。そのためかHβフィルタで見ると、一番濃く見えます。Sky-90にプラノキュラー30mmの組み合わせると、わしの頭部は淡いのですが、羽と胴体の部分はかなり広がってみえます。OIIIフィルタでも見えますが、バックが暗くなりすぎてHβフィルタのほうが広がりを感じます。バーナードループの明るさより若干明るく感じます。

Ninja-400では全体が淡すぎて、また星数が多すぎてバックの輝きが星雲かどうか見極められませんでした。ただしIC2177の一番南部にあるIC2177の丸い部分はOIIIフィルタやUHCフィルタでハッキリ見ることができます。

DSSによるIC2177

Ic2177

2005-12-28

おおいぬ座衝突銀河NGC2207,IC2163

おおいぬ座のシリウスの西にあるおおいぬ座β(Mirzam)の約4度南西にある、ハッブル宇宙望遠鏡で非常に有名になった、お互いに潮汐力を及ぼして重力で変形して衝突している二つの銀河NGC2207とIC2163です。冬の天の川に近いために銀河系内の星々が沢山見えていています。

それぞれ11等級以下の銀河であるため、大型ドブソニアンの独壇場です。私の場合はNinja-400では、二つ可愛らしく並んでNGC2207のほうが楕円に変形している様子が分かりました。視直径は小さく、また暗いため銀河の腕までは分かりませんでした。小さいほうのIC2163は横に延びている姿がかろうじて確認できます。最初見たのはNinja-400でしたが、まさかこれだけ衝突銀河がハッキリ見えるとは思いもしなかったため感動したことを思い出します。M51を1/4サイズにしたような感じと言えばよいでしょうか。
ドブソニアンを自由に使える方にはお勧めします。

ハッブル宇宙望遠鏡でのNGC2207,IC2163

DSSによるNGC2207,IC2163
Ngc2207
                                                                        *青は視野0.5度の円

ケフェウス座散開星団NGC188

北極星から3度ほど南に行ったところにある散開星団です。NGC188はPatrick Mooreが提唱しているCaldwellカタログの1番とされています。北極星に近いため1年中見えています。メジャー天体ではありませんが、種々面白い特徴があり、散開星団と分類されながら、非常に年齢の古い散開星団だということで、恒星や星団の進化において研究対象にされてきた星団でもあります。年齢が240億年と算出されたこともあり、当然現在の宇宙の年齢予測である137億年を越えてしまう変なこともありました。現在では50億年と見積もられています。HR図上ではM67などの恒星分布に近く、温度が低い絶対等級が低い星々で構成されています。

星数は120個が割と広がって集まっており、星々も12~13等級で意外と地味です。ただ銀河系内での研究に役立っている星団として見てみるのも一興かと思います。

・NGC188    8.1等


DSSによるNGC188

Ngc188_2

2005-12-22

レグルス近傍の銀河LEO1

LEO1(UGC5470)はしし座の1等星であるレグルスの20分ほど北にあります。銀河系が属しているローカルグループの仲間であり、楕円銀河(E3)で矮小銀河と考えられます。DSSの写真でも見るとおり、かなり淡い銀河であり、さらにレグルスの強烈な明かりがすぐ傍にあるため、眼視では難しいものだと思っていました。

今年(2005年)の1月の透明度の良い冬晴れの日に、南伊豆にてNinja-400で観望したところ、レグルスを視野の外に置くことで、かなり淡いボーッとした楕円状のLEO1をかろうじて確認することが出来ました。DSSの写真のとおり、かなり広がっていて、等級が明るい割りにほとんど見れないのは面積あたりの光度が低いためです。

・LEO1    11.2等

距離は90万光年で、アンドロメダ銀河までの距離の約1/3という近さですが、いかんせん矮小銀河で星数が少なく、目立ちません。この銀河の発見も1950年になって、R.G. HarringtonとA.G. Wilsonによってパロマ天文台の48インチのシュミットカメラで検出されました。眼視での検出は1990年になってからだそうです。それだけ難物だったのでしょう。

Ninja-400ではヌケの良さを求めレグルスを視野から外すために、プラノキュラーとx2バローで120倍にして見ることができました。そらし目にして視野を動かすことで確認が出来ます。白濁したようなボーッとした姿が分かります。

DSSによるLEO1
Leo1

2005-12-21

くじら座NGC247

この銀河は秋の天体になりますが、晩秋から冬にかけて夕方にでも見ることが出来ます。有名な天体であるちょうこくしつ座のNGC253の北で、くじら座のβ(Deneb Kaitos)との間にあり、βからは3度ほど南に位置します。

銀河自体は9.1等級*と明るく、すぐ発見できるかというと、大きく淡いために空が良くないとまったく見つけることも出来ない不思議な銀河です。面積あたりの光度が低く、そもそも銀河そのものもまばらな感じがあるのだと思います。実際、富士山周辺では西臼塚や新五合目では南天が沼津市、富士市等の光害でなかなか見つけるのは難しく、大口径ドブソニアンが必要となります。逆に空がよいところでは口径5cmの双眼鏡でもすぐ分かります。空のよさを見るバロメータに使えますね。淡くてなかなか発見できないために、初めて見たときには淡く大きいのに吃驚して感動しました。

・NGC247    9.1等*
                    *MegaStar表記

この天体は、NGC253を含めたちょうこくしつ座銀河群に属しており、我々の銀河系を含めたローカルグループのすぐ隣の銀河群となります。距離は750万光年で深宇宙のスケールからすると、すぐ近くの銀河となります。

DSSによるNGC247
Ngc247

ろ座の銀河NGC1365

くじら座の頭が南中する頃、南天低くにはエリダヌス座とろ座の境界あたりに、ろ座の銀河団を見ることが出来ます。ろ座の銀河団は明るい銀河が多く、また銀河の種類では渦巻銀河が多く、非常に面白い領域です。ただし富士山での南中高度は20度しかなく、南天が光害で満たされる富士山ではかなり見づらい天体群です。

その中でもNGC1365は見事な棒渦巻銀河で、富士山新五合目でも透明度の良い夜には、上下に大きく張り出して延びる銀河の腕を見ることが出来ます。棒渦巻の棒領域は迫力を持って延びています。全天を通じて、最も見事な棒渦巻銀河との印象を持ちましたが、北のM51、南のNGC1365と感じられる銀河です。腕の伸び方が鎌のように見えるため、我々の仲間では鎖鎌銀河と呼んでいます。

・NGC1365        10.3等

日本では南天低く見えて難物のNGC1365も、オーストラリアでは天頂付近で見えて、強烈な姿を拝むことが出来ます。2004年の9月には、Ninja-400と2inch双眼装置をオーストラリアに持ち込み、Nagler Type4 22mmで観望しましたが、オーストラリアの透明度の良さと天頂付近に見えることが相まって、腕がかなり遠くまで延び、溜息が出る感動ものでした。この銀河を見るだけに海を渡るのも価値があると思いました。

DSSでのNGC1365
Ngc1365

2005-12-20

二重星団

有名な散開星団でどうしてメシエ天体でないのか不思議な天体です。赤緯が高いため、夏から冬にかけて長い期間観望することが出来ます。ペルセウス座とカシオペヤ座のちょうど中間あたりにあり、肉眼でもボーッとしている姿が眺められます。

二重星団(Caldwell14)は言葉のとおり2つの散開星団が並列で、見事なくらい同じ規模の散開星団が並んでいます。それぞれNGC869(h Per), NGC884(χ Per)と呼ばれており、両星団とも300個の星々がかなり密集して集まっています。距離は7330光年で、散開星団としては距離が遠い天体です。紀元前130年にはギリシャのヒッパルコスによる記載があるようです。ヒッパルコスは今では人工天体の名前のほうが有名かもしれませんが、ギリシャの科学者でした。

プレアデス星団(M45)が代表的ですが、この星団も生まれたばかりの星々で構成されています。生まれて320万年(Sky Catalog 2000)しか経っておらず、太陽の年齢を人に喩えて45歳の壮年期だとすると、生まれてたった12日という赤ちゃんの群れです。この二重星も含めて、このあたりはペルセウス座第Iアソシエーションを構成する星間物質の豊富な場所で、銀河中心の反対方向にある星の賑やかな部分で、銀河の腕の一つに相当します。

・NGC869   5.3等*
・NGC884   6.1等*
                *MegaStar表記で他の記載では4.5等の記載あり。

観望でのお勧めは7~10倍ほどの双眼鏡が見ごたえがあります。微光星がビッシリ二つに集まり、まさに息を呑むような美しさです。すぐ隣にはStock 2と呼ばれる星数50個のまばらな散開星団が、人が手足を広げたような姿で、好対照の散開星団で見れますので、比べてみていただくと面白いと思います。

さらに機会があれば、双眼望遠鏡でこの星団を見るのが最も素晴らしい眺めだと思います。今まで私が見た双眼望遠鏡では、Nerius-80LD、Sky-90、Vixen115ED、Schwarz-150s双眼やFUJINON15cm双眼で見るのが最も美しい姿でした。

逆にドブソニアンでは視野を大きくはみ出してしまい興ざめの天体でもあります。NGC869のほうの中心部分には視力検査で使う"C"印のランドルト環のような星の並びが見れます。これは50倍ほどの倍率があったほうが良いと思います。

・Stock2    4.4等

DSSによるNGC869とNGC884
Double
 

2005-11-23

NGC2403

冬の寒い時期に見ごろになります。どうしてメシエ天体に成らなかったのか不思議なほど明るい銀河です。ただNGC2403をスターホッピングで導入するのは難しいくらい目印の星々が見当たりません。

この銀河で特徴的なのは天の川ではないのですが、銀河系の星の多い領域にあるために、明るい星々が銀河の前に重なってみえることでしょうか。こういう銀河は少ないですね。距離は約980万光年ということであり、比較的ご近所の銀河であると言えます。銀河はフェイスオンとエッジオンの中間の角度で銀河円盤に対して45度くらいで見えています。
NGC2403はM81の銀河群に属しては居ますが、見かけの角度としてはかなり離れています。

この銀河は天文学的に貢献した銀河ということで、あまりに有名なハッブルの法則を見出すための対象となったりとか、渦巻銀河の回転速度と絶対光度のタリー・フィッシャー関係を見出した対象になった天体です。

私にとって象徴的なのは板垣さんが発見したタイプIIの超新星SN2004djでしょうか。かなり明るく11等級になりました。M51にも超新星が現れましたが、これほど明るくはなりませんでした。

DSSによるNGC2403
Ngc2403

2005-10-23

ケフェウス座 散開星団NGC6939, 銀河NGC6946 (スケッチ)

この二つの天体は低倍率で同一視野に入ってくる位置にあり、ほぼ同じくらいの大きさに見えます。
NGC6939は口径10cmだと中心付近の星がわずかに分解される?程度で、ほぼ星雲状に見えます。
NGC6946の視直径はやや大きいのですが、全体に確認しづらくうっかりすると見逃してしまいそうです。
スケッチ当日の富士山新五合目はなかなかよい空で、NGC6946も比較的はっきりと見えました。
大口径で見るような散開星団と渦巻銀河のペアの姿は望むべくもありませんが、
仲良く並ぶ小さな二つのすてきな姿を楽しむことができました。

Ngc69396946
(スキャンした鉛筆画をフォトショップで階調反転、方角マークは西)

テレビューTV-101+ナグラーtype4 17mm(天頂ミラー&LPS-P1フィルター併用)
2005.10.1, 富士山新五合目

2005-10-10

アンドロメダ大銀河M31

あまりにも有名で超メジャーな天体M31です。もう生まれて何回見たかもわからないくらい定番の銀河です。たぶん小学生の頃、初めて見たんだと思います。光害が多少あってもボーッとした姿が肉眼でも見れます。

アンドロメダ銀河の観望の歴史を語るには私は知見が不足していますが、恒星の輝きではないことはすぐ分かり雲のようですので、有史以前より人間は単純な星ではないことは理解していたのではないでしょうか。記録としては10世紀にあるようです。

アンドロメダ銀河までの距離を求めたのは、有名な話ですがハッブルがウィルソン山天文台にあった当時世界最大口径の2mの反射望遠鏡で、ケフェイドなる変光星を利用して距離を推定して銀河系内の天体ではないことを証明したことですね。ハッブルの大きな成果の一つかと思います。認識を銀河系から宇宙に広げたという意味で偉大な成果ですね。

M31をどの望遠鏡で見ると素晴らしく見えるかについては種々意見があるかと思います。私も悩んでしまいますが、今まで見た姿ではFUJINON40x150EDで見た視野一杯に広がるM31かEMS双眼望遠鏡でNagler-22mmでの見かけ視野82度に広がるM31が強烈に印象に残ります。Ninja-400などのドブソニアンでは視野を大きくはみ出してしまいます。Ninja-400でM31を味わうとするとM31の中に点在する天体となってしまいます。たとえばM31の暗黒帯の複雑な様子はNinja-400ならではの見え方です。低倍率の双眼鏡や双眼望遠鏡で見るM31は淡い部分まで見えて、写真でみるM31そのものです。視野では2度ほどの広がりがあり、M32とM110(NGC205)を従え、これぞ銀河という姿でしょうか。ちなみにNinja-400では感じたことはないのですが、76cmドブソニアンでM31を見た人の話では銀河中心核はピンクに見えるそうです。一度見てみたいものですね。

Ninja-400などのドブソニアンではM31内部の球状星団を見るのも一興ですよ。DSSの写真に15.0等級より明るい球状星団をプロットしています。9個ほどあります。昔、チャレンジしたところ、以下のものを見ました。ただしG1はM31よりの離角が大きく別の記事にしています。

アンドロメダ銀河の巨大な球状星団G1

・G1              13.7等
・G213        14.6等
・Bol119      12.3等

上記は恒星のように見え、シーイングが良くなかったのもあり、G1以外は球状星団のようには見えませんでした。またシーイングの良い時にチャレンジしてみようと思います。

またM31にはKnotと呼ばれる星の密集した銀河の腕部分が見られます。有名なところではNGC206であり、天の川で言えばスタークラウドのようなものでしょう。M31は銀河系と比較すると直径が倍のサイズの銀河で、すぐ隣にある銀河ですので銀河の構造がよく分かるわけですね。

DSSによるM31クローズアップ
M31

くじら座M77

くじら座の首のあたりにある明るい銀河です。このM77の周りには銀河団というより、かなり銀河が見えていて、さながら春のおとめ座銀河団のようです。M77はメシエが1780年12月17日にカタログに載せたのですが、その前にPierre Me'chainという人が10月29日に最初に発見しています。

M77は渦巻銀河((R)SA(rs))なのですが、Ninja-400では楕円銀河のように見えます。腕が淡く広がっているため、滲んだ感じはありますが、腕とは見えません。あの有名なロス卿は渦巻銀河14のリストの中の一つに加えていて、口径1mくらいあると渦状に見えるのかもしれません。

この銀河はセイファート(Syfert)銀河タイプ2に分類されています。中心核の活動が活発で明るくクエーサーまでは行かないもののかなり活動的な銀河のようです。明るくて丸いだけの銀河という印象ですが、研究対象としては面白い天体のようです。

DSSによるM77
M77
 

銀河系で一番遠い球状星団NGC2419

ハロー・シャープレーが球状星団の分布から銀河系の様子を推定した話は有名ですが、その学説により太陽系は銀河系中心から2.8万光年離れて存在していて、言わば銀河系の郊外に我々は住んでいるということ、つまり認識の転換に繋がったということは凄いことだと思います。コペルニクス的転換ですか。

この球状星団は地味なのですが、この天体を有名にしているのは地球から一番遠くに見える銀河系の球状星団だということですね。位置はやまねこ座にあり、銀河中心とは反対方向にあります。このあたり冬の球状星団で目立つのは、うさぎ座のM79くらいですね。

Ninja-400でこの星団を見ると周辺がツブに分かれます。一番遠くても割りと立派なのは規模としてはかなり大きな星団なのだと思います。決して派手ではなく大口径にお薦めという感じです。

私の導入パターンはふたご座から辿ります。赤道儀であればカストルから5度ほど北に振れば入ります。私の場合は赤道儀は使わないので、カストルからのスターホッピングで導入しています。

DSSでのNGC2419
Ngc2419

もえる木星雲NGC2024

オリオン座の三ツ星の一番左の星であるオリオン座ζ(Alnitak)のすぐ東にあります。この星を望遠鏡で視野に入れると容易に見つけることが出来ます。この星のすぐ南には馬頭星雲B33がありますので、そちらが有名になってしまいこちらのほうが派手なのにあまり目立ちません。たぶんAlnitakからもっと離れていると、かなり立派なM17くらいに相当する星雲になっていたのだと思います。Alnitakが1.8等級の明るい恒星なので、Alnitakを視野から外してみるとかなり見やすくなります。

望遠鏡の口径が大きくなればなるほど細部が見えてきます。小口径ではなんとか3つに分かれた姿が分かりますが、Ninja-400では複雑な構造が見えてきます。この星雲にはOIIIフィルタが合いますが、全体で暗くなるので燃えている迫力はノーフィルタが一番です。ところで本当に星雲が燃えているわけではありません(^^;;;

アメリカではFrame Nebula(炎星雲)と呼ばれています。日本で木だと言われているのは明らかに天体写真からの影響ですね。言いえて妙ですね。

DSSによる燃える木星雲NGC2024
Ngc2024

ダック星雲NGC2359

晩秋に向けてのお薦め散光星雲です。秋から冬にかけて注目です。場所はおおいぬ座のシリウスとM46,47の中間あたりにあり、形状が非常にユニークです。初めて見たときはちょっと吃驚しました。まるで蜘蛛が足を広げたようです。初めてみたのは7年ほど前ですが、そのときの印象で蜘蛛星雲と呼んでました。
後日、アメリカではダック星雲と呼ばれているのを知り、確かに視野で見ると南北逆転しているので、くちばしを左に向けて走っているあひるのようにも見れます。感性はアメリカ人とは違うのを再確認しました(^^;;
たぶん蜘蛛というとタランチュラ星雲という誰が見ても蜘蛛に見える星雲が南天にあるので、そことの差別化ですかねぇ。

この星雲は最近、ようやく知られるようで読者の天体写真コーナーあたりでよく紹介されます。色は赤だけではなく青も混じっているようですね。眼視では白にしか見えませんが、Ninja-400では複雑な構造が見れます。ムラが見えるというか、IC468のほうの広がりはほとんど見えませんが、4方向に腕なり足が広がっている様子が見事に見えます。私のベスト天体リスト400には入れてます。

DSSによるダック星雲NGC2359
Ngc2359

2005-09-25

みずがめ座球状星団M2

秋には明るい球状星団が南北に3つ並んでいます。北からM15,M2,M3が並びます。その中でもM2は一番迫力があります。美しさではその集中度からM15でしょうか。このあたり評価が分かれるかもしれません。

M2は望遠鏡の口径が増えるにつれ評価がアップしました。見える星数が多く秋では一番の球状星団ではないでしょうか。秋のシーイングと透明度の良い夜に球状星団をNinja-400で見るとため息が出ます。

球状星団は夏のいて座を中心に全天に分布してはいますが、冬には極端に少なくなります。銀河系の中心がいて座の方向にあるのを球状星団の分布で洞察したハッブルは素晴らしいですね。確かにいて座とは逆になるぎょしゃ座、ふたご座の方向にはほとんど球状星団はなく、やまねこ座のNGC2419くらいでしょうか。NGC2419は銀河系内で一番遠くにある球状星団としても有名ですね。

DSSでのM2
M2

2005-09-24

メデューサ星雲Abell21

ふたご座とこいぬ座の境界近くにある大きな惑星状星雲です。写真で取った形状がまるでメデューサの髪のようなのでメデューサ星雲と呼ばれています。髪の毛状なためだと思います。Ninja-400で見た場合は髪の毛というよりも薄い三日月状です。空さえ良ければノーフィルタでもかろうじて存在は分かりますが、OIIIフィルタは欲しいところです。
OIIIフィルタで見ると暗い背景の前にボーッと三日月状の天体が広がります。幽玄な雰囲気ではあります。

導入はいつもこいぬ座β(Gomeisa)から北上して入れています。3つの星が南北に並ぶのが目印です。

DSSによるAbell21
Sh2274

ハッブルの変光星雲NGC2261

ハッブルの変光星雲と呼ばれるNGC2261を初めて見たのは12年ほど前でした。確かC8で見たのですが、彗星状で吃驚しました。彗星捜索家の木内鶴彦さんに聞くとやはり最初見たときは吃驚したそうです。特に低倍率で見ると彗星と間違ってしまいますね。

この星雲は名前の通り変光することで有名です。いっかくじゅう座Rの光を受けている反射星雲であり、R星が11等から13等に変光することに伴い星雲のほうも変光します。星雲の南の根元にある星がR星で、太陽重量の10倍程度の星でまだ生まれたばかりでたった10万年しか経ってないようです。星雲はR星と同期して変光しているのではなく、R星の前を星雲が横切ることにより幻灯機のように影が動いていると予測されていて、その変化は光速を越えていると騒がれたこともあるとのこと。もちろん、実際には光速を越えているわけではなくさきほどの幻灯機の原理で変化が反映しているだけですね。

ハッブルの変光星雲自体は非常に視直径が小さくて2'ほどしかありません。観望にするにはある程度の倍率が必要ですし、この星雲を見るのは大口径が欲しいですね。星雲の名前から分かるように観測的宇宙論で有名なエドウィン・ハッブルが変光しているのを発見したのです。

また反射星雲でもあるため偏光しています。変光星雲が偏光しているということですね(^^;;;

現代天文学への招待


DSSによるハッブルの変光星雲

Ngc2261
DSSプレートの関係で中心からシフトしています

2005-09-23

馬頭星雲B33

子供の頃、自宅にタイムライフ社の"The Universe"という図鑑があり、その中に馬頭星雲がパロマ天文台の写真ですが、掲載されていました。子供ごころに気持ちが悪い不思議な天体として感じており、心に残っていました。
望遠鏡で星を見るようになっても、まさかあの馬頭星雲が眼視で見れるとは思っても居ませんでした。1980年代末からドブソニアンブームが始まり大口径の望遠鏡を容易にゲットできるようになり、この馬頭星雲が一躍脚光を浴びてきたのだと思います。すでに天体写真としてはオリオン座の中でもM42に続いて有名な場所となっていましたが、見ることに関しては難物だったのだと思います。

私が初めてこの馬頭星雲を見たのはNinja-320を購入してすぐでした。もう10年ほど前でしょうか。当時、Hβフィルタは持っておらずUHCで確認できました。秋口の寒い富士山須走五合目でしたね。見えるかどうか分かりませんでしたが、オリオン座ζ(Alnitak)から20'ほど南にある二つの星をたどり、その西にある星のあたりに散光星雲がうっすら認められると、そらし目テクで見ていると黒く抜けているのが分かりました。感動しましたね。一旦、見方が分かるとUHCフィルタが無くても抜けているのが分かるようになります。位置を知っているのは強いですね。

馬頭の首のくびれがハッキリ分かるのは、Hβフィルタを付けて見たときです。おお、ようやく天体写真と同じように見えたことでこれも感動しました。Ninja-400で最高の透明度の夜にHβを付けて見ると、Hβフィルタの色の影響もあるのかもしれませんが、なんとなく黄色っぽい星雲をバックにして馬頭の姿が見事に浮かび上がります。Hβフィルタはまさにこの馬頭を見るために生まれてきたフィルタという感じですね。用途が少ないので随分リッチですね。本当のリッチフィールドです(^^;;

その後いろんな望遠鏡でこの馬頭星雲を見てきました。最小口径はFUJINON 40x150EDですね。ノーフィルタでしたが、淡い星雲をバックになんとなく黒く抜けているのが分かりました。富士山新五合目での最高の夜でしたね。もちろん雲上でその雲も濃く光害がほとんど無く空気が澄んでいる場合ですね。

ちなみに馬頭星雲はB33という番号が付いていますが、これはバーナードが暗黒星雲をカタログしたものの番号です。他の天体も含め暗黒星雲にはメシエ番号、NGC番号、IC番号は一切付いていません。

DSSでの馬頭星雲B33
B33

北アメリカ星雲NGC7000

はくちょう座α(デネブ)のすぐ傍にあるかなり大きな散光星雲で、天体写真の定番となっています。DeepSky天体として普通は覚えにくいNGCナンバーですが、これは一発で覚えられますね(^^)/

空の透明度が高いと肉眼でも十分見えます。肉眼で見える散光星雲は少ないのですが、その中でも最大のサイズです。他にはM42、M8、エータカリーナ星雲くらいでしょうか。かろうじてばら星雲、M17がなんとなく分かりますが、散開星団とダブって見えているので、それでボーッという感じですね。

一番、好きなのは短焦点屈折にOIIIやLPS-P2フィルタを付けて見た姿で、北アメリカ星雲の全景が視野に入りメキシコ湾の相当するあたりの暗黒星雲との境目はそれは見事です。それにしても吃驚するくらい北アメリカ南部の姿に見ていますね。他ニックネームはありえないくらいです。それにしてもオメガ星雲にしても、北アメリカ星雲にしても人間が創れないようなシュールな絵柄ですね。他にも馬頭星雲、ダック星雲など神々が意思を持って作ったそれも人間に合わせてと誤解しかねませんね。

Ninja-400でフィルタを付けてみると最低倍率でも局部のアップだけになります。やはりメキシコ湾の周りは秀悦です。またこのあたりは散開星団がダブってますので、非常に賑やかでその対比も見事です。

DSSでの北アメリカ星雲
Ngc7000

2005-09-19

NGC507とその周りの銀河群

NGC507と傍に群れる銀河群は特にカタログはされていません。場所としてはアンドロメダ座β(Mirach)とM33のちょうど中間あたりになり、導入は分かりやすい場所にあります。たまたま同一方向に銀河が集まっているのかもしれません。渦巻銀河が多いのもたまたま同一方向なのかなと思わされます。

Ninja-400を使いNGC507を中心として視野1度の範囲で17個の銀河をカウントできました。意外と良く見えるのでお勧めしたいと思います。以下にNGC507を中心とした時の視野0.5度の範囲の銀河をリストします。

・NGC507    11.2等
・NGC504    14.0等
・NGC499    12.1等
・NGC494    13.8等
・NGC508    14.1等
・NGC501    14.5等
・IC1689    14.7等
・IC1690    14.9等

DSSによるNGC507と銀河群

Ngc507

アンドロメダ銀河M31の伴銀河NGC147とNGC185

NGC147とNGC185は共にアンドロメ銀河M31の伴銀河です。M31よりは視野角で8度も離れており、距離では約30万光年離れています。M31より離れているせいであまり伴銀河という感じはありませんね。

二つの銀河とも楕円銀河でとりたてて特徴はありませんが、大きく非常に淡い銀河です。局部銀河群としての証ですね。銀河自体は明るいのですが、視直径が10'ほどもあるために面積あたりの光度が暗いから淡いようです。空さえ良ければ簡単に見れるので我々銀河系の仲間としてみるのも一興ではないでしょうか。

・NGC147    10.5等
・NGC185    10.1等

DSSによるNGC147,185
Ngc147185

冬のくらげ星雲IC443

読者の天体写真等で有名な超新星残骸のIC443です。写真では赤くクラゲ状に写っています。もう6年ほど前の冬の透明度の良い富士山西臼塚駐車場で初めて見れました。確かスタースプリッター45cmとOIIIフィルタの組み合わせだったと思います。眼視では見れないものと諦めていたので見れたときはちょっとした感動でした。
導入は非常に簡単です。ふたご座の特徴的な並んだ星であるμとηの間にあり、淡い星雲ですが位置は分かりやすい場所にあります。

それからNinja-400でも何回も見ていますが、クラゲ状には見えず三日月状というか、ブーメランのように見えます。写真に写っているクラゲの足はさすがに眼視ではまったく分かりませんでした。非常に淡くOIIIフィルタで低倍率にして透明度の非常に良い空で辛うじてという感じでしょうか。Ninja-320では分かりませんでしたので、ここは口径差が現れたものでしょう。
秋から冬にかけては天頂近くに見えますので、冬の透明度の良い空で狙ってみてはいかが。

DSSによるIC443

Ic443

アンドロメダの銀河団AGC262

秋は春と同じく銀河が見やすい季節です。特に春はなかなか透明度が良い日が少ないことや天候不順で秋の夜長が銀河が楽しむには最適でしょう。
その中でも幾つか目立つ銀河群/銀河団があります。このAGC262は密集度は高いほうではありませんが、13等級ぐらいの銀河も幾つかあり、割と見やすい銀河団です。

場所はアンドロメダ座とさんかく座の境界近くにあり、明るい散開星団NGC752のすぐ近くにあるため導入は容易です。NGC752から2度ほど南西に行った場所にあります。一般的な銀河群/銀河団は楕円銀河が多いのが普通ですが、このACG262は渦巻銀河が多いことが特筆できます。ただ渦巻銀河は多いのですが、Ninja-400ではいかんせん暗い銀河であるために渦巻ということは分かりません。
まばらな銀河団とは言え、中心部には0.5度の視野で8個の銀河が群れていてかなり見ごたえがあります。
Ninja-400ではこの銀河団の銀河として40個ほどカウントできました。中心部の銀河としては以下のものをリストします。

・NGC703    13.2等
・NGC704    14.1等
・NGC705    14.6等
・NGC708    13.7等
・NGC709    14.2等
・NGC710    14.3等
・NGC714    13.1等
・NGC717    13.8等

銀河の明るさからはペルセウス銀河団とほぼ同等の銀河団と言えると思います。

DSSによるAGC262

Agc262
中央部の青の円は視野0.5度の円

カシオペヤ座の散光星雲NGC281

カシオペヤ座の散光星雲で、割と小口径の望遠鏡も見ることが出来ます。この星雲は不思議でフィルタワークでHβフィルタが一番見栄えや広がりが良くなります。HβがOIIIより見栄えが良い星雲って、他にはカリフォルニア星雲、馬頭星雲、バーナードループくらいしか知りません。高いHβフィルタが役に立つ星雲です。"The Night Sky Observers' Guide"にもこのことは書かれておらずUHCでインプレッションが記載されているだけです。

どうもアメリカではパックマン星雲とか言われているようですが、私には舌を出している提灯のお化けに見えます。モンキー星雲よりも淡いくらいですが、短焦点屈折にしてもドブソニアンしても結構見栄えがする星雲ではあります。

双眼鏡でも空さえよければなんとなく星雲があることが分かります。

DSSによるNGC281
Ngc281

2005-09-16

プレアデス星団M45

この天体を書くのは勇気が要りますね。あまりに有名な天体で、平安時代の清少納言が枕草子の中で「星はすばる...」と詠んで、M45のことを書かれているのが日本では最初のようです。すばるの意味が縛るとか結ぶとかということだそうで、散開星団そのものの意味のようで面白いですね。

もうこの星団を初めて見たのはいつかも分かりません。たぶん小学生になるかならないころ、今よりは随分綺麗な空だった西宮市の空で見たのが最初だと思います。子供の頃はたぶん視力は3.0くらいはあったのでシャープにすばるの6つの星とPleioneも見えてました。視力は2.0までしか計れませんでしたが、2.0の環がハッキリ分かったので3.0くらいはあったのだと思ってます。ただ当時はそれほど暗いところで極限等級チャレンジをしたわけではないので、実際どれだけの星が見れたのかは分かりません。
今この年になっては6つがやっとです。

もう30年ほど前の天文ガイド誌に非常に暗い星が見える人がインタビューされていてM45の場合、55個の星々がカウントできたそうで、スケッチも残されてました。当時は驚愕でしたね。M45の範囲を広く取られてのカウントだったと思いますが、それにしても凄いと思いました。
ちなみにガリレオが彼の望遠鏡でこのM45を見て36個の星を数えたそうです。ガリレオは肉眼で6個しか見えない星々が36個も見えると驚いたそうですが、ガリレオ式で対物径が26mmと16mmの望遠鏡ではやはり厳しかったんでしょうか。

それぞれの星の名前と等級は以下のようになります。個名が付いたものだけです。

・Pleione        5.06等
・Atlas            3.63等
・Alcyone      2.88等
・Merope     4.17等
・Maia            3.88等
・Electra        3.71等
・Taygeta    4.30等
・Asterope    5.77等
・Celaeno      5.46等

またM45はどちらかというと散開星団の中で集合としてまばらな方で、1立方パーセクあたり2.8個の星があり、他の星団との比較ではM11が83個、M36が12個なのに比べるとまばらです。ただヒアデス星団のようにさらにまばらのものもありますから、散開星団にもいろいろパターンがあることが良く分かります。

ギリシャ神話としてはプレアデスの7姉妹だとされ、それでプレアデス星団とも言われています。人間のサガが爆発のギリシャ神話ですが、このプレアデスに関しては生々しい話はなくオリオンに追いかけられているだけだそうです。

このM45を観望するのは、私は双眼鏡か肉眼に限ると思っています。双眼鏡にしても7倍以下のものが良いですね。すばっている姿が倍率を上げてしまうと薄れてしまいます。高性能な双眼鏡でM45を見ているとため息が出ますね。当たり前に過ぎる超メジャーな天体ですが、たまにジックリ見るのも面白いと思います。

ドブソニアンで見る場合はMeropeやMaiaの周りの散光星雲NGC1432,NGC1435(IC349)を楽しんではどうでしょうか。淡くてなかなか気が付かないですが、低倍率で見ると特にMeropeの周りの散光星雲は確認しやすいです。さすがに色までは分かりませんが、OB型の星々の光を反射しているだけなので、OIIIやHβフィルタは逆効果です。ノーフィルタもしくはLPS-P2等の光害カットフィルタが有効だと思います。

明るい散開星団で全等級は1.2等もあります。星々が明るいだけに光学系の優秀さダメさが非常に良く分かる星団でもあります。

・M45        1.2等

DSSによるM45の写真

M45
青い円は視野0.5度

2005-09-15

アンドロメダ座βのすぐ傍の銀河NGC404

アンドロメダ座β(Mirach)は、DeepSky観望での要の星だと思います。この星の周りにはM31やM33などのメジャー天体や銀河群/銀河団などが多く、銀河巡りの目印になる星です。この星のすぐ傍にNGC404の渦巻銀河ありますが、Ninja-400では渦巻というよりも楕円銀河のようです。

アンドロメダ座βとNGC404の角距離は7'ほどであり、よく見ないとβ星のゴーストと間違えてしまいます。200倍以上の倍率をかけたほうが良く分かります。

昔、Sky & Telescope誌で彗星捜索家でも有名なレビーが、お気に入り10天体に選んでいた天体ですが、なかなか通好みの天体なようです。

導入が超簡単ですので一度お試しあれ。DSSではβ星の明かりが強烈で、光芒に消されてしまっています。

DSS写真によるNGC404
Ngc404

カシオペヤ座M103周辺の散開星団群

カシオペヤ座のあたりには、派手な散開星団は少ないのですが、小粒でキリッとした散開星団群が揃っています。その中でも特に大好きなのはM103あたりの緻密な小さめな散開星団が集まっている領域です。

M103はこじんまりとしていて可愛らしいのですが、どちらかと言うとNGC654とNGC663のペアが気に入っています。どちらも結構星数が多く見ごたえがあります。NGC654は密集していて5'の中に60個の星々がひしめいています。一方、NGC663は16'の中に80個の星々が集まっていますが、視直径が3倍もあるのでNGC654と比較するとまばらな感じです。

DSSの写真の視野は2度ですが、その中に6つの散開星団が群れています。観望するには双眼鏡か最近流行の双眼望遠鏡が最高ですね。超広視界アイピースで最低倍率で見ると至福の世界が広がります。
このあたりは散開星団でなくとも、天の川の中ですので微光星が沢山見えて、流しているだけでも楽しい場所です。

視野2度でのDSS写真
M103
青い円は視野0.5度を表現

2005-09-14

カシオペヤ座の美しい散開星団NGC7789

NGC7789は昔、彗星捜索などで有名な天文家であるレビーが大好きな10天体に選んだほどの散開星団です。メシエ番号が付いてもおかしくないくらい立派な星団で、星数も255から成ります。構成される星々はみな11等級よりも暗く、小口径の短焦点屈折で見ると恒星には分解されず淡くみることが出来て、私はこの星団は低倍率でSky-90や双眼鏡で見るのが最も美しいと思っています。

散開星団は星数が多いほうが迫力があり、また密集しているほうがより美しさを感じます。ただユニークな星列のような並びを楽しむのも一方あり、後は明るい輝星の色を楽しむのもありますね。天の川の中や近くに散開星団は存在しますが、リッチフィールドの天の川を短焦点屈折や広視界の双眼鏡で流してみて散開星団を見出すのは非常に心地よい川下りですね。最近、広視界の双眼望遠鏡が仲間でちょっとした流行となっていますが、これらに高性能で長焦点で広視界アイピースを組み合わせると、まさに天国を飛んでいるが如しですね。

NGC7789もカシオペヤ座の天の川の中にあり、星団の周りの星々のリッチさと突出して淡く星の集まりであるNGC7789と至福のフィールドが見れます。ちなみにNinja-400で見てしまうと興ざめですので、大きい散開星団全体を楽しむのであればやはりここは屈折の出番だと思います。

NGC7789だけでなくカシオペヤ座に点在する散開星団はまさに秋の喜びの一つですね。

DSSによるNGC7789
Ngc7789

2005-09-13

オリオン座μのすぐ傍にある惑星状星雲Abell12

オリオン座の右肩(向かってなので左のほう)のベテルギウスの左上の星であるμのほんのすぐ傍28"のところにある惑星状星雲です。13.9等と暗く輝星の傍なので確認するだけでも大変です。

Ninja-400ではOIIIフィルタを付けてかなり300倍以上の高倍率にすると輝星の傍で丸く淡くAbell12が可愛く見れます。スパイダー等の光芒に邪魔されないように注意が必要です。初めて見たのはもう3年ほど前でしたが、ちょっとした感動でした。

とにかく導入が超簡単なことと形状が丸く見えて面白いことから、お勧めです。どうしてもシーイングと透明度のよさが求められます。秋から冬に掛けてのしばれるくらいの寒い夜にいかがでしょうか。

・Abell12        13.9等    37"

DSSによるAbell12
Abell12

オリオン座のバーナードループ

天文雑誌の読者の写真コーナーでは定番のバーナードループでしたが、最近では飽きられたのか最近減りました。
名前の由来は、ご想像のとおり天文界では有名なバーナードが1895年に写真により発見したからです。尊敬する藤井旭さんの"全天星雲星団ガイドブック"や浅田英夫さんの"星雲星団ウォッチング"ではこの星雲は眼視では見れないということが書かれていますが、透明度の良い空にHβフィルタを使うと、割と楽に見ることが出来ます。時代の進歩というか眼視の世界も日進月歩なんだと思います。

このバーナードループを見るのには、視直径が長軸のほうで7度以上もあるため、ヌケの良い短焦点屈折が最適です。Sky-90にプラノキュラ(30mm88度)アイピースとHβフィルタを組み合わせるとオリオン座の北部に回りこんでいる姿を見ることが出来ました。南のほうはM42の南緯くらいまで見れます。ただ大変淡く写真で写るM42の下あたりはまったく分かりません。

Ninja-400の最低倍率でHβフィルタを組み合わせると見ることが出来ますが、視野を大きくはみ出してしまい逆に分かりづらくなります。散開星団NGC2112のちょっと南あたりが一番濃く感じます。まずはここを入れてみて周りと比べてみると分かると思います。もちろん使うテクはそらし目です。

バーナードループ自体はもともとは超新星爆発であったのが形状からも見て取れますが、現在は超新星残骸特有のシンクロトロン放射によって光っているのではなくオリオン座の若いOB星により紫外線を受けて光っているようです。それで散光星雲に分類されます。

一度、Hβのみ通過のコンテクトレンズでも作ってオーストラリアにて肉眼チャレンジでもやりたいですね(^^)/ OIIを通すのはありますが。意味が違うか(^^;
どうしてもHβフィルタだと視野が暗くなりますので、ブルーベリーでドーピングですか。

バーナード星雲あたりのオリオン座中心部星図
Sh2276

おうし座のかに星雲M1

栄えあるメシエの1番はこの"かに星雲"です。割と地味な"かに星雲"を1番に選んだということはメシエが彗星と間違えないようにと始めたカタログ作りで、彗星っぽいからでしょうか。M31とかM42では彗星と間違えもないようですしね。

M1は語りつくせないほど薀蓄があるかと思います。私が知っている薀蓄を披露すると。
まずは西暦1054年に現れた超新星の残骸だということですね。昔の本では惑星状星雲となっていたりしますが、あきらかに超新星残骸です。私も古い本でこの天体を知ったのでずっと惑星状星雲だと思ってました(^^;; メシエ天体で唯一の超新星残骸ですね。
超新星の記録は中国と日本に残されており、昼間で23日間、夜間では2年間も見れていたようです。まさに典型的な客星ですね。中国では明るい新星を客星と言っていたそうです。

アカデミックな話では、その超新星爆発の残骸としてM1として知られる星雲とかに星雲パルサーと呼ばれる中性子星が爆発の中心に残されて1969年に発見されています。この中性子星は1秒間に30回転という高速で回転していて灯台のように周期的にX線を含めた電磁波を放射しているそうで、この中心星というか元の恒星は残念ながら眼視では見れそうもありません。

かに星雲自体はあの有名なイギリスのロス卿が今から150年ほど前にスケッチをしてカニの足のようにフィラメントが見れたからとのことですが、そのころから形が変わったのか、あまりカニのようには見えません。ロス卿ほどの大口径で見たことはないので、大口径だとカニ状なのかも。Ninja-400でOIIIフィルタやHβフィルタを使うとなんとなくフィラメントが見れます。筋のように見えてきます。全体の形状はラグビーボールのようですね。Ninja-400でフィラメントを見るためには透明度が良い空が必要です。ちょうどDSSの写真を淡くしたような感じに見えます。

明るいのもありSky-90でも20倍の低倍率で形が分かります。佐渡島のように見えるとの意見もありますが、それほど中央部はくびれて見えないように思います。

・M1        8.4等

2003年1月5日にこのM1の前を土星が横切る珍しい現象が見れました。ちょうど1月5日は天候が悪かったのか見た記憶はありませんが、前日に見ましたが土星がM1に比べてかなり明るく、接近した時点でM1がほとんど見えませんでした。

*参考アストロアーツ:【投稿画像集】土星とかに星雲の大接近を捉えた

DSSによるM1
M1
右端はフィルムの端が写ったもの

この記事は本当はふねさんのネタだと思いますが、ふねさんの薀蓄をぜひぜひお願いしますm(__)m

ペルセウス座のNGC1023

NGC1023がメシエ天体ではないのは不思議なくらい明るくて立派な銀河です。視直径はアンドロメダ銀河M31の1/10くらいですが、形は非常に似ています。Ninja-400で見ていると双眼鏡で見たM31のようですね。ちなみに伴銀河が無いのでそこは寂しいのですが。周りに明るい星が並んでいて特徴的な形をしています。秋には天頂付近に来るので見やすくなります。

Ninja-400で詳しく見るとバルジの部分が膨らんでいるのが分かり、エッジオンの位置からちょっと斜めに見ているようです。

・NGC1023        10.4等

Ngc1023

ペルセウス銀河団AGC426

ペルセウス座β(Algol)から2.5度ほど東にあり、かなり密集した銀河団です。距離は2億3500万光年であり、うお座・ペルセウス座超銀河団の一部を成しています。この超銀河団は1000個以上の銀河を含むとのこと。

探すのは簡単でAlgolから辿ります。Ninja-320でも見ていましたが、この銀河団はなるべく口径が必要です。淡い米粒なような銀河がかなりな密度で集まっている様子が見えてきます。とくに淡いので長時間を掛けてじっくり見ることが必要ですね。一番明るい銀河NGC1272でも11.7等であり、他の銀河は13,14等ばかりです。
そのNGC1272傍のNGC1275は巨大な楕円銀河と渦巻銀河が衝突しており、そのため強力なX線源となっているそうです。おとめ座銀河団のM87のような存在ですね。HSTの写真では楕円銀河の前に複雑な暗黒帯が入り乱れて活動が激しい様子が見て取れますが、Ninja-400ではボーッとした楕円銀河にしか見えません。

ペルセウス銀河団ですがNinja-400では38個の銀河がカウントできました。ちなみに範囲は写真の倍ほどあります。代表的な銀河は以下のとおりです。

・NGC1265        12.1等
・NGC1275        11.9等
・NGC1272        11.7等
・NGC1273        13.2等
・NGC1281        13.3等

ペルセウス銀河団(AGC426) DSS写真

Perseus
プロットした銀河はNinja-400で見れたもの

うお座76番星の近傍の銀河群

うお座とアンドロメダ座の境界近くにある銀河群です。南北に8つの銀河が連なったように見えて面白い銀河群ですね。捜すのはアンドロメダ座β(Mirach)より、南にスターホップしての導入がお勧めです。銀河群自体は13等級くらいの銀河から成り立ちますので、口径30cmは見るためには欲しいところです。

・NGC379        12.8等
・NGC380        13.6等
・NGC383        13.4等
・NGC382        14.2等
・NGC386        14.3等
・NGC385        12.9等
・NGC384        13.1等
・NGC388        14.3等

傍にも13等くらいの銀河が多く見られます。春のおとめ座銀河団ほど派手ではないですが、山椒は小粒でという銀河も多いですね。

Ngc379

うお座のM74

うお座にありますが、捜すのはいつもおひつじ座の特徴的な三角形から辿ります。うお座のηを見つけて、その傍にあります。透明度の良い日はSky-90に低倍率でも見れます。
Ninja-400ではなんとなく2,3本の銀河の腕が見えますが、典型的なフェイスオン銀河なので空の状態が悪いと途端に見栄えが悪くなりますね。

・M74        10.0等

等級は明るいのですが、意外と辛いです。メシエマラソンでのスタートの銀河としても知られてますね。ただ淡いので夕暮れの薄明中に見つけるのはかなり難しいかもしれませんね。チャレンジしたことが無いので何とも申せませんが。

M74
DSSのプレートの関係で端にずらしています

2005-09-05

NGC891と周りの銀河群

NGC891はパロマ写真集で有名なエッジオン銀河です。エッジオン銀河で典型的なものの一つです。暗黒帯が見事に横一直線に入り、Ninja-500(50cmドブソニアン)で見たNGC891はシーイングも良かったせいか、暗黒帯が波をうっている様子まで分かりました。

この銀河は面積あたりの光度は低いようで、透明度が悪い空だと悲しいくらいに見えなくなります。暗い空と透明度が必要ですね。実視等級10.8等よりも暗く感じます。12等級くらいの感じでしょうか。視直径は14.3'x2.4'となっていて長さは満月の半分もあるのですが、エッジオンの面目躍如で幅は直径の1/7です。非常に均整の取れた銀河ですね。

・NGC891        10.8等

この銀河の形、大きさとも銀河系に非常に似ていて銀河系を横から見たようだと言われています。そう思いながら見てみるのも一興ですね。

さらにこの銀河の傍には0.5度ほど離れた場所にAGC347という銀河群があります。総じて13等級よりも暗いので、地味な銀河群ですが、NGC891の近くにあるため導入は容易です。ぜひ大口径ドブをお持ちの方はチャレンジしてみてはいかがでしょう。
Ninja-400では銀河として12個が数えれました。秋には天頂付近に来て意外とよく見える銀河群だと思います。

NGC891と傍の銀河群AGC347
NGC891
*表示の銀河は確認できたもの

2005-09-03

M33

超メジャー天体のさんかく座にあるM33です。透明度の良い最高の条件の場所であれば、肉眼で確認できます。さすがに直視では見たことがありませんが、そらし目では富士山新五合目で確認できました。ボーッとした存在が分かる程度です。

Ninja-400で見てみると、大きく銀河の腕が2本見えるのとほかにも渦を巻いているのが良く分かります。またHII領域の存在や、大きな散光星雲であるNGC604が確認できます。ハッブル宇宙望遠鏡の写真でも有名になりました。ノーフィルタよりもアイダスLPS-P2フィルタを掛けると一層分かりやすくなりますし、OIIIフィルタならバッチリです。
倍率を上げてみても面白いですね。よその銀河でこれだけハッキリした散光星雲が見えるのは感動ですね。それだけ遠方でも大きくみえているということは、銀河系のローカルグループでも有数な散光星雲ということです。

ハッブル宇宙望遠鏡の写真を見ると、大マゼラン雲の中にあるタランチュラ星雲を思い出させます。複雑に暗黒星雲が入り組んだ様はまさに異様でグロテスクですね。

M33はフェイスオンで渦巻きを直接こちらに見せているので、空が悪いとテキメンに見栄えが悪くなります。市街地で見ると情けなすぎる姿です。ぜひとも良い空で見てみたい天体ですね。

M31には球状星団が200個以上カウントされていますが、M33にはほとんど見られません。銀河系はM31ほど大きくなく、M33に近いようですが、球状星団が少ないのはどういう理由なのでしょうか。不思議ですね。

ハッブル宇宙望遠鏡でのM33とNGC604
96-27


M33のDSS写真

M33

おひつじ座1番星の周りの銀河群

おひつじ座の特徴的な三角形の真ん中の星の近くに1番星があります。その星の周りに次の銀河が群れていますが、重力的な関係があるのかどうかは分かりません。
Ninja-400で見れたものをリストします。

・NGC678    13.3等
・NGC680    11.3等
・NGC691    11.4等
・NGC694    13.7等
・NGC695    13.8等
・NGC697    12.8等
・IC167        13.1等

渦巻銀河が多いので、たまたま同一方向に集まって見えているだけかもしれません。意外と明るい銀河が多く、口径20cm程度でも結構楽しめます。おひつじ座1番星も慣れると簡単に見つかりますので、導入も早いです。

NGC680

2005-08-31

こぎつね座 M27(スケッチ)

先日のふねさんの投稿でのおすすめとは違って、小口径・低倍率・ノーフィルターでのM27です。
横方向への広がりははっきりしませんが、縦横にムラのある円形であることはわかります。
スケッチではやや先入観があるのか、横方向にだいぶ広がって描かれていますね。(^_^;

m27
(スキャンした鉛筆画をフォトショップで階調反転)

ビクセン シャトルスコープ80s(口径80mmF6)+ LX-21mm(天頂プリズム併用)
2004.10.17, スターフォレスト御園

2005-08-28

三裂星雲M20

M20は暗黒星雲が複雑に入り組み、星雲を3つに大きく切り裂いています。それで三裂星雲(Trifid Nebula)と呼ばれています。Trifidって有名なSFに出てくる歩く植物怪物ですね。Trifidの名付け親はハーシェルだそうです。M20自体の姿があまりにシュール(サイケデリック)なので、キングクリムゾンのアイランドのジャケットに使われたりと、不思議な雰囲気を醸し出す星雲です。

実際には結構淡い星雲で、M8(干潟星雲)が明るいのにこちらは空の状態が悪いと途端に見づらくなります。特に三裂している暗黒星雲の入り組んだ様子はかなり空のよさが必要です。Ninja-400(40cm反射ドブ)で、最高の夜空では、複雑な暗黒星雲の様子は勿論、星雲の色もなんとなく分かります。三裂しているほうが赤っぽく、北の星雲のほうがなんとなく青っぽいのです。最初に色を感じたのは7,8年前の富士山須走五合目ででした。望遠鏡はNinja-320です。

ドブソニアンで拡大して見るのも素晴らしいのですが、大口径の双眼鏡でM8とM20を同一視野に入れて最高の空で見ると、バックの天の川との対比とか非常に素晴らしい眺めとなります。M8に比べるとM20は可愛らしいのですが、そばにある散開星団M21も含めると3度くらいの実視野でダイナミックな眺めです。

もう6年ほど前ですが、ゴールデンウィークの新五合目でNikon18x70IF双眼鏡で見たこの眺めは最高でした。実視野4度の双眼鏡ですが、瞳径4mm弱となり富士山の空の暗さだとジャストフィットという感じです。ちなみに素晴らしい空というのは富士山新五合目で雲上になったときが多いですね。普段は富士市、沼津市、三島市の光害の海の中で南天を見ますので、どうしても雲海が出来ないと南天低くは難しいのです。

M20

こぎつね座の惑星状星雲 : M27 : アレイ状星雲

昨夜、富士山の七曲駐車場にFさんご家族、安田さんと出かけて、ちょうどこの対象を見てきました。Fさんはこの対象を一眼デジカメで撮影されていました。

折から、ちょうど入手したての安田さんの新兵器のファーストライト、私は入手後初遠征の微動付き経緯台に125mm屈折を載せての3者3様のM27観望でした。

余りに有名だから座標などのデータを割愛します。

125mmで114倍の倍率で見ると、よく目にするダンベル状に見えます。
ところが、安田さんの40cmで見ると、ダンベル状の部分の1.5倍くらい大きくダンベルの持ち手に垂直方向に楕円状に伸びる光芒がやけに大きく目に付く。
一眼デジカメだと、ダンベル状の部分は斑に赤からピンク色の色が付いて写り、楕円状に伸びる光芒はダンベル部分とは異なる色をして写っていた。

このように、口径によってか、あるいはフィルターによって見え方は著しく異なります。
この星雲の中心星はいったいどれなのかと探し回ったことがありますが、余りにたくさんの星が星雲に埋もれて見えていて、どれが中心星なのか皆目見当がつきません。

ちょうど今の季節は天頂近くにあるこの対象がとても綺麗に見える時期と思います。
皆さんも一度、フィルターを変え、倍率を思い切って高倍率にするなど、これまでのこの対象との付き合い方をひとつ変えてご覧になってはいかがでしょうか?。

m_27

惑星状星雲の楽しみ方

これまで、自分の37cmドブソニアンで見えた惑星状星雲を中心に夏~秋の見ごろな惑星状星雲をおおむね網羅して紹介してきました。

ここでは、一度、惑星状星雲について整理して、惑星状星雲の楽しみ方(私の事例)を紹介させていただきます。

惑星状星雲を好きになった訳

ちょうど20年近く前にマゼラン雲に超新星1987Aが現れました。その数年後にはその超新星の残骸の回りに明るいリング状の星雲が形成されていることがハッブルの望遠鏡などで発見され、確認されました。ちょうど、ハレー彗星の地球接近の後、見るべき対象を見失ってしまった自分にとっては超新星の発見やその残骸に発見されたリング状の星雲はとても印象に残っています。

その後しばらくは明るい超新星が発見されるたびに、その光度観測を行うようになりました。昔、高校生の時に変光星の観測を集中して行っていた経験があることから、昔を思い出しながら、楽しい日々を送っておりました。

そんな折、少しでも暗い超新星を見たいと思うようになり、それまで使っていた13cmの反射望遠鏡を手放し、21cmの反射望遠鏡を手にします。ニュートン式反射からカタディオ系反射にしたことで高い倍率が手軽に得られるようになり、より暗い星を見れるようになりました。そこで出会ったのが惑星状星雲です。

超新星爆発とは直接関係ありませんが、リング状の星雲という点では似たような対象だったと思います。しかも、惑星状星雲を見るのに適したフィルターの存在を知り、それを手に入れて見た惑星状星雲の姿はそれまでのノーフィルターで見る惑星状星雲の姿とはかなり異なっていました。有名なM27を見ると、その姿はそれまで写真で見ていたダンベルの姿とは様相が大きく異なっていました。ダンベルの持つ部分に垂直方向にボーっと錘の部分の大きさよりも大きく光芒が伸びているわけです。その時の驚きは忘れられないものとなりました。

これまで紹介してきた惑星状星雲の多くは明るさが10等よりも暗いものです。これらの姿をフィルターを通してもう少しはっきり見たいと思い始めてドブソニアン望遠鏡の入手に至ります。それから見る惑星状星雲は後に紹介する中心星も見え始め、それまでの惑星状星雲観望の趣とかなり異なってきました。写真を撮影する趣味を持っていない故に、紹介する惑星状星雲は全て眼視での観望対象としてのご紹介です。

惑星状星雲の見方(私の事例)

惑星状星雲を見る時には次の2つの点に注意が要ります。
1.  惑星状星雲の波長を通す、バンドパスフィルターを付け、コントラストを上げて観望する。
2.  できる限りシーイングの良い時に、でき得る限り倍率を上げてみる。

私の場合には37cmドブで7mmアイピースに2倍バローをつけて、476倍で見ることが多い。
ファインディング用アイピースは12mmですので、278倍となります。シーイングの悪い時にはその半分(バローレンズを外して)の139倍で見ることが多い。ちなみに、シーイングが悪い時には、例えば91cmの望遠鏡をもってしてもM57の中心星を見ることはできませんでした。その時の倍率はおよそ300倍とおうかがいしました。

中心星を見るには大抵の場合には300倍程度の倍率では見えず、500倍近くの倍率にしないと見えない。したがって、倍率を余り上げられないようなシーイングが悪い時には中心星を見ることはほとんど無理なことが多いので、さっさと他の対象を見るように諦めをつけるのが肝心。

低倍率でも楽しめる、あるいは低倍率でないと見えないようなM27NGC7293以外ではそもそも本体の大きさが1'も無い対象が多いわけだから、惑星と同様あるいはそれよりも小さいわけなので低倍率で見てもその構造はもちろんのこと、中心星を見ることはほとんど無理。細かな構造を楽しめるのは惑星を見る時と同様にかなり倍率を上げて見るのが良い。露出オーバーになった写真と比べると眼視の方が細かく見えていることに気付くのは惑星観望と似たような部分があります。紹介するのに使う星図はDSSからのものなので、特に明るい惑星状星雲の場合には露出オーバーとなっていて本体の複雑な構造はほとんど写し出されていないと思った方が良い。

惑星状星雲の生い立ち

惑星状星雲の生い立ちに関しては様々な文献があるので、詳細を記述するのは避けさせていただきます。

多くの惑星状星雲の実際の大きさは直径およそ数光年程度です。中心星はもとは太陽質量の0.5倍~4倍程度の重さの恒星でした。それが進化する過程で外側の水素が燃え尽きる前に、中心部のヘリウムに火が付き、炭素や酸素を作り始めますが、この質量では炭素や酸素に火が付くことはなく、ヘリウム燃焼シェルができた段階で,赤色巨星化します。この赤色巨星時代に外層大気をゆっくりと放出し、惑星状星雲の元を作り出します。その後、元の恒星は炭素と酸素ばかりで大部分のコアが白色矮星へと縮小してしまいます。

この白色矮星からの紫外線放射を受けて、放出された外層大気が照らし出され惑星状星雲として見えると言われています。

最近の観測ではこの最後の段階での大気放出が球シェル状(球対称)ではなく、双極流的に、2方向にジェット流のように放出されると考えられる事例が多く見つかっています。例えば、M2-9M76NGC6302CRL2688などの砂時計状(バタフライ状)の惑星状星雲です。

これからの惑星状星雲観望

このような見るのにはかなり辛い思いをしないと見えないような惑星状星雲ですので、一般に紹介されていないものが多いのが実情です。しかし、意外に見易かったり、ドブソニアンをお使いの方であれば余り使うことがない倍率かもしれませんが、口径(mm)の1倍~2倍というチャレンジャブルな倍率とフィルターを駆使することでハッブルが映し出すような惑星状星雲を自身の眼で見ることができます。ということで、まだ見たことのない対象を含め、まだまだ私の惑星状星雲観望は続くと思います。何せ,カタログ上は1,600個ほど見つかっているそうですから。さらにはつい2年ほど前に惑星状星雲が形成され始めたもの(V838 Mon)まで発見されており、ドブソニアンを使いこなせる間中楽しませてくれるものと思っています。


2005-08-20

UGC 3697 : Integral sign galaxy

UGC  3697
Magnitude: 12.9
RA: 07h 11m 24s
Dec: +71°50' 00"

Size: 3.5 x 0.3

Integral sign galaxy

一度だけしか見たことがありませんが、写真のように曲がった感じには見えず、直線状でした。

pgc_20348

2005-08-15

NGC5128

ケンタウルスAと呼ばれ全天で一番明るい電波天体ですね。まあ銀河系は除きますが。三原さんの写真に触発されて掲載しました。
DSSの写真を載せますが、なんと短焦点屈折+デジタル一眼がほぼ互角で写ってます。NGC5128の描写では解像度はDSSのほうが高いようですが、カラーで潰れないでラチチュードが広く写っているのは驚異ですね。またNGC5128の極方面へこの銀河が広がりがかなりあるのが両方の写真で見ることが出来ます。これは眼視では感じませんでした。
まあ写真の素人の私がコメントするのはこれくらいにしときます。粗が分かってしまうので(^^;;

このNGC5128はオメガ星団よりほぼ真北に4度ほどの位置にあり、赤道儀であればオメガ星団を入れて北極星の方向に鏡筒を振れば簡単に見えてきます。
この天体を見るのは冬から春になりますが、新五合目が使えない季節なので、富士山西臼塚駐車場や粟倉駐車場で見ると、なさけないくらいの中心部近くの淡い銀河と暗黒帯がなんとか確認できるだけです。
南天が暗い場所では途端に迫力が増し、複雑な暗黒帯の様子が見え出します。これだけ迫力の暗黒帯が見えるのはNGC5128ならではでしょう。

またNGC5128の近くにはケンタウルス銀河団があり、銀河好きにはたまらない場所です。

NGC5128

ろ座の矮小銀河(Fornax Dwarf)と球状星団NGC1049

ろ座にある我々銀河系の近傍にある仲間とも言える矮小銀河MCG-6-7-1です。矮小銀河でもかなり淡い部類で、眼視ではちょっと見えそうもありません。
ただし銀河系に近いためか球状星団は幾つか見ることが出来ました。

特にNGC1049が特に明るく、ろ座矮小銀河で唯一NGCナンバーが付けられています。Ninja-400で見てみると、球状星団らしく滲んだ感じで見えてきます。他の球状星団は恒星のようにしか見えませんでした。

NGC1049の視野

NGC1049

銀河系外の球状星団でこれだけ簡単に見えるのはなかなかありません。アンドロメダ銀河のG1などがありますが、NGC1049ほどは明るくありません。
以下に見れたもののデータを記します。

・NGC1049        12.6等    0.8'
・Fornax5          13.4等    1.7'
・Fornax4          13.6等    0.8'

以下はまだ見れてません。
・Fornax6        --          0.6'
・Fornax2          13.5等   0.8'

矮小銀河のほうはDSSの写真でもかなり淡くかろうじて写っているだけです。
写真派の皆様、一度チャレンジしてみてはどうでしょうか。最近のデジタル一眼ではDSSの写真よりも暗いものが短焦点屈折でも写るようです。

ろ座の矮小銀河全景(NCG-6-7-1)

Fornax

2005-08-14

グリーンフラッシュ

グリーンフラッシュを初めて見たのは、偶然からでした。もう7,8年前だと思いますが、秋で確か10月でした。場所は富士山須走五合目の第2駐車場でした。透明度の非常に良い夜で、ずっとNinja-320でDeepSky天体を観望して、結構疲れて撤収をしようと片付けた後、素晴らしく透明度が良く房総半島の山々までくっきり見えて下界はまさに神奈川の光害やスモッグがあるのですが、異状にくっきり見えたので視程は200kmほどはあったんだと思います。
それまではほとんど夜が明ける前に撤収していたのですが、その時はあまりの透明度の良い空と観望後の心地よい疲れで、たまには日の出でも見てみるかという余裕の気分でした。寒かったので車の中から双眼鏡で構えていました。周りには数台車が泊まっているのですが、星屋さんはぜんぜんおらずアベックばかりです。良い雰囲気を味わいにきたのでしょう。
その時の透明度の良さを表現すると、FUJINON10x70FMT-SXで見た視野で地平線が入っているのですが、なんと視野の中の空が青く見えるのです。かなり低い雲がたなびいて見えて遥かかなたの巻雲で数100kmほど先なんでしょうが、その雲が陽光を浴びて金色に輝いていて荘厳な感じでした。それが視野6度ほどで見えているのです。
そうこうしているうちに太陽が昇ってきました。FUJINON10x70で見ていたのですが、危なくなったら肉眼に切り替えようと思って、2,3秒後だと思いますが、急に登った太陽のすべてが緑が広がり全部緑になったのです。まさにグリーンフラッシュです。グリーンフラッシュを見るために双眼鏡を見ていたわけではないので、まさに腰を抜かさんばかりに驚きました。元々はダイヤモンドリングを見るがごとく、その背景の素晴らしい眺めを見ていただけですので。
グリーンの状態はたぶん1,2秒続きましたが、その緑の広さは素晴らしいものでした。たぶん肉眼でも緑にフラッシュしたハズです。
他の人といえば数台のアベック車ですが、皆、寒いので中に入っています。肉眼で見えたか聞こうとかなり悩みましたが、止めました。どう考えても危ないオヤジに見えてしまうので。そういうことで私のグリーンフラッシュ初体験でした。

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そのフラッシュの印象が非常に強くNIFTYのFSPACE会議室や富士山くらぶ(富士山あすとろくらぶの前身)のMLでこのことを書きました。騒いだことでなんとなく仲間が出来て、次の月もグリーンフラッシュを見ようと、須走五合目で観望後も日の出を待つことになりました。その結果、最初のフラッシュほど豪勢ではなかったのですが、結構見れました。都合須走五合目では3回ほど見れました。
最近は須走五合目は光害がひどく、もっぱら新五合目で見ていますが、秋口でのグリーンフラッシュをもう一度見てみたいですね。

****

グリーンフラッシュを見る機会が去年から遠征しているオーストラリアでようやく出来ました。去年の9月中旬にオーストラリアのクーナバラブランに行ったのですが、偶然、双眼鏡を向けていると昇る太陽の一部がグリーンでした。
さらに今年の6月ですが、そこでは晴れていれば参加した8名全員が双眼鏡や双眼望遠鏡を昇ってくる太陽に向けるという一大イベントに発展?しました。そこでグリーンフラッシュを3回目撃し、1回はブルーフラッシュになりました。太陽のほんの一部ですが、本当に青く見えました。これにはさらに吃驚。冬のオーストラリアで空気が澄んでいたせいでしょうか。ただあまりに空気が整流であるためか、須走で見た素晴らしいグリーンフラッシュほどはありませんでした。

須走の場合は都会の空気を通して遥か遠方の房総の山々の先に見えた太陽が軽い蜃気楼を起こして緑が広がったものだと理解しています。

***双眼鏡や望遠鏡で太陽を見るのは非常に危険な行為ですし、皆既日食などの観望と同じ注意が必要です!!!!

オメガ星雲M17

超メジャー天体です。私は散光星雲の代表と言えば、冬はM42(オリオン大星雲)、夏はこのM17だと思ってます。大きい星雲となればM8とかがあるのですが、その形の見事さ、複雑な内部の構造とかでM17がより見ごたえあるのではないでしょうか。
この星雲をドブソニアンで見ると大抵の人は驚きの声を上げますね。

この星雲はもう最初に見て30年以上経っているので、最初の感想は忘れてしまいました。市街地で見ていたので、ボーッとしか見えなかったのですが、Ninja-320を入手して富士山須走五合目でこの星雲を見たときは、吃驚しました。透明度の非常に良い夜でしたが、白鳥の姿だけでなく尻尾もまるくみえて、Ωの字に見えるんですよね。あとは白鳥の胴体のところが複雑な縞が入り組んで見えて、散光星雲としての複雑な構造は特筆すべきものですよね。
この次に素晴らしいと思ったのは、富士山新五合目のバス駐車場で見出した時に舟田さんの37.5cmドブソニアンでファーストライトの時でしたか、6月の雲上で素晴らしい透明度の夜に見たM17の姿ですね。

場所はいて座とへび座、たて座の境界あたりになります。空さえ良ければ双眼鏡で簡単に確認できます。
南伊豆の最高の夜やオーストラリアでは肉眼でもなんとなく存在が分かりました。バックに散開星団NGC6618もあるから見えたのかもしれません。NGC6618ですが、カタログではなんと星数が660もあります。ただNinja-400でもそんなに見えませんので、微光星が広範囲に散らばっているのでしょう。

DSSの写真では露出を抑えたためか、眼視でドブで見るよりかなり淡くしかM17は写っていません。

M17

2005-08-13

うお座の見ごたえある銀河群NGC7619etc

うお座の見ごたえのある銀河群を紹介します。
MegaStarのカタログはされていませんが、これだけ明るい銀河が密集しているのは何かの銀河群や銀河団であろうとは思います。偶然同じ方向にこれだけ銀河があるとは確率的にかなり稀でしょうし。

DSSの写真では視野の中に46個の銀河がリストされますが、さすがにそれだけは見えませんが、Ninja-400でカウントしたところ12個が見れました。そのリストを以下に書きます。

・NGC7619    11.0等
・NGC7626    11.1等
・NGC7623    13.3等
・NGC7611    12.5等
・NGC7617    13.8等
・NGC7631    13.3等
・NGC7608    14.0等
・NGC7615    14.3等
・NGC7612    13.7等
・IC5309       13.7等
・UGC12510  14.0等
・UGC12522  14.7等

晩秋の透明度の良い空で確認できたものですが、さらに透明度が良い対日照が見えるような空で挑戦してみたいですね。

どのDSS写真もそうですが、青い円は0.5度の視野を示しています。Ninja-400でもっともバランスが良い視野だと思ってます。倍率は160倍程度になります。瞳径が2.5mmで光害の多い日本ではちょうどくらいでしょうか。また月の大きさですので、参考にしてください。

DSSの写真

NGC7619

導入チャート

P050813_195004

ケフェウス座の明るい惑星状星雲NGC40

明るい惑星状星雲です。視直径も1'はあります。見ごたえのある惑星状星雲ですね。中心星は11.5等なので見えかどうかは忘れましたので、今度確認してみます。

・NGC40   10.7等

赤緯が高い(大きい)ため、年間で楽しめます。

NGC40

カシオペヤ座のバブル星雲NGC7635

この天体は天文雑誌の読者の写真等では有名な星雲です。赤くて、中心部分が泡のように写る特徴的な星雲ですね。
DSSの写真のようにM52から辿れば簡単に見つかります。Ninja-400にOIIIフィルタを入れてプラノキュラーで最低倍率にして見ると、なんとなく泡の部分も分かりますが、全体的にかなり淡く、透明度の素晴らしく良い空でないと確認するのも困難な天体です。OIIIフィルタの威力が出る天体ですね。
ちなみにこの天体はかなり前から見ていたのですが、泡の部分って見えないものだと思っていましたが、よくよく確認してみると泡が分かるようになりました。集中して見ることは大切ですね。

NGC7635

2005-08-12

つる座の見ごたえある銀河群NGC7582etc

NGC55よりもさらに3度ほど南になりますので、かなり見づらい天体ですが、南天の透明度が抜群に良い空でチャレンジしてみてください。
厳密には銀河群ではないようですが、私は南天の"Grus Triplet"だと勝手に名づけてます。まさにしし座のM65,M66,NGC3628に相当する素晴らしい見え方です。特にオーストラリアで見ると天頂近くに昇ってきてNinja-400で見ると似たような大きさ見え方の3つの銀河と、ちょっと離れた場所に一つ銀河が見えます。構成する銀河は以下のとおりです。

・NGC7582    11.4等
・NGC7590    12.1等
・NGC7599    12.1等
ちょっと離れて
・NGC7552    11.3等

NGC7582

2005-08-10

ステファンの5つ子

NGC7331を書くとすると次はステファンの5つ子(Stephan's Quint)を書かないわけにはいきませんね。Hickson92とも呼ばれていて重力で関係する銀河が4つ近接しています。全天でもそこそこ明るい銀河が4つも集まっている例は少ないです。NGC7320はたまたま同一方向に見えているだけで、後の4つとも縁もゆかりも無いそうです。

各天体の等級は以下のとおりです。
・NGC7317    13.6等
・NGC7318A  14.3等
・NGC7318B  13.9等
・NGC7319    13.1等
・NGC7320    13.2等

光度としてはかなり近いものがあります。5つ子たる所以でしょうか。
私がこの天体を最初に見たのはもう9年ほど前にNinja-320で富士山須走五合目で見ました。それから何回もNinja-320で見ていますが、どう見ても4つまでしか見えずNGC7318AとBが分離して見れなかったのです。Ninja-400を購入して真っ先にこの天体を見たところ、綺麗に銀河のコアが見えて初めて5つの銀河を確認できたのです。
Ninja-320と400の口径差を初めてハッキリ確認できた天体でもあります。

今ではドブの対象としてかなり有名になりました。淡い米粒のように見えてなかなか味わいがあります。ぜひ大口径で見てみたい天体でもありますね。

ちなみにNGC7331のほんの0.5度南西に離れた場所にありますので、導入はNGC7331を見つけると意外と簡単です。透明度の良い暗い空であれば、ちょっと視野を振るだけで簡単に淡い天体が集まるボーッとした領域が分かるハズです。ぜひ200倍以上で見てみると良いと思います。倍率が高くても結構見えますし、NGC7318A,Bに分離せず5つ子には見えませんよ。

NGC7331とステファンの5つ子
(青の円は0.5度の視野)

Stephen

ステファンの5つ子 拡大写真

Stephen1

2005-08-08

NGC7331と伴銀河群

ペガスス座にある銀河です。
この天体のすぐ傍、0.5度ほど南西には有名な"ステファンの5つ子"があります。この銀河自体かなり明るく立派なもので、メシエ天体になってもおかしくないほどの天体です。等級は9.4等で、姿は超有名なアンドロメダ銀河をそのまま小さくした風です。ミニアンドロメダとでも呼びたいくらいですね。

この銀河には割りと明るい伴銀河群があり、特徴的な三角形の星の並びの傍にNGC7335(14.4等)、NGC7337(15.2等)、NGC7340(14.7等)の3つが見えます。Ninja-320で良い空であればかろうじてそらし目で見える感じで、Ninja-400ではさらに確実に見えました。
空の状態が少しでも悪くなると、まったく見えなくなるため、空の状態のバロメータに使ったりしていました。
他にも近くには銀河があるのですが、天体が暗いためか見れたことはありません。

この銀河を見るのは200倍くらいで迫力満天で見てみたいですね。まさにアンドロメダ銀河を30倍くらいで見ている雰囲気になります。

NGC7331

2005-08-01

アンドロメダ銀河の巨大な球状星団G1

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の写真で有名な、お隣の銀河であるアンドロメダ銀河の球状星団です。この球状星団は銀河系最大のオメガ星団より大きく、ローカルグループ最大で明るいものです。

この球状星団を見るためには空の透明度もさることながら、シーイングも必要です。なにせ視直径がMegaStarだと30"ですが、実際に見えるところは10"もありません。倍率も最低でも200倍でなんとか見えてきます。お供の星は実際には銀河系内の星ですが、M13を低倍率のファインダで見たような見え方です。

もう8年ほど前ですが、Ninja-320でHSTで有名なこの星団が見えるかどうか分からないのですが、チャレンジしてみました。意外や意外、結構見えたので吃驚しました。それもG1のところは滲んだような感じで、球状星団を彷彿とさせました。確か寒い富士山須走五合目でしたが、シーイングと透明度がかなり良い秋の空でした。
海外も含め、当時紹介されたものは無かったのですが、今や定番に加えても良いと思いますね。遥か200万光年も離れた球状星団がアマチュアの望遠鏡で見えるわけですから。

このG1はアンドロメダ銀河の傍に見えるわけではなく銀河の中心から2度も離れています。それも珍しいようです。

試しに銀河系で最大の球状星団オメガ星団(NGC5139)を、アンドロメダ銀河の位置まで持っていくとどうなるでしょうか。オメガ星団までの距離は17,000光年、等級は3.9等です。アンドロメダ銀河までは2,900,000光年なので、距離で約170倍となり、天体は距離の自乗で暗くなりますので、オメガ星団は11等ほど暗くなります。つまり15.0等級で見えるハズです。G1の等級は13.7等なので、G1のほうがやはり明るいのですね。1.3等違うと3倍程度明るいことになります。
ちなみに視直径で考えるとオメガ星団は55'(MegaStarでかなり周辺までカウントされてます)で、0.32'となり、G1の0.5'よりやはり小さくなります。南天で見るオメガ星団を想うとこのG1をぜひ近くで見てみたいものです。

視野1度で見たG1(三角形の形が分かります)

G1-1

視野10'で見たG1(三角形の頂点にG1は見える)

G1-2

導入チャート(M32から簡単導入)

P050801_024115

HST画像によるG1

m31gc1

小さいながらピリリと辛い散開星団IC361

この天体はドブソニアンならではの散開星団です。普通ドブでは倍率が上がり散開星団はまばらになってしまい短焦点屈折の独壇場です。この天体は口径30cm以上で有効最低倍率で楽しみたいですね。

Ninja-400で見ると非常に細かな微光星が、淡く見えて幽玄です。なかなか口径40cmでも星に
分解せず、面白い見え方ですね。なにせ全光度が11.7等ですので、それぞれの恒星は暗いのですが、星の数が60個もあり、それが淡く見えるようです。

IC361

きりん座の淡くて巨大なフェイスオン銀河 IC342

きりん座の北部にある淡いフェイスオン銀河です。全高度は9.1等と銀河としてはかなり明るいのですが、視直径が大きくNGC253の長さを円形にしたほどです。そのため面積あたりの光度が落ちてしまうことと、周りが天の川の中ですので、よほど光害が少ない観望地でないとなかなか見つけるのは難しいですね。

私がこの銀河を初めてみたのは、2年前の高峰高原ででした。11月の寒い透明度の良い夜でNinja-400で見れましたが、なるべく口径が欲しいところです。なんとなく淡く見えると感動です。ホント大きいのを実感します。この銀河が見えるというのは、かなり条件の良い観望地ということだと思います。

これだけ大きいということから容易に想像付くと思いますが、銀河系に近いということですね。つまり銀河系の仲間であるローカルグループ(局部銀河群)に属した天体です。夏秋で天上に昇ってきます。一度、チャレンジあれ。

IC342

2005-07-29

散開星団と銀河のナイスペアNGC6946,NGC6939

全天で散開星団と銀河のナイスペアと言えば、NGC6946とNGC6939に勝るものは無いでしょう。等級も大きさもほぼ同じで、片方はよく見ると細かい星々の散開星団、片方はうっすら腕の見えるフェイスオン銀河。それぞれ7.8等、9.6等ですが、空さえ良ければ同じくらいの明るさに見えます。

またケフェウス座にあるので、割と長期間見えていることもあり、空の透明度を測るバロメータにもしています。空がちょっとでも悪いと、銀河のほうは見えなくなってしまいます。フェイスオン銀河の場合はM33,M101など皆、光害には弱いですね。

去年の夏でしたか、このペアの銀河のほうNGC6946に超新星が現れました。かなり超新星が頻度高く現れる銀河としても有名なようですね。銀河内部が活発に活動中なのかもしれません。

このペアはメシエナンバーは付いてませんが、十分なメジャー天体ですね。「星雲・星団ウォッチング」でも紹介されています。私のほうかなりお気に入りペアですね。

DSSによるNGC6946,NGC6939
NGC6346

2005-07-24

ヘルクレス銀河団AGC2151

昔で言うとパロマの写真集で有名な銀河団です。銀河団の中心近くのNGC6045という変形した銀河が目印です。
場所はヘルクレス座とへび座の境界近くにあり、へび座の頭となる二等辺三角形の星の近くになります。

決して明るい銀河は無いですので、どうしても口径30cm以上の望遠鏡が対象となりますね。一番明るい銀河でも13等級台後半です。Ninja-400では透明度の抜群に良い空で30個の銀河を数えることが出来ました。15.5等くらい見えていた夜ですね。
カタログされているものでもこの写真の視野で100個以上の銀河があります。

一度、大口径で最高の夜にどれだけ見えるかカウントしてみたいものです。写真の対象としても面白いものですね。

AGC2151

日本からの極限 さいだん座の球状星団NGC6397

日本からは南中時でのカノープスと同じくらいの高さにしか見えませんので、超難関な星団です。私も富士山新五合目にて透明度が抜群によい夜に1回しか見れていません。それも星に分解までは出来ずボーッとした状態で確認できただけです。
南西諸島とか伊豆諸島まで行けば結構見えるのだとは思います。

この星団はさいだん座というさそり座の南にある星座にあります。オーストラリアで観望すると天頂付近に見えて雄大ですね。等級は5.3等(MegaStar表記)なので、M13よりも明るいことになります。ただこの星団の特徴はかなりまばらで広がりがあるように見えて、眼視ではM13と同程度に見えますね。
南天観望では外せない天体です!!!

NGC6397

はくちょう座のくらげ星雲NGC6888

アメリカでは三日月星雲(クレセントネビュラ)と言われていますが、私にはどう見ても"くらげ星雲"に見えてしまいます。ふたご座のIC443も写真で見るとくらげっぽいですが、眼視ではこちらのNGC6888が、その薄さといい見え方といい本当にくらげです。

導入は簡単ではくちょう座の十字の要の星であるはくちょう座γから2.5度ほど南西に行ったところにあります。ただ天の川の真っ只中ですので、星が多く、ネビュラフィルタを着けていたほうが発見が容易です。淡いためか空の透明度の影響をかなり受けます。

C8(口径20cm)で初めてみたと思いますが、淡く星雲の真ん中のあたりしか見えませんでした。Ninja-400(口径40cm)では、この写真を淡くしたように見えますが、くらげの真ん中あたりは見えませんでした。

この星雲は超新星残骸だとしばらく思っていましたが、惑星状星雲だそうです。ウォルフ-ライエ星と言われるタイプの星がガスを放出しているとのこと。惑星状星雲というとM57(リング星雲)、M27(あれい星雲)などのように対称形を想像してしまいますが、これは歪ですね。

とにかくこれからのシーズンでは天頂近くに昇ってきますので、お勧めの天体です。私のほうは小口径でもチャレンジしてみようと思います。

NGC6888

さそり座のシッポで導入超簡単 球状星団NGC6441

この球状星団はタイトルの通り、導入が超簡単ですので、お勧めします。さそり座のさそりの尻尾の星で二つに分かれていない方(SAO209318)の星の0.1度ほど東にあります。球状星団そのものは7.2等(MegaStar表記)なんですが、Ninja-400(口径40cm)で見ると、なんとなく周辺の星まで分解できて面白い眺めです。

分解は出来ないものの、小口径でもすぐ見つけられるので、チャレンジしてみてください。

ちなみにMegaStarの青い円は0.5度の視野円です。

NGC6441

2005-07-19

網状星雲

超メジャー天体ですね(^^)/ 網状星雲ははくちょう座52番星のすぐ近くを流れているものがNGC6960で、大きくカールしているほうがNGC6992です。Ninja-400にOIIIフィルタを入れて複雑なフィラメントを拡大して見るのも素敵ですが、Sky-90で低倍率のリッチフィールドにして、両方の網状を入れて見るのが好みです。両星雲の間のもやもやした感じも良いですね。

昔、Televue-140にプラノキュラーを付けて富士山須走五合目でこの星雲を見たことがありますが、視野の星々がピンポイントで沢山見え、大昔に超新星が爆発した名残だというのを実感した経験があります。素晴らしい眺めでした。

ちなみに口径が小さくてどこまで見えるかですが、5cmの双眼鏡でもOKでした。3cmだと見えているようないないような、今度、双眼鏡でチャレンジしてみようと思います。

NGC6960
NGC6960















NGC6992
NGC6992

二重球状星団

いて座γ(Alnasl)のすぐ北にある二つの球状星団です。以下の写真で青線は視野0.5度(満月サイズ)ですが、γだけでなく二つの球状星団もNinja-400の低倍率でも同一視野に入り、面白いものです。球状星団でつぶが揃っていて二つ見えるものは、これ以外は無いと思いますので、勝手に二重球状星団と呼んでます。

それぞれNGC6522は9.9等、NGC6528は9.6等ですが、集中度が違いNGC6522のほうが明るく感じました。単体では地味ですが、すごく導入しやすい位置にあること、二つ並ぶ姿が可愛いので、掲載しました。

NGC6528

2005-07-18

オメガ星団

NGC5139ですが、通称オメガ星団とかオメガケンタウリとか言われていて、望遠鏡が発明されるまでは恒星(オメガ)と思われていたものです。

この星団はもう15年以上前に、富士山で見たのが最初だと記憶しています。6,7年前に富士山の日本ランド近くで見たときには初めて肉眼で見れましたが、そのときは凄く透明度の良い晩でシーイングはまあまあでしたが、なにせ低空にしかみれないので、グニョグニョ蠢いていて気持ち悪いのが第一印象でした。

この星団はなにせ視直径で1度もあり、以下のDigital Sky Servey(DSS)の写真ではかなり巨大に写っています。S&Tによると大昔、矮小銀河であって星やガスが抜けたものとの解説があったのですが、なにせ他の球状星団とは格が違います。実際に望遠鏡で見える範囲は月くらいの視直径ですが、M13の倍くらいはあり、迫力満点です。

オーストラリアに今まで3回行きましたが、とにかくこの星団は強烈の一言でした。Ninja-320とNinja-400で見ましたが、いったい視野の中に幾つ星が見えているか分からないくらい星が見えて、素晴らしい眺めでした。あまりにじっと見ていたもので、旅行の疲れもあり、あまりに多くの春雨の先が光って集まっているように見えて、もうビョーキですね。

中心近くにCを逆にしたように抜けて見える部分が印象的です。とにかくこの星団を見に行くためだけにでも南天に出向く価値はありますよ。ホント。

NGC5139

アンテナ銀河

これはアンテナ銀河と呼ばれていますが、オーストラリアで観望したときにはアンテナの根元のあたりがNinja-400ではなんとか見れました。
また中心部の複雑な構造も見て取れ、素晴らしい眺めでしたよ。Anntena