2006-02-20

南天で巨大なガム星雲

ガム星雲は全景はとても大きく写真では、大きさは40°X90°にも及びます。そのスケールは、ほ座、りゅうこつ座、とも座という昔で言えばアルゴ座全体に広がっています。ガム星雲は約11,000年前に、ほ座に出現したと考えられる超新星の残骸です。太陽系に近い位置で爆発したために、大きく広がって見えます。距離は1,000光年なので超新星としては抜群に明るかったハズです。

私がこの星雲(Gum12)を初めて見たのは、4年ほど前の晩秋の富士山新五合目ででした。通常富士山新五合目は沼津市、富士市などの光害が酷く、南天の低空は諦めモードなのですが、確か11月の寒い日だったと思いますが、透明度が異常に良く、カノープスが1等星くらいに見えていました。ひょっとして見えるのではないかと思い、Ninja-400にOIIIフィルタをプラノキュラーに付けて有効最低倍率にして探してみたところ、GSC7670:866(PPM313335)という4.1等級の恒星の近くでなにやらボーッとした横に延びた本当に淡い天体が見れました。DSSの写真ではその星は左上に明るく写っています。このときは条件は良かったのですが、私独りで見ていたためガム星雲が見えたことをなかなか信じてもらえなかったかもしれません。

次にガム星雲を見たのはオーストラリアのクーナバラブランででした。最初はNinja-320で次にNinja-400で明らかにフィラメントが延びた姿を見ることが出来ました。ただ如何なオーストラリアでもノーフィルタではまったく分からず、OIIIフィルタが必須となります。
目印の恒星から長く延びたフィラメントを5°程度追うことが出来ました。さらに分岐したり複雑な様子が見れました。

さらに2006/2/4には、南伊豆でもかなり長く延びた姿を見ることが出来ました。網状星雲と比較するとかなり淡く、OIIIフィルタを付けて見たガム星雲は、ノーフィルタで見た網状星雲よりも若干淡い感じでしょうか。それも年に数回あるかないかの、かなり南天の透明度が良いときなので難物には変わりません。

ガム星雲は巨大なので、他の場所も見えるのだと思いますが、どうもこの場所が一番濃そうです。フィラメントも長いですね。

DSSでのガム星雲(Gum12)
Gum

2006-01-25

おうし座の超新星残骸SH2-240

おうし座とふたご座の境界あたりにある非常に大きな超新星残骸です。Siemeis 147としてもカタログされています。直径は3度もあり、かなり広がっており、写真でもかなり淡い天体になります。約10万年前に爆発した超新星の残骸が広がっている姿で、広がりは150光年にもなっているそうです。ちなみに距離は3,000光年で網状星雲の約2倍ほど離れていて、実直径は3倍ほどです。

写真では不思議な天体でまさか眼視では見えないと思っていました。ただ昔、米国の天文雑誌のSky & Telescopeでスケッチを見た記憶があり、いつかは一部だけでも見てみたいと思っていました。日本ではほぼ天頂付近を通過するため条件は良いハズです。

そこで最高の透明度の夜に南伊豆でこの星雲をNinja-400でチャレンジしてみました。DSSの写真で少しでも濃い部分を狙ってMegaStarの星図と照らし合わせながら、探してみるとかろうじて淡く見える部分を発見。もちろんノーフィルタではまったく分かりません。
プラノキュラー30mmとOIIIフィルタの組み合わせで瞳径7mmとして、かろうじて分かりました。Sky-90でもなんとなくあるような感じですがこれは自信はありません。Ninja-400でかわのさんにも見ていただき、なんとなく星雲状のものがあるのは感じるとのこと。場所はSH2-240でも写真から濃いと思われるGSC1873:935のあたりとGSC1874:453のあたりです。もう見えるというより感じるというほど淡いものでした。DSSでの中心部分は一番濃い部分と思われて眼視でとても淡いながら確認できた部分です。DSSの写真では一番右上の部分も恒星の周りで不均一に光芒が広がっていることから、たぶん星雲だろうと考えています。

決して心眼のつもりではないので、どなたかの追試をお願いしたいところです(^^)/

当日の夜は透明度9/10もしくは10/10というかなり良い空で、この天体に限らずメジャー物はすべて最高の見え方をしていました。瞳径で7mmが使える環境ってオーストラリア以来でした。対日照がふたご座の真ん中あたりに見え、黄道帯が薄っすら分かるという空でした。至福の時間ですね。

DSSでのSH2-240

Sh2240
あまりに大きく全体は直径3,4度もあります。

2006-01-09

とも座の散光星雲SH2-311

とも座は天の川が流れているためか、小さな散光星雲が沢山あります。中でも小口径で見れるお勧めはSH2-311です。場所はとも座の1番星をはさんでM39と対象の位置にありますので、簡単に導入できます。ノーフィルタでも星雲で潤んでいる様子が分かります。

もともと天の川なので星数が多いのですが、この星雲には散開星団が重なっていてそれぞれ次の星団です。

・NGC2467    7.1等    星数50個
・Haffner18    9.3等    星数15個

Ninja-400にOIIIフィルタを付けてみると丸く可愛らしく見えます。この星雲は割りと明るく見える割には紹介されている書籍はありません。干潟星雲を1/3くらいにしたような感じでしょうか。オリオン座と周辺の散光星雲と違い、地味ではありますが、ドブソニアンで特に楽しめる星雲としてお勧めしたいですね。

DSSでのSH2-311
Sh2311

2006-01-01

わし星雲IC2177

わし星雲(Gum 1)は天体写真で有名な散光星雲です。おおいぬ座シリウスの北東7度ほどのところにあります。日本ではわし星雲でわしが羽を広げた姿だとしていますが、アメリカではSeagull Nebulaと呼ばれています。

距離は1820光年で、HII領域が光っています。そのためかHβフィルタで見ると、一番濃く見えます。Sky-90にプラノキュラー30mmの組み合わせると、わしの頭部は淡いのですが、羽と胴体の部分はかなり広がってみえます。OIIIフィルタでも見えますが、バックが暗くなりすぎてHβフィルタのほうが広がりを感じます。バーナードループの明るさより若干明るく感じます。

Ninja-400では全体が淡すぎて、また星数が多すぎてバックの輝きが星雲かどうか見極められませんでした。ただしIC2177の一番南部にあるIC2177の丸い部分はOIIIフィルタやUHCフィルタでハッキリ見ることができます。

DSSによるIC2177

Ic2177

2005-10-14

M42 オリオン大星雲

オリオン座の大星雲M42です。

あまりにメジャーなので投稿しづらいのですが、先日撮影した画像をUpしました。

銀塩・冷却CCD・一眼デジカメなど機材を変えて毎年何度も撮影していますが、未だに満足できる画像を撮れていません。簡単に写るけど奥の深い星雲ですね。

かなりきつい画像処理をしたのでノイズが目立ってしまいました。

M42_1

Canon EOS20Da

Canon NFD300F2.8 + Canon 2Xテレコン

ISO800 4分×3+2分+1分 ノイズリダクションON

中心部分をトリミング

P2Zにてノータッチガイド

富士山新5合目

2005-10-12

NGC2237バラ星雲

いっかくじゅう座のバラ星雲(NGC2237)と散開星団NGC2244です。

普段あまり真っ赤になるような画像処理はしないのですが、この星雲だけは真っ赤に仕上げたくなりますね。

Ngc2237

Canon EOS20Da

Canon NFD300F2.8 + Canon 2Xテレコン

ISO800 4分×4 ノイズリダクションON

中心部分を800x600ピクセルにトリミング

P2Zにてノータッチガイド

富士山新5合目

M1 かに星雲

おうし座のM1かに星雲です。私は、未だにカニに見えたことはありませんけど。。。

フィラメント状の構造を写すにはフィルターが必要そうですね。

今回は、かなり無理な画像処理で少し強調してみました。

M1_1

Canon EOS20Da

Canon NFD300F2.8 + Canon 2Xテレコン

ISO800 4分×3 ノイズリダクションON

中心部分を800x600ピクセルにトリミング

P2Zにてノータッチガイド

2005-10-10

もえる木星雲NGC2024

オリオン座の三ツ星の一番左の星であるオリオン座ζ(Alnitak)のすぐ東にあります。この星を望遠鏡で視野に入れると容易に見つけることが出来ます。この星のすぐ南には馬頭星雲B33がありますので、そちらが有名になってしまいこちらのほうが派手なのにあまり目立ちません。たぶんAlnitakからもっと離れていると、かなり立派なM17くらいに相当する星雲になっていたのだと思います。Alnitakが1.8等級の明るい恒星なので、Alnitakを視野から外してみるとかなり見やすくなります。

望遠鏡の口径が大きくなればなるほど細部が見えてきます。小口径ではなんとか3つに分かれた姿が分かりますが、Ninja-400では複雑な構造が見えてきます。この星雲にはOIIIフィルタが合いますが、全体で暗くなるので燃えている迫力はノーフィルタが一番です。ところで本当に星雲が燃えているわけではありません(^^;;;

アメリカではFrame Nebula(炎星雲)と呼ばれています。日本で木だと言われているのは明らかに天体写真からの影響ですね。言いえて妙ですね。

DSSによる燃える木星雲NGC2024
Ngc2024

ダック星雲NGC2359

晩秋に向けてのお薦め散光星雲です。秋から冬にかけて注目です。場所はおおいぬ座のシリウスとM46,47の中間あたりにあり、形状が非常にユニークです。初めて見たときはちょっと吃驚しました。まるで蜘蛛が足を広げたようです。初めてみたのは7年ほど前ですが、そのときの印象で蜘蛛星雲と呼んでました。
後日、アメリカではダック星雲と呼ばれているのを知り、確かに視野で見ると南北逆転しているので、くちばしを左に向けて走っているあひるのようにも見れます。感性はアメリカ人とは違うのを再確認しました(^^;;
たぶん蜘蛛というとタランチュラ星雲という誰が見ても蜘蛛に見える星雲が南天にあるので、そことの差別化ですかねぇ。

この星雲は最近、ようやく知られるようで読者の天体写真コーナーあたりでよく紹介されます。色は赤だけではなく青も混じっているようですね。眼視では白にしか見えませんが、Ninja-400では複雑な構造が見れます。ムラが見えるというか、IC468のほうの広がりはほとんど見えませんが、4方向に腕なり足が広がっている様子が見事に見えます。私のベスト天体リスト400には入れてます。

DSSによるダック星雲NGC2359
Ngc2359

2005-10-06

カリフォルニア星雲NGC1499(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

写真を撮る方にはメジャーな天体の一つです。色はよく出たのですが、今ひとつもやーっとした感じにしか撮れませんでした。

051001_n1499_5minx4

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx4枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

ペルセウス座二重星団とカシオペア座散光星雲IC1805,IC1848(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

有名なペルセウス座二重星団と近くにあるカシオペア座散光星雲IC1805,IC1848を同一視野にとらえてみました。APS-Cサイズでは135mm付近で画面いっぱいに入ります。画面上部に二重星団h-χ、下部の左側ハート形がIC1805です。

051001_n869n884i1805i1848_5

EF70-200mmF2.8LIS+EOS20Da
感度:ISO800 焦点距離:135mm 絞り:F2.8 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

カシオペア座散開星団M52散光星雲NGC7635(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

カシオペア座の散開星団M52と散光星雲NGC7635のツーショットをねらってみました。

051001_m52n7635_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を50%縮小後、600x400pixelにトリミング

ケフェウス座散光星雲IC1396(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

ケフェウス座μ星ガーネットスターのすぐ南に広がる散光星雲。かなり淡いので感度を上げてみたが、まだ足りませんでした。ガーネットスターの星の色と、散光星雲に暗黒星雲が複雑に入り組んでいる様子は判るかと思います。

051001_ic1396_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO1600 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

ペリカン星雲IC5067(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

北アメリカ星雲を撮るとセットで付いてくるので有名。前回画面に入りきらなかったので再挑戦。

051001_ic5067_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

散光星雲NGC281(写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

051001_n281_5minx6

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を50%縮小後、600x400pixelにトリミング

網状星雲(写真)

05年9月3日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

何とか2つ同時に撮れました。写真では青と赤の網が絡み合った様子がうかがえます。

050903_n6992n6960_5minx5

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx5枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

北アメリカ星雲NGC7000(写真)

05年9月3日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

050903_n7000_5minx6_1

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx6枚コンポジット
全体を縦600pixelにリサイズ

2005-09-24

ハッブルの変光星雲NGC2261

ハッブルの変光星雲と呼ばれるNGC2261を初めて見たのは12年ほど前でした。確かC8で見たのですが、彗星状で吃驚しました。彗星捜索家の木内鶴彦さんに聞くとやはり最初見たときは吃驚したそうです。特に低倍率で見ると彗星と間違ってしまいますね。

この星雲は名前の通り変光することで有名です。いっかくじゅう座Rの光を受けている反射星雲であり、R星が11等から13等に変光することに伴い星雲のほうも変光します。星雲の南の根元にある星がR星で、太陽重量の10倍程度の星でまだ生まれたばかりでたった10万年しか経ってないようです。星雲はR星と同期して変光しているのではなく、R星の前を星雲が横切ることにより幻灯機のように影が動いていると予測されていて、その変化は光速を越えていると騒がれたこともあるとのこと。もちろん、実際には光速を越えているわけではなくさきほどの幻灯機の原理で変化が反映しているだけですね。

ハッブルの変光星雲自体は非常に視直径が小さくて2'ほどしかありません。観望にするにはある程度の倍率が必要ですし、この星雲を見るのは大口径が欲しいですね。星雲の名前から分かるように観測的宇宙論で有名なエドウィン・ハッブルが変光しているのを発見したのです。

また反射星雲でもあるため偏光しています。変光星雲が偏光しているということですね(^^;;;

現代天文学への招待


DSSによるハッブルの変光星雲

Ngc2261
DSSプレートの関係で中心からシフトしています

2005-09-23

馬頭星雲B33

子供の頃、自宅にタイムライフ社の"The Universe"という図鑑があり、その中に馬頭星雲がパロマ天文台の写真ですが、掲載されていました。子供ごころに気持ちが悪い不思議な天体として感じており、心に残っていました。
望遠鏡で星を見るようになっても、まさかあの馬頭星雲が眼視で見れるとは思っても居ませんでした。1980年代末からドブソニアンブームが始まり大口径の望遠鏡を容易にゲットできるようになり、この馬頭星雲が一躍脚光を浴びてきたのだと思います。すでに天体写真としてはオリオン座の中でもM42に続いて有名な場所となっていましたが、見ることに関しては難物だったのだと思います。

私が初めてこの馬頭星雲を見たのはNinja-320を購入してすぐでした。もう10年ほど前でしょうか。当時、Hβフィルタは持っておらずUHCで確認できました。秋口の寒い富士山須走五合目でしたね。見えるかどうか分かりませんでしたが、オリオン座ζ(Alnitak)から20'ほど南にある二つの星をたどり、その西にある星のあたりに散光星雲がうっすら認められると、そらし目テクで見ていると黒く抜けているのが分かりました。感動しましたね。一旦、見方が分かるとUHCフィルタが無くても抜けているのが分かるようになります。位置を知っているのは強いですね。

馬頭の首のくびれがハッキリ分かるのは、Hβフィルタを付けて見たときです。おお、ようやく天体写真と同じように見えたことでこれも感動しました。Ninja-400で最高の透明度の夜にHβを付けて見ると、Hβフィルタの色の影響もあるのかもしれませんが、なんとなく黄色っぽい星雲をバックにして馬頭の姿が見事に浮かび上がります。Hβフィルタはまさにこの馬頭を見るために生まれてきたフィルタという感じですね。用途が少ないので随分リッチですね。本当のリッチフィールドです(^^;;

その後いろんな望遠鏡でこの馬頭星雲を見てきました。最小口径はFUJINON 40x150EDですね。ノーフィルタでしたが、淡い星雲をバックになんとなく黒く抜けているのが分かりました。富士山新五合目での最高の夜でしたね。もちろん雲上でその雲も濃く光害がほとんど無く空気が澄んでいる場合ですね。

ちなみに馬頭星雲はB33という番号が付いていますが、これはバーナードが暗黒星雲をカタログしたものの番号です。他の天体も含め暗黒星雲にはメシエ番号、NGC番号、IC番号は一切付いていません。

DSSでの馬頭星雲B33
B33

北アメリカ星雲NGC7000

はくちょう座α(デネブ)のすぐ傍にあるかなり大きな散光星雲で、天体写真の定番となっています。DeepSky天体として普通は覚えにくいNGCナンバーですが、これは一発で覚えられますね(^^)/

空の透明度が高いと肉眼でも十分見えます。肉眼で見える散光星雲は少ないのですが、その中でも最大のサイズです。他にはM42、M8、エータカリーナ星雲くらいでしょうか。かろうじてばら星雲、M17がなんとなく分かりますが、散開星団とダブって見えているので、それでボーッという感じですね。

一番、好きなのは短焦点屈折にOIIIやLPS-P2フィルタを付けて見た姿で、北アメリカ星雲の全景が視野に入りメキシコ湾の相当するあたりの暗黒星雲との境目はそれは見事です。それにしても吃驚するくらい北アメリカ南部の姿に見ていますね。他ニックネームはありえないくらいです。それにしてもオメガ星雲にしても、北アメリカ星雲にしても人間が創れないようなシュールな絵柄ですね。他にも馬頭星雲、ダック星雲など神々が意思を持って作ったそれも人間に合わせてと誤解しかねませんね。

Ninja-400でフィルタを付けてみると最低倍率でも局部のアップだけになります。やはりメキシコ湾の周りは秀悦です。またこのあたりは散開星団がダブってますので、非常に賑やかでその対比も見事です。

DSSでの北アメリカ星雲
Ngc7000

2005-09-19

冬のくらげ星雲IC443

読者の天体写真等で有名な超新星残骸のIC443です。写真では赤くクラゲ状に写っています。もう6年ほど前の冬の透明度の良い富士山西臼塚駐車場で初めて見れました。確かスタースプリッター45cmとOIIIフィルタの組み合わせだったと思います。眼視では見れないものと諦めていたので見れたときはちょっとした感動でした。
導入は非常に簡単です。ふたご座の特徴的な並んだ星であるμとηの間にあり、淡い星雲ですが位置は分かりやすい場所にあります。

それからNinja-400でも何回も見ていますが、クラゲ状には見えず三日月状というか、ブーメランのように見えます。写真に写っているクラゲの足はさすがに眼視ではまったく分かりませんでした。非常に淡くOIIIフィルタで低倍率にして透明度の非常に良い空で辛うじてという感じでしょうか。Ninja-320では分かりませんでしたので、ここは口径差が現れたものでしょう。
秋から冬にかけては天頂近くに見えますので、冬の透明度の良い空で狙ってみてはいかが。

DSSによるIC443

Ic443

カシオペヤ座の散光星雲NGC281

カシオペヤ座の散光星雲で、割と小口径の望遠鏡も見ることが出来ます。この星雲は不思議でフィルタワークでHβフィルタが一番見栄えや広がりが良くなります。HβがOIIIより見栄えが良い星雲って、他にはカリフォルニア星雲、馬頭星雲、バーナードループくらいしか知りません。高いHβフィルタが役に立つ星雲です。"The Night Sky Observers' Guide"にもこのことは書かれておらずUHCでインプレッションが記載されているだけです。

どうもアメリカではパックマン星雲とか言われているようですが、私には舌を出している提灯のお化けに見えます。モンキー星雲よりも淡いくらいですが、短焦点屈折にしてもドブソニアンしても結構見栄えがする星雲ではあります。

双眼鏡でも空さえよければなんとなく星雲があることが分かります。

DSSによるNGC281
Ngc281

2005-09-13

オリオン座のバーナードループ

天文雑誌の読者の写真コーナーでは定番のバーナードループでしたが、最近では飽きられたのか最近減りました。
名前の由来は、ご想像のとおり天文界では有名なバーナードが1895年に写真により発見したからです。尊敬する藤井旭さんの"全天星雲星団ガイドブック"や浅田英夫さんの"星雲星団ウォッチング"ではこの星雲は眼視では見れないということが書かれていますが、透明度の良い空にHβフィルタを使うと、割と楽に見ることが出来ます。時代の進歩というか眼視の世界も日進月歩なんだと思います。

このバーナードループを見るのには、視直径が長軸のほうで7度以上もあるため、ヌケの良い短焦点屈折が最適です。Sky-90にプラノキュラ(30mm88度)アイピースとHβフィルタを組み合わせるとオリオン座の北部に回りこんでいる姿を見ることが出来ました。南のほうはM42の南緯くらいまで見れます。ただ大変淡く写真で写るM42の下あたりはまったく分かりません。

Ninja-400の最低倍率でHβフィルタを組み合わせると見ることが出来ますが、視野を大きくはみ出してしまい逆に分かりづらくなります。散開星団NGC2112のちょっと南あたりが一番濃く感じます。まずはここを入れてみて周りと比べてみると分かると思います。もちろん使うテクはそらし目です。

バーナードループ自体はもともとは超新星爆発であったのが形状からも見て取れますが、現在は超新星残骸特有のシンクロトロン放射によって光っているのではなくオリオン座の若いOB星により紫外線を受けて光っているようです。それで散光星雲に分類されます。

一度、Hβのみ通過のコンテクトレンズでも作ってオーストラリアにて肉眼チャレンジでもやりたいですね(^^)/ OIIを通すのはありますが。意味が違うか(^^;
どうしてもHβフィルタだと視野が暗くなりますので、ブルーベリーでドーピングですか。

バーナード星雲あたりのオリオン座中心部星図
Sh2276

おうし座のかに星雲M1

栄えあるメシエの1番はこの"かに星雲"です。割と地味な"かに星雲"を1番に選んだということはメシエが彗星と間違えないようにと始めたカタログ作りで、彗星っぽいからでしょうか。M31とかM42では彗星と間違えもないようですしね。

M1は語りつくせないほど薀蓄があるかと思います。私が知っている薀蓄を披露すると。
まずは西暦1054年に現れた超新星の残骸だということですね。昔の本では惑星状星雲となっていたりしますが、あきらかに超新星残骸です。私も古い本でこの天体を知ったのでずっと惑星状星雲だと思ってました(^^;; メシエ天体で唯一の超新星残骸ですね。
超新星の記録は中国と日本に残されており、昼間で23日間、夜間では2年間も見れていたようです。まさに典型的な客星ですね。中国では明るい新星を客星と言っていたそうです。

アカデミックな話では、その超新星爆発の残骸としてM1として知られる星雲とかに星雲パルサーと呼ばれる中性子星が爆発の中心に残されて1969年に発見されています。この中性子星は1秒間に30回転という高速で回転していて灯台のように周期的にX線を含めた電磁波を放射しているそうで、この中心星というか元の恒星は残念ながら眼視では見れそうもありません。

かに星雲自体はあの有名なイギリスのロス卿が今から150年ほど前にスケッチをしてカニの足のようにフィラメントが見れたからとのことですが、そのころから形が変わったのか、あまりカニのようには見えません。ロス卿ほどの大口径で見たことはないので、大口径だとカニ状なのかも。Ninja-400でOIIIフィルタやHβフィルタを使うとなんとなくフィラメントが見れます。筋のように見えてきます。全体の形状はラグビーボールのようですね。Ninja-400でフィラメントを見るためには透明度が良い空が必要です。ちょうどDSSの写真を淡くしたような感じに見えます。

明るいのもありSky-90でも20倍の低倍率で形が分かります。佐渡島のように見えるとの意見もありますが、それほど中央部はくびれて見えないように思います。

・M1        8.4等

2003年1月5日にこのM1の前を土星が横切る珍しい現象が見れました。ちょうど1月5日は天候が悪かったのか見た記憶はありませんが、前日に見ましたが土星がM1に比べてかなり明るく、接近した時点でM1がほとんど見えませんでした。

*参考アストロアーツ:【投稿画像集】土星とかに星雲の大接近を捉えた

DSSによるM1
M1
右端はフィルムの端が写ったもの

この記事は本当はふねさんのネタだと思いますが、ふねさんの薀蓄をぜひぜひお願いしますm(__)m

2005-08-28

三裂星雲M20

M20は暗黒星雲が複雑に入り組み、星雲を3つに大きく切り裂いています。それで三裂星雲(Trifid Nebula)と呼ばれています。Trifidって有名なSFに出てくる歩く植物怪物ですね。Trifidの名付け親はハーシェルだそうです。M20自体の姿があまりにシュール(サイケデリック)なので、キングクリムゾンのアイランドのジャケットに使われたりと、不思議な雰囲気を醸し出す星雲です。

実際には結構淡い星雲で、M8(干潟星雲)が明るいのにこちらは空の状態が悪いと途端に見づらくなります。特に三裂している暗黒星雲の入り組んだ様子はかなり空のよさが必要です。Ninja-400(40cm反射ドブ)で、最高の夜空では、複雑な暗黒星雲の様子は勿論、星雲の色もなんとなく分かります。三裂しているほうが赤っぽく、北の星雲のほうがなんとなく青っぽいのです。最初に色を感じたのは7,8年前の富士山須走五合目ででした。望遠鏡はNinja-320です。

ドブソニアンで拡大して見るのも素晴らしいのですが、大口径の双眼鏡でM8とM20を同一視野に入れて最高の空で見ると、バックの天の川との対比とか非常に素晴らしい眺めとなります。M8に比べるとM20は可愛らしいのですが、そばにある散開星団M21も含めると3度くらいの実視野でダイナミックな眺めです。

もう6年ほど前ですが、ゴールデンウィークの新五合目でNikon18x70IF双眼鏡で見たこの眺めは最高でした。実視野4度の双眼鏡ですが、瞳径4mm弱となり富士山の空の暗さだとジャストフィットという感じです。ちなみに素晴らしい空というのは富士山新五合目で雲上になったときが多いですね。普段は富士市、沼津市、三島市の光害の海の中で南天を見ますので、どうしても雲海が出来ないと南天低くは難しいのです。

M20

2005-08-16

いて座の暗黒星雲 : B86 : Ink Spot

いて座のNGC 6520のすぐ西にある暗黒星雲 B86 :  Ink Spot と呼ばれています。
とてもくっきりしているので、初めて暗黒星雲を見る方には優しい対象です。

   
18 02.7-27 50

双眼鏡や小口径望遠鏡でも存在は確認できます。
散開星団が近くにあるせいでよりはっきりと見える気がします。

この辺りには暗黒星雲が幾つもあるのですが、一般的な星図にはあまり出ていないのであまり知られていないようです。自身もKimataさんに言われるまで探そうとさえしたことがありませんでしたが、それを機に、この辺りの暗黒星雲を幾つか探して辿った事があります。ただ、星雲は星雲でも何も見えないで星雲と呼ぶのは抵抗があります。

dark_b86

2005-08-14

オメガ星雲M17

超メジャー天体です。私は散光星雲の代表と言えば、冬はM42(オリオン大星雲)、夏はこのM17だと思ってます。大きい星雲となればM8とかがあるのですが、その形の見事さ、複雑な内部の構造とかでM17がより見ごたえあるのではないでしょうか。
この星雲をドブソニアンで見ると大抵の人は驚きの声を上げますね。

この星雲はもう最初に見て30年以上経っているので、最初の感想は忘れてしまいました。市街地で見ていたので、ボーッとしか見えなかったのですが、Ninja-320を入手して富士山須走五合目でこの星雲を見たときは、吃驚しました。透明度の非常に良い夜でしたが、白鳥の姿だけでなく尻尾もまるくみえて、Ωの字に見えるんですよね。あとは白鳥の胴体のところが複雑な縞が入り組んで見えて、散光星雲としての複雑な構造は特筆すべきものですよね。
この次に素晴らしいと思ったのは、富士山新五合目のバス駐車場で見出した時に舟田さんの37.5cmドブソニアンでファーストライトの時でしたか、6月の雲上で素晴らしい透明度の夜に見たM17の姿ですね。

場所はいて座とへび座、たて座の境界あたりになります。空さえ良ければ双眼鏡で簡単に確認できます。
南伊豆の最高の夜やオーストラリアでは肉眼でもなんとなく存在が分かりました。バックに散開星団NGC6618もあるから見えたのかもしれません。NGC6618ですが、カタログではなんと星数が660もあります。ただNinja-400でもそんなに見えませんので、微光星が広範囲に散らばっているのでしょう。

DSSの写真では露出を抑えたためか、眼視でドブで見るよりかなり淡くしかM17は写っていません。

M17

2005-08-13

カシオペヤ座のバブル星雲NGC7635

この天体は天文雑誌の読者の写真等では有名な星雲です。赤くて、中心部分が泡のように写る特徴的な星雲ですね。
DSSの写真のようにM52から辿れば簡単に見つかります。Ninja-400にOIIIフィルタを入れてプラノキュラーで最低倍率にして見ると、なんとなく泡の部分も分かりますが、全体的にかなり淡く、透明度の素晴らしく良い空でないと確認するのも困難な天体です。OIIIフィルタの威力が出る天体ですね。
ちなみにこの天体はかなり前から見ていたのですが、泡の部分って見えないものだと思っていましたが、よくよく確認してみると泡が分かるようになりました。集中して見ることは大切ですね。

NGC7635

2005-08-11

白鳥座の散光星雲・散開星団 : IC5146

RA: 21h 53m 24s   
Dec: +47°16' 00"

size 10'
Cocoon Nebula

白鳥座で有名な まゆ星雲・Cocoon Nebula です。写真で見るととても綺麗なんだけど、望遠鏡で見ると写真ほどには見えなくて(当たり前でした)ちょっとがっかりします。でも、期待感が強い分損しているだけで、やっぱり綺麗なんだよね。(^^ゞ

ic_5146

2005-07-19

網状星雲

超メジャー天体ですね(^^)/ 網状星雲ははくちょう座52番星のすぐ近くを流れているものがNGC6960で、大きくカールしているほうがNGC6992です。Ninja-400にOIIIフィルタを入れて複雑なフィラメントを拡大して見るのも素敵ですが、Sky-90で低倍率のリッチフィールドにして、両方の網状を入れて見るのが好みです。両星雲の間のもやもやした感じも良いですね。

昔、Televue-140にプラノキュラーを付けて富士山須走五合目でこの星雲を見たことがありますが、視野の星々がピンポイントで沢山見え、大昔に超新星が爆発した名残だというのを実感した経験があります。素晴らしい眺めでした。

ちなみに口径が小さくてどこまで見えるかですが、5cmの双眼鏡でもOKでした。3cmだと見えているようないないような、今度、双眼鏡でチャレンジしてみようと思います。

NGC6960
NGC6960















NGC6992
NGC6992