2006-02-12

黒目銀河M64

黒目銀河M64はかみのけ座銀河群に属しています。Mel 111からちょっと離れた場所にありますが、5等星のかみのけ座35番星の傍にあり、M64が明るいため簡単に導入することが出来ます。
黒目と呼ばれるのは中心部の目立つ暗黒帯が、瞳の様に見えるためで、この黒目を見るためには口径30cmクラスの望遠鏡は必要になります。またシーイングの影響も受けやすく、黒目を分離するためには平均以上のシーイングは必要だと思います。

アメリカでは目を半分開けている様子から"Sleeping Beauty Galaxy"眠れる森の美女銀河と呼ばれています。発想が柔軟ですね。
この銀河はおとめ座銀河団に属し、銀河系から1600万光年離れています。距離についてはドップラー効果から算出されていると思いますが、カタログ等でかなり幅があります。
銀河の大きさとしてはメシエ天体では2番目になる大きな銀河です。ちなみに一番大きな銀河はM77となっています。M64はローカルグループに近い銀河と考えられます。1990年代には、この銀河で注目すべき発見があり、銀河の外側のガスが内側のガスとは反対方向に回転していることが分かったとのことで、これが特徴的な黒目の原因になっているようです。約10億年前に伴銀河がM64と衝突することにより逆方向の流れが生じたと考えられています。またこの銀河は星生成が活発な銀河としても知られていて(Star formming)、伴銀河と衝突した影響かもしれません。

Ninja-400では渦巻までは分かりませんが、M64の中心核とそれを囲むように見える暗黒帯が見事です。かなり暗黒帯は小さく見えますが、全天でも中心近くに暗黒帯が見える銀河はかなり特異ですね。Ninja-320でも空がよければ暗黒帯はハッキリ分かります。DSS(Digital Sky Servey)の写真では中央部が露出過多で潰れていて暗黒帯が見えていません。

ハッブル宇宙望遠鏡によるM64

DSSによるM64
M64


2006-01-25

かみのけ座の銀河群BOX

この記事は冬に書いていますが、この時期は春の銀河群/銀河団を観望するのには透明度の良い冬空ということもあり最適です。残念なのは寒いことですね。

春の星座では天の川は流れていないために可視光を遮る星間物質が少なく、銀河が減光されることが無く、無数の銀河を見ることが出来ます。特にかみのけ座とおとめ座方向には銀河系からは近い巨大な銀河団が存在していて密集しています。

その中ではかみのけ座に面白い形に密集しているBoxと呼ばれるそれぞれ4つの銀河が長方形状に集まって見えている銀河群があります。別名ではHickson61と呼ばれていて、楕円銀河1つと渦巻銀河3つとで構成されます。面白いのは見かけ上ですが、長方形に並んでいてそれぞれ光度が揃っていることでしょうか。

Ninja-400で観望するとNGC4169, NGC4174, NGC4175は割とすぐ分かりますが、NGC4170はエッジオンの棒渦巻銀河ですが、面積が大きく、空の状態がかなり良くないと確認するのは難しい存在です。この季節ですと富士山新五合目は雪や凍結で閉鎖されていますが、西臼塚駐車場や粟倉駐車場ではボーッとした姿さえ見ることも出来ません。春になり新五合目で雲海になって下界の光を遮るくらいでようやく見えてきます。

新年、南伊豆で最高の夜に観望してきましたが、ハッキリまさにDSSの写真の様に見えて感動しました。これまでNinja-320でも空がかなり良い時に4つ見れましたが、4つ見るためには口径30cmは必要だと思います。

Boxを導入するためには、いつもMel 111の一番北に位置するかみのけ座γから3度ほど西にあり、おひつじ座のような不等辺三角形のような星の並びから辿るのが一番簡単だと思います。

大口径ドブをお持ちの方にはお勧めです。

・NGC4174    14.3等
・NGC4175    14.2等
・NGC4169    13.2等
・NGC4170    13.6等

DSSによるBox
Box