オーストラリア旅行のついでの星見です。
場所は、シュノケーリングを楽しみに選んだQLD州の離れ小島。光害と呼べるものはホテルの電灯くらいで、そこから離れれば,天の川のバルジや暗黒帯が気味の悪いほどよく見えます。
暗い空の中に浮かぶ南十字、大小マゼラン雲が旅情を誘います。天の川をタイプ4-22mmで流すと数知れないほどの散開星団が飽きれる程入ってきます。星の色が明瞭なので、散開星団はまさに宝石箱を引っくり返したようでした。特にエータカリーナの近くのNGC3532は密集している星の中に一際明るいオレンジ色の星が目立って、なかなか良い印象です。25倍・ノーフィルターで眺めるマゼラン雲は迫力があります。OIIIを付けるとタランチュラ星雲を含めてなんと散光星雲の多いことか。小マゼランは付随してる球状星団NGC104と362がアクセントになっています。オメガ星団はデカイ。さすがに全天一の球状星団。エータカリーナは相変わらずフィルターをつけても外しても壮麗で、一度覗くと見惚れてします。エータカリーナ程の華麗さと大きさはありませんが、りゅうこつ座のNGC3199やケンタウルス座λ星の付近に広がる散光星雲、さいだん座のNGC6188も趣きがあっていいですねぇ。NGC5128は、暗黒帯が丸い本体を横切っている独特の姿が10cmの望遠鏡でもはっきり分かります。日本では低空で悩まされますから、さすが南天です(来て良かった!)。同じケンタウルス座にある9等級の銀河NGC4945は20'×4’という大きく明るいエッジオンタイプですが、11等の銀河NGC4976と同じ視野に見えます。マイナーな対象ですが、アンドロメダ星雲よりも天の川銀河に近い射手座のバーナードの銀河NGC6822は淡いながらも確認できます。同じ視野には、天の川銀河の中の惑星状星雲NGC6818が同時に見えて、千光年単位の対象と百万光年単位の対象が同一の視野に見えるのがなんとも風情があるような。
今回は休暇が主だったので、星見に力を入れるつもりはなかったのですが、火星や普段見ている北天の天体も眺めていると、知らない間に朝の4時になっていました。南天の魅力、やはり恐るべしです。
星を眺める時は、その場所の自然の雰囲気も受け入れています。日本の山の中では、鹿の声や鳥の鳴き声が星見に趣きを加えてくれますが、オーストラリアのサブトロピカルに住む動物達は日本の鹿や鳥やタヌキのようにシャイではなく、鳥の鳴き声はTVで出てくるジャングルのそれを思い浮かべます。
そんな野趣溢れる中で無心に星を眺めていると、なにやら身近にガリガリと何かを擦る音が...。この島には毒蛇もオーストラリア唯一の猛獣ディンゴー(犬)もいないのを確認しているし、望遠鏡を蹴り倒す性悪なカンガルーの類もいないはず。暗闇に慣れた目で恐る恐る見ると小さな動物が二本足で立っています。ライトを灯けるとそこには...。ポッサムでした。ポッサムが三脚を登ろうとしていたのです。(中指を立てながら)驚かすない。さすがのポッサムもこちらが灯かりをつけると離れましたが、5m程行く毎に立ち止まってはこちらを眺めてグーグー唸っています。そういうことを何度か繰り返して草むらとユーカリの林に姿を消していきました。
野趣溢れる迫力のある星見がオーストラリアの星見の真髄のようです。そして、翌日は透明度の高いグレートバリアリーフの海で、シュノーケリングを楽しんだのは言うまでもありません。海亀が泳いでいたので、甲羅を掴もうとしたら貝を砕くというその口で噛み付かれそうになったりと(知らないことはなんと怖いことでしょう。)、オーストラリアの自然は、星も含めてかなり楽しませてくれます。
南八ヶ岳の住人さん、いや~、素晴らしい紀行ですね。
一度行くと病み付きになるというその国にいつかゆっくりと行きたいと思っています。
紀行の中にあったNGC6818 & NGC6822をアップしておきました。僕もここに行く時はゆっくり休暇を楽しむつもりなのですが、機材を持って行けるかどうかちょい不安です。 12.5cm1本で行くのが妥当かと思いながらも、大口径を持って行っているという先達の教えを聞くと・・・。
投稿情報: 舟田 雅夫 | 2005-08-03 08:37