秋には我々の銀河系のご近所の銀河が多く見られます。それらを局部銀河群と呼んでいます。秋の夜長にご近所の探訪はいかがですか。
局部銀河群とはおおよそ地球から1000万光年以内の銀河群を指すようですが、いろいろ解釈はあるようでハッキリした定義はありません。ご近所そのものの定義がなきがごとしです。ここでリストしたものは46個ありますが、矮小銀河などの小さなものが大多数であり、大きなものは銀河系やM31,M33などに限られます。リストでdwと書かれたものは矮小銀河(dwarf)を意味しています。
距離が近い銀河群ですので、星数やガスが少ない小規模のものは非常に淡く、眼視ではまったくムリで写真でようやく存在が分かるものも多く、眼視でのチャレンジとしてはかなりハードな部類かもしれません。ただ銀河系のご近所を調べてみるのも一興かと思います。
銀河系やM31などの巨大な銀河はお供の伴銀河を連れています。銀河系では大マゼラン雲(LMC)や小マゼラン雲(SMC)が有名ですが、オーストラリアでこれらを見たときには本当に雲のようで、特に大マゼラン雲は肉眼でも複雑な構造が分かります。両方とも不規則銀河で、Ninja-400で見たときは巨大な散開星団や点在して散光星雲も入り乱れ、若い銀河たちであることが良くみれます。
アンドロメダ銀河M31はどうも銀河系よりも遥かに巨大で直径22万光年もあることが最近分かったようです。銀河系の2倍以上ですね。それだけに伴銀河も多く、M31のすぐ傍に見えるM32やM110(NGC205)だけでなくNGC147,NGC185やAnd IからAnd VIIIまで見つかっています。そのM31ですが、数十億年先には銀河系と衝突するとの観測データがあり、さぞかし壮大な眺めだと思います。天の川が二つ全天に見れて衝突による活発な活動や、超新星の輝きだとかタイムマシンがあれば実際に見てみたいものです。その頃に地球があるのかどうかも分かりませんが。
淡い銀河を見る秘訣は、もう一番は空の良さに尽きます。透明度とシーイングの良さですね。シーイングが悪いと微光星が消えてしまい存在が分からなくなってしまいます。
なるべく大口径の望遠鏡や透過率が高くヌケの良いアイピースを選ぶのはもちろんですが、遮光をバッチリしてコントラストを上げる必要もあります。
また目視の仕方も重要で、明るいものは見ないようにしばらく暗順応をさせて目を慣らすことと、そらし目テクなる視野の中心で見ないことです。中心で見ないことから解像度は悪くなるのですが、淡い天体の存在は分かるようになります。またじっと見るより視野をちょっとだけ適当に動かしたほうが存在は分かりやすいですね。
後はコツというより、なるべく沢山見ることで目と脳を慣れさせることでしょうか。惑星でも観測の熟達者は素晴らしい解像度でスケッチを残していますが、要は慣れなんだと思います。
Ninja-320(口径32cm反射)、Ninja-400(口径40cm反射)とこれまでチャンレンジしてきましたので、それで見れたものを次の色で記します。チャレンジする方の参考にどうぞ。
NGCxxxx: 何とか確認できた淡い銀河
NGCxxxx: 存在だけでなく形も分かった銀河
表の意味:
m_v: 眼視等級
dim: 視直径
RV: 視線速度(km/s)
Dist: 距離(k光年)
1. 局部銀河群
Galaxy RA Dec Type m_v dim RV Dist
WLM 00:02.0 -15:28 IB(s) IV-V 10.9 12 x 4 - 42 3400
IC 10 00:20.4 +59:18 KBm? 10.3 7.3 x 6.4 - 83 4200:
Cet dw 00:26.1 -11:02 dSph/E4 14.4 2800
NGC 147 00:33.2 +48:31 dE5 pec 9.5 15.0 x 9.4 + 89 2400
And III 00:35.4 +36:31 dSph/E2 13.5p 4.5 x 3.0 2900:
NGC 185 00:39.0 +84:20 dE3 pec 9.2 14.5 x 12.5 + 39 2300
M110 00:41.3 +41:41 E5 pec 8.5 19.5 x 12.5 - 1 2900
And VIII 00:42.3 +40:37 dSph pec 9.1 45 x 10 -250 2700:
M 32 00:42.7 +40:52 E2 (cE2) 8.1 11.0 x 7.3 + 35 2900
M 31 00:42.7 +41:16 SA(s)b I-II 3.4 185.0 x 75.0 - 59 2900
And I 00:45.7 +38:00 dSph/E3 pec ? 13.2 2.5 x 2.5 2900:
SMC 00:51.7 -73:14 SB(s)m pec 2.3 280 x 160 - 30 210
And IX 00:52.9 +43:12 dSph 16.2 5 2900:
Scl dw 01:00.0 -33:42 dSph/E3 pec 10.5p +162 300:
LGS 3 01:03.8 +21:53 Irr 15.4p 2 3000:
IC 1613 01:05.1 +02:08 IAB(s)m V 9.2 20.0 x 18.5 -125 2900:
And V 01:10.3 +47:38 dSph 15.9 2900:
And II 01:16.4 +33:27 dSph/E0 13.5 3.6 x 2.5 2900:
M 33 01:33.9 +30:39 SA(s)cd II-III 5.7 67.0 x 41.5 + 3 3000
Phe dw 01:51.1 -44:27 Irr 13.1 4.9 x 4.1 1600:
For dw 02:39.9 -34:32 dSph/E2 8.1 12.0 x 10.2 500
UGCA 92 04:32.0 +63:36 Irr ? S0 ? 13.8 2.0 x 1.0 + 66 4700
LMC 05:19.7 -68:57 SB(s)m 0.1 650 x 550 + 13 179
Car dw 06:14.6 -50:58 dSph/E3 20.9 23.5 x 15.5 360
CMa dw 07:15 -28 Irr 720 25
Leo A 09:59.4 +30:45 IBm V 12.9 5.1 x 3.1 2500
Sex B 10:00.0 +05:20 Ir+ IV-V 11.8 5.1 x 3.5 4700
NGC 3109 10:03.1 -26:09 Ir+ IV-V 10.4 16.0 x 2.9 +131 4500
Ant dw 10:04.1 -27:20 dSph/E3 14.8 2.0 x 1.5 4600
Leo I 10:08.5 +12:18 dE3 9.8 9.8 x 7.4 900
Sex A 10:11.1 -04:43 Ir+ V 11.9 5.9 x 5.0 5200
Sex dw 10:13.2 -01:37 dSph/E3 12. 320
Leo II 11:13.5 +22:10 dSph/E0 pec 12.6 12.0 x 11.0 750
GR 8 12:58.7 +14:13 Im V 14.5 1.2 x 1.1 +165 7900:
UMi dw 15:08.8 +67:12 dSph/E4 10.9 41.0 x 26.0 240
Dra dw 17:20.1 +57:55 dSph/E0 pec 9.9 51.0 x 31.0 280
Milky Way 17:45.6 -28:56 SAB(s)bc I-II ? - 0 28
SagDEG 18:55 -30:30 dSph/E7 +168 88
SagDIG 19:30.1 -17:42 IB(s)m V 15.5 2.9 x 2.1 4200
NGC 6822 19:44.9 -14:49 IB(s)m IV-V 9.3 15.5 x 13.5 + 66 1800
Aqr dw 20:46.8 -12:51 Im V 13.9 2.3 x 1.2 3400
Tuc dw 22:41.7 -64:25 dSph/E5 15.7 2.9 x 1.2 3200
UKS2323-326 23:26.5 -32:23 Irr 13.9 1.5 x 1.2 4700
And VII 23:27.8 +50:35 dSph 2.5 x 2.0 2600
Peg dw 23:28.6 +14:45 Im V 13.2 5.0 x 2.7 3000:
And VI 23:51.7 +24:36 dSph 11.2 3.5 x 3.5 2800
参考アストロアーツ:アンドロメダ大銀河の周りを巡る「透明な銀河」の発見
2. さらなる仲間
Galaxy RA Dec Type m_v dim RV Dist
UGCA 86 03:59.9 +67:08 Irr ? S0 ? 13.5 0.8 x 0.7 +262 6200
Willman 1 10:49.4 +51:03 dSph? GC ? 15.3 1.75 147
IC 5152 22:06.1 -51:17 IAB(s)m IV 10.6 4.9 x 3.0 + 30 5800
3. 局部銀河群の傍の銀河
Galaxy RA Dec Type m_v dim RV Dist
NGC 55 00:14.9 -39:11 Sc/SB(s)m 8.8 32.4 x 5.6 +129 7000
NGC 404 01:09.4 +35:43 E0 10.1 4.4 x 4.1 +178 8000:
Cam A 04:25.3 +72:48 Irr 14.8 3.7 x 2.1 6500::
NGC 1569 04:30.8 +64:51 Irp+ III-IV: 11.2v 2.9 x 1.5 + 87 7500::
NGC 1560 04:32.8 +71:53 Sd 11.5v 9.8 x 2.0 +151 7500::
Argo dw 07:05.3 -58:31 Irr 14.2 3.5 x 1.7 +554 12000:
UGC 9128 14:15.9 +23:03 Irp+ 14.4 1.7 x 1.3 +154
データの出展はSEDS: http://www.seds.org/messier/more/local.html