有名な散開星団でどうしてメシエ天体でないのか不思議な天体です。赤緯が高いため、夏から冬にかけて長い期間観望することが出来ます。ペルセウス座とカシオペヤ座のちょうど中間あたりにあり、肉眼でもボーッとしている姿が眺められます。
二重星団(Caldwell14)は言葉のとおり2つの散開星団が並列で、見事なくらい同じ規模の散開星団が並んでいます。それぞれNGC869(h Per), NGC884(χ Per)と呼ばれており、両星団とも300個の星々がかなり密集して集まっています。距離は7330光年で、散開星団としては距離が遠い天体です。紀元前130年にはギリシャのヒッパルコスによる記載があるようです。ヒッパルコスは今では人工天体の名前のほうが有名かもしれませんが、ギリシャの科学者でした。
プレアデス星団(M45)が代表的ですが、この星団も生まれたばかりの星々で構成されています。生まれて320万年(Sky Catalog 2000)しか経っておらず、太陽の年齢を人に喩えて45歳の壮年期だとすると、生まれてたった12日という赤ちゃんの群れです。この二重星も含めて、このあたりはペルセウス座第Iアソシエーションを構成する星間物質の豊富な場所で、銀河中心の反対方向にある星の賑やかな部分で、銀河の腕の一つに相当します。
・NGC869 5.3等*
・NGC884 6.1等*
*MegaStar表記で他の記載では4.5等の記載あり。
観望でのお勧めは7~10倍ほどの双眼鏡が見ごたえがあります。微光星がビッシリ二つに集まり、まさに息を呑むような美しさです。すぐ隣にはStock 2と呼ばれる星数50個のまばらな散開星団が、人が手足を広げたような姿で、好対照の散開星団で見れますので、比べてみていただくと面白いと思います。
さらに機会があれば、双眼望遠鏡でこの星団を見るのが最も素晴らしい眺めだと思います。今まで私が見た双眼望遠鏡では、Nerius-80LD、Sky-90、Vixen115ED、Schwarz-150s双眼やFUJINON15cm双眼で見るのが最も美しい姿でした。
逆にドブソニアンでは視野を大きくはみ出してしまい興ざめの天体でもあります。NGC869のほうの中心部分には視力検査で使う"C"印のランドルト環のような星の並びが見れます。これは50倍ほどの倍率があったほうが良いと思います。
・Stock2 4.4等
毎回、安田さんのコメントは非常に参考になります。
二重星団はM42、M31などと共に、一般の人にも受けの良い対象です。また、街中でもそれなりに楽しめるので、家で家族に見せるときは、二重星団をまず見せる場合が多いです。
これが双眼向きなのは、対象が大きいのと共に、遠近感を強く感じる点にあると思います。実際の距離とは関係ないのですが、なぜか明るい星は手前に、暗い星は遠くに見え、立体感が楽しめます。これは単眼では味わえない楽しみです。またhとχの間にオレンジ色の星があり、色の対比も楽しみの一つとなっています。
投稿情報: かわの | 2005-12-21 02:01
かわのさん、コメントどうも。
二重星団は私も最も美しい星団だと思います。どうしてメシエ天体にならなかったのか、やはりh+χとしてカタログされていたからでしょうか。
もう10年近く前になりますが、彗星捜索家の木内さんと臼田スタードームの駐車場で二重星団を見ていたときに、NHKの記者が来て見せてあげたことがあります。その人が一番驚きの表現でした。世の中にこんな凄い天体があるのかって本当に吃驚されてました。なんか嬉しかったですね。
投稿情報: 安田 俊一 | 2006-01-03 09:53