オリオン座の三ツ星の一番左の星であるオリオン座ζ(Alnitak)のすぐ東にあります。この星を望遠鏡で視野に入れると容易に見つけることが出来ます。この星のすぐ南には馬頭星雲B33がありますので、そちらが有名になってしまいこちらのほうが派手なのにあまり目立ちません。たぶんAlnitakからもっと離れていると、かなり立派なM17くらいに相当する星雲になっていたのだと思います。Alnitakが1.8等級の明るい恒星なので、Alnitakを視野から外してみるとかなり見やすくなります。
望遠鏡の口径が大きくなればなるほど細部が見えてきます。小口径ではなんとか3つに分かれた姿が分かりますが、Ninja-400では複雑な構造が見えてきます。この星雲にはOIIIフィルタが合いますが、全体で暗くなるので燃えている迫力はノーフィルタが一番です。ところで本当に星雲が燃えているわけではありません(^^;;;
アメリカではFrame Nebula(炎星雲)と呼ばれています。日本で木だと言われているのは明らかに天体写真からの影響ですね。言いえて妙ですね。
子供の頃、自宅にタイムライフ社の"The Universe"という図鑑があり、その中に馬頭星雲がパロマ天文台の写真ですが、掲載されていました。子供ごころに気持ちが悪い不思議な天体として感じており、心に残っていました。
望遠鏡で星を見るようになっても、まさかあの馬頭星雲が眼視で見れるとは思っても居ませんでした。1980年代末からドブソニアンブームが始まり大口径の望遠鏡を容易にゲットできるようになり、この馬頭星雲が一躍脚光を浴びてきたのだと思います。すでに天体写真としてはオリオン座の中でもM42に続いて有名な場所となっていましたが、見ることに関しては難物だったのだと思います。
私が初めてこの馬頭星雲を見たのはNinja-320を購入してすぐでした。もう10年ほど前でしょうか。当時、Hβフィルタは持っておらずUHCで確認できました。秋口の寒い富士山須走五合目でしたね。見えるかどうか分かりませんでしたが、オリオン座ζ(Alnitak)から20'ほど南にある二つの星をたどり、その西にある星のあたりに散光星雲がうっすら認められると、そらし目テクで見ていると黒く抜けているのが分かりました。感動しましたね。一旦、見方が分かるとUHCフィルタが無くても抜けているのが分かるようになります。位置を知っているのは強いですね。
馬頭の首のくびれがハッキリ分かるのは、Hβフィルタを付けて見たときです。おお、ようやく天体写真と同じように見えたことでこれも感動しました。Ninja-400で最高の透明度の夜にHβを付けて見ると、Hβフィルタの色の影響もあるのかもしれませんが、なんとなく黄色っぽい星雲をバックにして馬頭の姿が見事に浮かび上がります。Hβフィルタはまさにこの馬頭を見るために生まれてきたフィルタという感じですね。用途が少ないので随分リッチですね。本当のリッチフィールドです(^^;;
その後いろんな望遠鏡でこの馬頭星雲を見てきました。最小口径はFUJINON 40x150EDですね。ノーフィルタでしたが、淡い星雲をバックになんとなく黒く抜けているのが分かりました。富士山新五合目での最高の夜でしたね。もちろん雲上でその雲も濃く光害がほとんど無く空気が澄んでいる場合ですね。
ちなみに馬頭星雲はB33という番号が付いていますが、これはバーナードが暗黒星雲をカタログしたものの番号です。他の天体も含め暗黒星雲にはメシエ番号、NGC番号、IC番号は一切付いていません。
オリオン座の右肩(向かってなので左のほう)のベテルギウスの左上の星であるμのほんのすぐ傍28"のところにある惑星状星雲です。13.9等と暗く輝星の傍なので確認するだけでも大変です。
Ninja-400ではOIIIフィルタを付けてかなり300倍以上の高倍率にすると輝星の傍で丸く淡くAbell12が可愛く見れます。スパイダー等の光芒に邪魔されないように注意が必要です。初めて見たのはもう3年ほど前でしたが、ちょっとした感動でした。
とにかく導入が超簡単なことと形状が丸く見えて面白いことから、お勧めです。どうしてもシーイングと透明度のよさが求められます。秋から冬に掛けてのしばれるくらいの寒い夜にいかがでしょうか。
天文雑誌の読者の写真コーナーでは定番のバーナードループでしたが、最近では飽きられたのか最近減りました。
名前の由来は、ご想像のとおり天文界では有名なバーナードが1895年に写真により発見したからです。尊敬する藤井旭さんの"全天星雲星団ガイドブック"や浅田英夫さんの"星雲星団ウォッチング"ではこの星雲は眼視では見れないということが書かれていますが、透明度の良い空にHβフィルタを使うと、割と楽に見ることが出来ます。時代の進歩というか眼視の世界も日進月歩なんだと思います。
このバーナードループを見るのには、視直径が長軸のほうで7度以上もあるため、ヌケの良い短焦点屈折が最適です。Sky-90にプラノキュラ(30mm88度)アイピースとHβフィルタを組み合わせるとオリオン座の北部に回りこんでいる姿を見ることが出来ました。南のほうはM42の南緯くらいまで見れます。ただ大変淡く写真で写るM42の下あたりはまったく分かりません。
Ninja-400の最低倍率でHβフィルタを組み合わせると見ることが出来ますが、視野を大きくはみ出してしまい逆に分かりづらくなります。散開星団NGC2112のちょっと南あたりが一番濃く感じます。まずはここを入れてみて周りと比べてみると分かると思います。もちろん使うテクはそらし目です。
バーナードループ自体はもともとは超新星爆発であったのが形状からも見て取れますが、現在は超新星残骸特有のシンクロトロン放射によって光っているのではなくオリオン座の若いOB星により紫外線を受けて光っているようです。それで散光星雲に分類されます。
一度、Hβのみ通過のコンテクトレンズでも作ってオーストラリアにて肉眼チャレンジでもやりたいですね(^^)/ OIIを通すのはありますが。意味が違うか(^^;
どうしてもHβフィルタだと視野が暗くなりますので、ブルーベリーでドーピングですか。