2005-12-20

二重星団

有名な散開星団でどうしてメシエ天体でないのか不思議な天体です。赤緯が高いため、夏から冬にかけて長い期間観望することが出来ます。ペルセウス座とカシオペヤ座のちょうど中間あたりにあり、肉眼でもボーッとしている姿が眺められます。

二重星団(Caldwell14)は言葉のとおり2つの散開星団が並列で、見事なくらい同じ規模の散開星団が並んでいます。それぞれNGC869(h Per), NGC884(χ Per)と呼ばれており、両星団とも300個の星々がかなり密集して集まっています。距離は7330光年で、散開星団としては距離が遠い天体です。紀元前130年にはギリシャのヒッパルコスによる記載があるようです。ヒッパルコスは今では人工天体の名前のほうが有名かもしれませんが、ギリシャの科学者でした。

プレアデス星団(M45)が代表的ですが、この星団も生まれたばかりの星々で構成されています。生まれて320万年(Sky Catalog 2000)しか経っておらず、太陽の年齢を人に喩えて45歳の壮年期だとすると、生まれてたった12日という赤ちゃんの群れです。この二重星も含めて、このあたりはペルセウス座第Iアソシエーションを構成する星間物質の豊富な場所で、銀河中心の反対方向にある星の賑やかな部分で、銀河の腕の一つに相当します。

・NGC869   5.3等*
・NGC884   6.1等*
                *MegaStar表記で他の記載では4.5等の記載あり。

観望でのお勧めは7~10倍ほどの双眼鏡が見ごたえがあります。微光星がビッシリ二つに集まり、まさに息を呑むような美しさです。すぐ隣にはStock 2と呼ばれる星数50個のまばらな散開星団が、人が手足を広げたような姿で、好対照の散開星団で見れますので、比べてみていただくと面白いと思います。

さらに機会があれば、双眼望遠鏡でこの星団を見るのが最も素晴らしい眺めだと思います。今まで私が見た双眼望遠鏡では、Nerius-80LD、Sky-90、Vixen115ED、Schwarz-150s双眼やFUJINON15cm双眼で見るのが最も美しい姿でした。

逆にドブソニアンでは視野を大きくはみ出してしまい興ざめの天体でもあります。NGC869のほうの中心部分には視力検査で使う"C"印のランドルト環のような星の並びが見れます。これは50倍ほどの倍率があったほうが良いと思います。

・Stock2    4.4等

DSSによるNGC869とNGC884
Double
 

2005-10-23

ケフェウス座 散開星団NGC6939, 銀河NGC6946 (スケッチ)

この二つの天体は低倍率で同一視野に入ってくる位置にあり、ほぼ同じくらいの大きさに見えます。
NGC6939は口径10cmだと中心付近の星がわずかに分解される?程度で、ほぼ星雲状に見えます。
NGC6946の視直径はやや大きいのですが、全体に確認しづらくうっかりすると見逃してしまいそうです。
スケッチ当日の富士山新五合目はなかなかよい空で、NGC6946も比較的はっきりと見えました。
大口径で見るような散開星団と渦巻銀河のペアの姿は望むべくもありませんが、
仲良く並ぶ小さな二つのすてきな姿を楽しむことができました。

Ngc69396946
(スキャンした鉛筆画をフォトショップで階調反転、方角マークは西)

テレビューTV-101+ナグラーtype4 17mm(天頂ミラー&LPS-P1フィルター併用)
2005.10.1, 富士山新五合目

2005-10-09

M45 (写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

PENTAX 125SDHF+0.72倍リアコンバータ(合成F4.6、合成fl 576mm)+LPS-P1フィルター+Nikon D70
感度:ISO800  露出:5min×4枚コンポジット
RAPにてダーク補正、トーンカーブ補正、カラーバランス補正、ネビュラスムース処理等
横800PXLにリサイズ

051002m45800x533pxl_2

ノーマルD70で赤(Hα)が乏しいので赤い星雲は他の方にお任せです。
他の撮影対象用にフィルターを付け放しにしたのでゴーストが発生しています。

M33 (写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

PENTAX 125SDHF+0.72倍リアコンバータ(合成F4.6、合成fl 567mm)+LPS-P1フィルター+Nikon D70
感度:ISO800  露出:5min×4枚コンポジット
RAPにてダーク補正、トーンカーブ補正、カラーバランス補正等
星雲付近をトリミングして横800PXLにリサイズ

051002m33800x600pxl

やはり赤(Hα)が出ませんね。銀塩のコダックE100とかE200フィルムだと点在するH2領域がバッチリ写ったのですが。
トリミングしてリサイズだとかなりの拡大率になりアラが目立ってしまいます。

さんかく座銀河M33(写真)

05年10月6日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

大きい天体なので短焦点でも写真映えします。

051006_m33_5minx6

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を50%縮小後、600x400pixelにトリミング

アンドロメダ星雲M31(写真)

05年10月6日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

小口径から大口径まで、すべての望遠鏡で楽しめる天体です。もちろん富士山五合目では肉眼でも確認できます。左側の丸い伴銀河はM32、右下にちょっと離れているのはM110です。

051006_m31_5minx7

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx7枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

2005-10-06

カリフォルニア星雲NGC1499(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

写真を撮る方にはメジャーな天体の一つです。色はよく出たのですが、今ひとつもやーっとした感じにしか撮れませんでした。

051001_n1499_5minx4

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx4枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

ペルセウス座二重星団とカシオペア座散光星雲IC1805,IC1848(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

有名なペルセウス座二重星団と近くにあるカシオペア座散光星雲IC1805,IC1848を同一視野にとらえてみました。APS-Cサイズでは135mm付近で画面いっぱいに入ります。画面上部に二重星団h-χ、下部の左側ハート形がIC1805です。

051001_n869n884i1805i1848_5

EF70-200mmF2.8LIS+EOS20Da
感度:ISO800 焦点距離:135mm 絞り:F2.8 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

カシオペア座散開星団M52散光星雲NGC7635(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

カシオペア座の散開星団M52と散光星雲NGC7635のツーショットをねらってみました。

051001_m52n7635_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を50%縮小後、600x400pixelにトリミング

ケフェウス座散光星雲IC1396(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

ケフェウス座μ星ガーネットスターのすぐ南に広がる散光星雲。かなり淡いので感度を上げてみたが、まだ足りませんでした。ガーネットスターの星の色と、散光星雲に暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子は判るかと思います。

051001_ic1396_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO1600 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

ペリカン星雲IC5067(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

北アメリカ星雲を撮るとセットで付いてくるので有名。前回画面に入りきらなかったので再挑戦。

051001_ic5067_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

散光星雲NGC281(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

051001_n281_5minx6

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を50%縮小後、600x400pixelにトリミング

網状星雲(写真)

05年9月3日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

何とか2つ同時に撮れました。写真では青と赤の網が絡み合った様子がうかがえます。

050903_n6992n6960_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

こぎつね座 M27(写真)

05年9月3日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

赤と青のフィラメントの具合や恒星の散らばり方がビー玉のようできれいです。

050903_m27_5minx6_1

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
ピクセル等倍で600x400pixelにトリミング

北アメリカ星雲NGC7000(写真)

05年9月3日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

050903_n7000_5minx6_1

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

2005-08-28

こぎつね座の惑星状星雲 : M27 : アレイ状星雲

昨夜、富士山の七曲駐車場にFさんご家族、安田さんと出かけて、ちょうどこの対象を見てきました。Fさんはこの対象を一眼デジカメで撮影されていました。

折から、ちょうど入手したての安田さんの新兵器のファーストライト、私は入手後初遠征の微動付き経緯台に125mm屈折を載せての3者3様のM27観望でした。

余りに有名だから座標などのデータを割愛します。

125mmで114倍の倍率で見ると、よく目にするダンベル状に見えます。
ところが、安田さんの40cmで見ると、ダンベル状の部分の1.5倍くらい大きくダンベルの持ち手に垂直方向に楕円状に伸びる光芒がやけに大きく目に付く。
一眼デジカメだと、ダンベル状の部分は斑に赤からピンク色の色が付いて写り、楕円状に伸びる光芒はダンベル部分とは異なる色をして写っていた。

このように、口径によってか、あるいはフィルターによって見え方は著しく異なります。
この星雲の中心星はいったいどれなのかと探し回ったことがありますが、余りにたくさんの星が星雲に埋もれて見えていて、どれが中心星なのか皆目見当がつきません。

ちょうど今の季節は天頂近くにあるこの対象がとても綺麗に見える時期と思います。
皆さんも一度、フィルターを変え、倍率を思い切って高倍率にするなど、これまでのこの対象との付き合い方をひとつ変えてご覧になってはいかがでしょうか?。

m_27

2005-08-27

小マゼラン雲 NGC346付近

小マゼラン雲の中を低倍率でながしていくと、たくさんの星雲星団を見ることができます。
中でもNGC346付近は、散りばめられた小さな散開星団に星雲が重なりとてもきれいな領域です。
視野に星々が多すぎて、とてもじゃないけど描き切れません。

SMC-ngc346
(スキャンした鉛筆画をフォトショップで階調反転)

宮内対空双眼20X100mm(2.5°), 2004.9.18, クーナバラブラン(オーストラリア)

2005-08-24

エリダヌス座の惑星状星雲 : NGC1535

Magnitude: 9.6
RA: 04h 14m 16s
Dec: -12°44' 20"

Size: 0.8 x 0.8
中心星 12.2 等

とても明るくて大きくて中心星も見やすい惑星状星雲の一つです。
中心星と思ってきているのが実は中心星ではなく中心部の単に明るい部分だったらどうしましょ。迷うときには思い切り倍率を上げて確認するのが中心星を見るときのコツです。また、惑星状星雲自体も小粒のものが多いので、見るときには200倍以上かけるのが普通と思ってみると良いと思います。シーイングが良いときにはもっと倍率を上げて300倍以上で見るようにしたら濃淡や中心星の存在や諦めていた構造が見え始めます。

これだけ明るくて美しく、中心星も楽しめる惑星状星雲って少ないと思うのですが、愛称も無く、割と知られていませんよね。どうしてでしょうね?。もっと啓蒙活動しなくちゃいけないのでしょうかね?。多くの写真が露出オーバーで、構造が分かるような写真になっていませんが、同心円状濃い部分(ドーナツ部)と薄い部分があって結構いける対象だと思うのでした。

Kimata さんからのお知らせで、Cleopatra's eye(クレオパトラの瞳) という愛称があるとのことでした。

ngc_1535

2005-08-23

ぎょしゃ座の惑星状星雲 : IC2149

Magnitude: 10.6
RA: 05h 56m 24s
Dec: +46°06' 19"

Size: 0.6 x 0.6
中心星 10.5 等

割と簡単に中心星を見ることができます。この辺りには余り惑星状星雲が無いので、貴重な存在。倍率を上げて見ると、落花生のように少し伸びた楕円形であることが分かります。
また導入もMenkalinanの直ぐ傍なので超簡単でしょう。

ic_2149

2005-08-18

ペルセウス座の惑星状星雲 : M76 小あれい星雲 NGC650

Magnitude: 10.1
RA: 01h 42m 18s
Dec: +51°34' 17"

Size: 3.1 x 3.1

こぎつね座のあれい星雲M27を小さく暗くした感じの星雲。1780年にドイツのメシャンが発見したもので、メシエも同じ年に見ている。中心星は17等星で、この星から発せられる紫外線によって輝いている。距離 8180光年とのこと。写真などで見ると双極ジェット風の姿をしているけど、眼視ではそこまでは見えたことが無い。双極ジェットの解説の時には必ずといって良いほど引き合いに出される対象だから眼視で、もう少し見えてくれると良いのですけど。さそり座のNGC6302の方がM76よりも双極ジェットの感じを強く受けます。

messier_076

いて座の球状星団 : Palomar 8

Magnitude: 11.2
RA: 18h 41m 30s
Dec: -19°49' 00"

Size: 4.7 x 4.7

M25の2°程東にあります。

palomar_8

2005-08-17

球状星団 Palomar 9 いて座 : NGC 6717

RA: 18h 55m 06s
Dec: -22°42' 00"

Size: 3.9 x 3.9
9.2等

これもPalomar の中では導入簡単な部類でしょう。いて座σの北4°といったところです。

palomar_9

球状星団 Palomar 7 へびつかい座 : IC 1276

RA: 18h 10m 46s
Dec: -07°12' 40"

Size: 8.0 x 8.0
10.3等
Palomar 7 : IC 1276
直ぐ近くにNGC6539・NGC6517というほぼ同程度の大きさ、明るさの球状星団が並んでいます。3個を同一視野に入れるには2.5°ほどの視界が必要なので、短焦点屈折などでご覧になると、小粒の球状星団3個が同時に見えると思います。

palomar_7

球状星団 Palomar 5 へび座

Palomar シリーズ第2弾は、2番目に大きなものとして、Palomar 5と7を立て続けにアップします。まずは、5 です。

RA: 15h 16m 06s
Dec: -00°07' 00"

Size: 6.9 x 6.9
11.8等

これも、散開星団と見間違えそうな感じです。
有名で美しい球状星団であるM5を見たら、それの直ぐ南2°に位置していますので、導入は超簡単でしょう。

palomar_5

球状星団 Palomar 11 わし座

球状星団 Palomar シリーズ15個の紹介を開始したいと思います。
その1番目はシリーズ15個の内、大きく明るい Palomar 11  にします。

RA: 19h 45m 18s
Dec: -08°02' 00"

Size: 3.2 x 3.2
11.9等

これが球状星団かしら? と思えるほど Palomar シリーズは皆まばらに思えます。
NGC6818のちょうど6°北にあるので、これを見たときの倍率のまま北へ6°移動できる赤道儀だと導入が楽です。ドブソニアンだとそうはいかないけど、4°程離れたところにある二つの6等星のちょうど中間に位置しているので、ファインダーによる導入はそれほど難しくありません。

星図中、球状星団の右上にある明るい星は8.6等ですので、目印になります。

palomar_11