M20は暗黒星雲が複雑に入り組み、星雲を3つに大きく切り裂いています。それで三裂星雲(Trifid Nebula)と呼ばれています。Trifidって有名なSFに出てくる歩く植物怪物ですね。Trifidの名付け親はハーシェルだそうです。M20自体の姿があまりにシュール(サイケデリック)なので、キングクリムゾンのアイランドのジャケットに使われたりと、不思議な雰囲気を醸し出す星雲です。
実際には結構淡い星雲で、M8(干潟星雲)が明るいのにこちらは空の状態が悪いと途端に見づらくなります。特に三裂している暗黒星雲の入り組んだ様子はかなり空のよさが必要です。Ninja-400(40cm反射ドブ)で、最高の夜空では、複雑な暗黒星雲の様子は勿論、星雲の色もなんとなく分かります。三裂しているほうが赤っぽく、北の星雲のほうがなんとなく青っぽいのです。最初に色を感じたのは7,8年前の富士山須走五合目ででした。望遠鏡はNinja-320です。
ドブソニアンで拡大して見るのも素晴らしいのですが、大口径の双眼鏡でM8とM20を同一視野に入れて最高の空で見ると、バックの天の川との対比とか非常に素晴らしい眺めとなります。M8に比べるとM20は可愛らしいのですが、そばにある散開星団M21も含めると3度くらいの実視野でダイナミックな眺めです。
もう6年ほど前ですが、ゴールデンウィークの新五合目でNikon18x70IF双眼鏡で見たこの眺めは最高でした。実視野4度の双眼鏡ですが、瞳径4mm弱となり富士山の空の暗さだとジャストフィットという感じです。ちなみに素晴らしい空というのは富士山新五合目で雲上になったときが多いですね。普段は富士市、沼津市、三島市の光害の海の中で南天を見ますので、どうしても雲海が出来ないと南天低くは難しいのです。
この星雲も、ドブソニアンを手にしてからはいろいろな見方の楽しみが増えたひとつですよね。散光星雲も夏の銀河から秋の銀河にかけて沢山あって、写真だけでなく、意外に眼視でも色まで楽しめる対象があるので驚きです。これはその代表格といったところでしょうね。
もちろん、短焦点屈折の低倍率・広視野で天の川のライン下りは散開星団をバックに浮かびあがる散光星雲はドブソニアンとは別の楽しみになりますね。安田さんのように大口径双眼鏡での観望も格別でしょうね。
ドブソニアンによる春の銀河の中の宇宙遊泳と、短焦点屈折・大口径双眼鏡による夏から秋の天の川のライン下りはそれぞれ趣が大いに異なって素晴らしい眺めですね。特に、M8からM20、M17の辺りには暗黒星雲も入り混じり様々な川の流れを堪能できる場所ですね。
投稿情報: 舟田 雅夫 | 2005-08-29 22:43
三裂星雲(本当は四裂星雲に見える)は、写真でも眼視でも大好きな星雲の一つです。
高校時代は、天体写真展の宣伝用にM20の大型ポスターを油絵で作製しました。(と言っても自分は手伝い要員の一人に過ぎませんでしたが)
Ninja400で色がわかったのは感激でした。でも、写真で青く写る北側の反射星雲が、私の目ではなぜか赤く見え、三裂星雲の方は青っぽく見えます。安田さんの感じ方と違うようですが、私の目のカラーバランスが狂ってしまっているのでしょうか?
投稿情報: かわの | 2005-09-17 01:44
かわのさん、そうです(^^)/
それは不思議ですね。今度調べてみましょう。
ちなみにM8ですが、写真ではかなりHαが強く赤く写りますが、あまり色を感じません。M17もそうですね。
低照度での色の感じ方は個人差が激しいのと光量にも依存するようでM42の中心部ですが、青く感じたり、青緑に感じたりもします。M42の羽の部分ですが、大口径だとちょっと赤銅色に見えます。
散光星雲と比較して惑星状星雲は色が良くわかりますよね。ケフェウス座NGC40やへびつかい座NGC6572は鮮やかな青ですね。加齢するに従い青の星雲もあまり色が分からなくなるのでしょうか。
ちなみにA国では黄道光は明らかに黄色で、天の川は青っぽかったですね。シルバーとか言われますが、OB星の影響か青っぽく感じました。余談ですが。
投稿情報: 安田 俊一 | 2005-09-19 07:07
かわのさん、
M20ですが、A国で確認してきました。かわのさんの指摘のとおりで、三裂星雲そのものは青っぽく見えました。伴星雲?のほうは赤っぽい印象でした。
写真とはまったく逆で不思議ですね。
須走、新五合目ともM20の色は感じていたのですが、いつの間にか色を取り違えてしまったようです(^^;; 反省反省。
投稿情報: 安田 俊一 | 2005-11-09 15:33
自分の目のカラーバランスがおかしくなったかと思いましたが、ちょっと安心しました。でも写真と逆になるというのは、人間の目がおかしいのか、写真の方がおかしいのか??? M20が百倍くらい明かるくなって、網膜の錐体で充分な光を捕らえられたときの色が、本当の色なのでしょうが。。。
投稿情報: かわの | 2005-11-10 21:33
どうも、すっかり遅レスですが、私も写真と逆に見えます。何度か確認しましたが間違いありませんでした。
ただ、なに言われるかわからないので今まで黙ってました(^^;。
ようやく大きな声で言えます゜゜(o )☆\(--;)バキ
投稿情報: 横尾 潔 | 2006-01-05 21:18
横尾さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
A国でバッチリ確認しましたが、間違いないですね。ただ低照度の色は個人差がありますのでちょっと心配。
M42も色が良く分かりますが、結構色について話すと微妙に色の感じ方が違うようです。
投稿情報: 安田 俊一 | 2006-01-05 22:40
色の感じ方に関して、個人差が出る理由として補色というのがあるのではないでしょうか。赤と青は丁度補色の関係のようで、低照度の光源では人によって脳が化かされてしまうのかも知れません。M42の羽の部分でも緑っぽく見えるという人もいたのですが、赤紫色(私はこちら)という人も丁度補色の関係にありそうです。
ただ、これは私の勝手な仮定ですので、もう少し眼に詳しい方がコメントして頂ければ幸いです。
投稿情報: okada | 2006-01-08 21:32
Now we know who the sneslibe one is here. Great post!
投稿情報: Kelis | 2011-05-26 20:03