2006-01-25

おうし座の超新星残骸SH2-240

おうし座とふたご座の境界あたりにある非常に大きな超新星残骸です。Siemeis 147としてもカタログされています。直径は3度もあり、かなり広がっており、写真でもかなり淡い天体になります。約10万年前に爆発した超新星の残骸が広がっている姿で、広がりは150光年にもなっているそうです。ちなみに距離は3,000光年で網状星雲の約2倍ほど離れていて、実直径は3倍ほどです。

写真では不思議な天体でまさか眼視では見えないと思っていました。ただ昔、米国の天文雑誌のSky & Telescopeでスケッチを見た記憶があり、いつかは一部だけでも見てみたいと思っていました。日本ではほぼ天頂付近を通過するため条件は良いハズです。

そこで最高の透明度の夜に南伊豆でこの星雲をNinja-400でチャレンジしてみました。DSSの写真で少しでも濃い部分を狙ってMegaStarの星図と照らし合わせながら、探してみるとかろうじて淡く見える部分を発見。もちろんノーフィルタではまったく分かりません。
プラノキュラー30mmとOIIIフィルタの組み合わせで瞳径7mmとして、かろうじて分かりました。Sky-90でもなんとなくあるような感じですがこれは自信はありません。Ninja-400でかわのさんにも見ていただき、なんとなく星雲状のものがあるのは感じるとのこと。場所はSH2-240でも写真から濃いと思われるGSC1873:935のあたりとGSC1874:453のあたりです。もう見えるというより感じるというほど淡いものでした。DSSでの中心部分は一番濃い部分と思われて眼視でとても淡いながら確認できた部分です。DSSの写真では一番右上の部分も恒星の周りで不均一に光芒が広がっていることから、たぶん星雲だろうと考えています。

決して心眼のつもりではないので、どなたかの追試をお願いしたいところです(^^)/

当日の夜は透明度9/10もしくは10/10というかなり良い空で、この天体に限らずメジャー物はすべて最高の見え方をしていました。瞳径で7mmが使える環境ってオーストラリア以来でした。対日照がふたご座の真ん中あたりに見え、黄道帯が薄っすら分かるという空でした。至福の時間ですね。

DSSでのSH2-240

Sh2240
あまりに大きく全体は直径3,4度もあります。

2005-10-12

M1 かに星雲

おうし座のM1かに星雲です。私は、未だにカニに見えたことはありませんけど。。。

フィラメント状の構造を写すにはフィルターが必要そうですね。

今回は、かなり無理な画像処理で少し強調してみました。

M1_1

Canon EOS20Da

Canon NFD300F2.8 + Canon 2Xテレコン

ISO800 4分×3 ノイズリダクションON

中心部分を800x600ピクセルにトリミング

P2Zにてノータッチガイド

2005-10-09

M45 (写真)

05年10月1日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

PENTAX 125SDHF+0.72倍リアコンバータ(合成F4.6、合成fl 576mm)+LPS-P1フィルター+Nikon D70
感度:ISO800  露出:5min×4枚コンポジット
RAPにてダーク補正、トーンカーブ補正、カラーバランス補正、ネビュラスムース処理等
横800PXLにリサイズ

051002m45800x533pxl_2

ノーマルD70で赤(Hα)が乏しいので赤い星雲は他の方にお任せです。
他の撮影対象用にフィルターを付け放しにしたのでゴーストが発生しています。

2005-09-16

プレアデス星団M45

この天体を書くのは勇気が要りますね。あまりに有名な天体で、平安時代の清少納言が枕草子の中で「星はすばる...」と詠んで、M45のことを書かれているのが日本では最初のようです。すばるの意味が縛るとか結ぶとかということだそうで、散開星団そのものの意味のようで面白いですね。

もうこの星団を初めて見たのはいつかも分かりません。たぶん小学生になるかならないころ、今よりは随分綺麗な空だった西宮市の空で見たのが最初だと思います。子供の頃はたぶん視力は3.0くらいはあったのでシャープにすばるの6つの星とPleioneも見えてました。視力は2.0までしか計れませんでしたが、2.0の環がハッキリ分かったので3.0くらいはあったのだと思ってます。ただ当時はそれほど暗いところで極限等級チャレンジをしたわけではないので、実際どれだけの星が見れたのかは分かりません。
今この年になっては6つがやっとです。

もう30年ほど前の天文ガイド誌に非常に暗い星が見える人がインタビューされていてM45の場合、55個の星々がカウントできたそうで、スケッチも残されてました。当時は驚愕でしたね。M45の範囲を広く取られてのカウントだったと思いますが、それにしても凄いと思いました。
ちなみにガリレオが彼の望遠鏡でこのM45を見て36個の星を数えたそうです。ガリレオは肉眼で6個しか見えない星々が36個も見えると驚いたそうですが、ガリレオ式で対物径が26mmと16mmの望遠鏡ではやはり厳しかったんでしょうか。

それぞれの星の名前と等級は以下のようになります。個名が付いたものだけです。

・Pleione        5.06等
・Atlas            3.63等
・Alcyone      2.88等
・Merope     4.17等
・Maia            3.88等
・Electra        3.71等
・Taygeta    4.30等
・Asterope    5.77等
・Celaeno      5.46等

またM45はどちらかというと散開星団の中で集合としてまばらな方で、1立方パーセクあたり2.8個の星があり、他の星団との比較ではM11が83個、M36が12個なのに比べるとまばらです。ただヒアデス星団のようにさらにまばらのものもありますから、散開星団にもいろいろパターンがあることが良く分かります。

ギリシャ神話としてはプレアデスの7姉妹だとされ、それでプレアデス星団とも言われています。人間のサガが爆発のギリシャ神話ですが、このプレアデスに関しては生々しい話はなくオリオンに追いかけられているだけだそうです。

このM45を観望するのは、私は双眼鏡か肉眼に限ると思っています。双眼鏡にしても7倍以下のものが良いですね。すばっている姿が倍率を上げてしまうと薄れてしまいます。高性能な双眼鏡でM45を見ているとため息が出ますね。当たり前に過ぎる超メジャーな天体ですが、たまにジックリ見るのも面白いと思います。

ドブソニアンで見る場合はMeropeやMaiaの周りの散光星雲NGC1432,NGC1435(IC349)を楽しんではどうでしょうか。淡くてなかなか気が付かないですが、低倍率で見ると特にMeropeの周りの散光星雲は確認しやすいです。さすがに色までは分かりませんが、OB型の星々の光を反射しているだけなので、OIIIやHβフィルタは逆効果です。ノーフィルタもしくはLPS-P2等の光害カットフィルタが有効だと思います。

明るい散開星団で全等級は1.2等もあります。星々が明るいだけに光学系の優秀さダメさが非常に良く分かる星団でもあります。

・M45        1.2等

DSSによるM45の写真

M45
青い円は視野0.5度

2005-09-13

おうし座のかに星雲M1

栄えあるメシエの1番はこの"かに星雲"です。割と地味な"かに星雲"を1番に選んだということはメシエが彗星と間違えないようにと始めたカタログ作りで、彗星っぽいからでしょうか。M31とかM42では彗星と間違えもないようですしね。

M1は語りつくせないほど薀蓄があるかと思います。私が知っている薀蓄を披露すると。
まずは西暦1054年に現れた超新星の残骸だということですね。昔の本では惑星状星雲となっていたりしますが、あきらかに超新星残骸です。私も古い本でこの天体を知ったのでずっと惑星状星雲だと思ってました(^^;; メシエ天体で唯一の超新星残骸ですね。
超新星の記録は中国と日本に残されており、昼間で23日間、夜間では2年間も見れていたようです。まさに典型的な客星ですね。中国では明るい新星を客星と言っていたそうです。

アカデミックな話では、その超新星爆発の残骸としてM1として知られる星雲とかに星雲パルサーと呼ばれる中性子星が爆発の中心に残されて1969年に発見されています。この中性子星は1秒間に30回転という高速で回転していて灯台のように周期的にX線を含めた電磁波を放射しているそうで、この中心星というか元の恒星は残念ながら眼視では見れそうもありません。

かに星雲自体はあの有名なイギリスのロス卿が今から150年ほど前にスケッチをしてカニの足のようにフィラメントが見れたからとのことですが、そのころから形が変わったのか、あまりカニのようには見えません。ロス卿ほどの大口径で見たことはないので、大口径だとカニ状なのかも。Ninja-400でOIIIフィルタやHβフィルタを使うとなんとなくフィラメントが見れます。筋のように見えてきます。全体の形状はラグビーボールのようですね。Ninja-400でフィラメントを見るためには透明度が良い空が必要です。ちょうどDSSの写真を淡くしたような感じに見えます。

明るいのもありSky-90でも20倍の低倍率で形が分かります。佐渡島のように見えるとの意見もありますが、それほど中央部はくびれて見えないように思います。

・M1        8.4等

2003年1月5日にこのM1の前を土星が横切る珍しい現象が見れました。ちょうど1月5日は天候が悪かったのか見た記憶はありませんが、前日に見ましたが土星がM1に比べてかなり明るく、接近した時点でM1がほとんど見えませんでした。

*参考アストロアーツ:【投稿画像集】土星とかに星雲の大接近を捉えた

DSSによるM1
M1
右端はフィルムの端が写ったもの

この記事は本当はふねさんのネタだと思いますが、ふねさんの薀蓄をぜひぜひお願いしますm(__)m

2005-08-21

おうし座の惑星状星雲 : NGC1514

Magnitude: 10.9
RA: 04h 09m 17s
Dec: +30°46' 35"

Size: 2.2 x 2.2
中心星 9.4 等

とても明るく、大きく、中心星も楽しめる惑星状星雲です。

惑星状星雲で有名な対象ではないのですが、何故有名にならないのか不思議なくらいに比較的小さな口径の望遠鏡でも楽しめる対象です。クリスタルボールというような細かな構造までは見えませんでした。

Crystal Ball Nebula の愛称があります。

ngc_1514