くじら座の頭が南中する頃、南天低くにはエリダヌス座とろ座の境界あたりに、ろ座の銀河団を見ることが出来ます。ろ座の銀河団は明るい銀河が多く、また銀河の種類では渦巻銀河が多く、非常に面白い領域です。ただし富士山での南中高度は20度しかなく、南天が光害で満たされる富士山ではかなり見づらい天体群です。
その中でもNGC1365は見事な棒渦巻銀河で、富士山新五合目でも透明度の良い夜には、上下に大きく張り出して延びる銀河の腕を見ることが出来ます。棒渦巻の棒領域は迫力を持って延びています。全天を通じて、最も見事な棒渦巻銀河との印象を持ちましたが、北のM51、南のNGC1365と感じられる銀河です。腕の伸び方が鎌のように見えるため、我々の仲間では鎖鎌銀河と呼んでいます。
・NGC1365 10.3等
日本では南天低く見えて難物のNGC1365も、オーストラリアでは天頂付近で見えて、強烈な姿を拝むことが出来ます。2004年の9月には、Ninja-400と2inch双眼装置をオーストラリアに持ち込み、Nagler Type4 22mmで観望しましたが、オーストラリアの透明度の良さと天頂付近に見えることが相まって、腕がかなり遠くまで延び、溜息が出る感動ものでした。この銀河を見るだけに海を渡るのも価値があると思いました。
コメント