2005-10-10

アンドロメダ大銀河M31

あまりにも有名で超メジャーな天体M31です。もう生まれて何回見たかもわからないくらい定番の銀河です。たぶん小学生の頃、初めて見たんだと思います。光害が多少あってもボーッとした姿が肉眼でも見れます。

アンドロメダ銀河の観望の歴史を語るには私は知見が不足していますが、恒星の輝きではないことはすぐ分かり雲のようですので、有史以前より人間は単純な星ではないことは理解していたのではないでしょうか。記録としては10世紀にあるようです。

アンドロメダ銀河までの距離を求めたのは、有名な話ですがハッブルがウィルソン山天文台にあった当時世界最大口径の2mの反射望遠鏡で、ケフェイドなる変光星を利用して距離を推定して銀河系内の天体ではないことを証明したことですね。ハッブルの大きな成果の一つかと思います。認識を銀河系から宇宙に広げたという意味で偉大な成果ですね。

M31をどの望遠鏡で見ると素晴らしく見えるかについては種々意見があるかと思います。私も悩んでしまいますが、今まで見た姿ではFUJINON40x150EDで見た視野一杯に広がるM31かEMS双眼望遠鏡でNagler-22mmでの見かけ視野82度に広がるM31が強烈に印象に残ります。Ninja-400などのドブソニアンでは視野を大きくはみ出してしまいます。Ninja-400でM31を味わうとするとM31の中に点在する天体となってしまいます。たとえばM31の暗黒帯の複雑な様子はNinja-400ならではの見え方です。低倍率の双眼鏡や双眼望遠鏡で見るM31は淡い部分まで見えて、写真でみるM31そのものです。視野では2度ほどの広がりがあり、M32とM110(NGC205)を従え、これぞ銀河という姿でしょうか。ちなみにNinja-400では感じたことはないのですが、76cmドブソニアンでM31を見た人の話では銀河中心核はピンクに見えるそうです。一度見てみたいものですね。

Ninja-400などのドブソニアンではM31内部の球状星団を見るのも一興ですよ。DSSの写真に15.0等級より明るい球状星団をプロットしています。9個ほどあります。昔、チャレンジしたところ、以下のものを見ました。ただしG1はM31よりの離角が大きく別の記事にしています。

アンドロメダ銀河の巨大な球状星団G1

・G1              13.7等
・G213        14.6等
・Bol119      12.3等

上記は恒星のように見え、シーイングが良くなかったのもあり、G1以外は球状星団のようには見えませんでした。またシーイングの良い時にチャレンジしてみようと思います。

またM31にはKnotと呼ばれる星の密集した銀河の腕部分が見られます。有名なところではNGC206であり、天の川で言えばスタークラウドのようなものでしょう。M31は銀河系と比較すると直径が倍のサイズの銀河で、すぐ隣にある銀河ですので銀河の構造がよく分かるわけですね。

DSSによるM31クローズアップ
M31

2005-10-09

アンドロメダ星雲M31(写真)

05年10月6日、富士山富士宮口新五合目で撮影。

小口径から大口径まで、すべての望遠鏡で楽しめる天体です。もちろん富士山五合目では肉眼でも確認できます。左側の丸い伴銀河はM32、右下にちょっと離れているのはM110です。

051006_m31_5minx7

NFD300mmF2.8L+純正FD-EOSコンバータ(x1.26倍、378mm)+EOS20Da
感度:ISO800 絞り:F4 露光:5MINx7枚コンポジット
全体を横600pixelにリサイズ

2005-09-19

NGC507とその周りの銀河群

NGC507と傍に群れる銀河群は特にカタログはされていません。場所としてはアンドロメダ座β(Mirach)とM33のちょうど中間あたりになり、導入は分かりやすい場所にあります。たまたま同一方向に銀河が集まっているのかもしれません。渦巻銀河が多いのもたまたま同一方向なのかなと思わされます。

Ninja-400を使いNGC507を中心として視野1度の範囲で17個の銀河をカウントできました。意外と良く見えるのでお勧めしたいと思います。以下にNGC507を中心とした時の視野0.5度の範囲の銀河をリストします。

・NGC507    11.2等
・NGC504    14.0等
・NGC499    12.1等
・NGC494    13.8等
・NGC508    14.1等
・NGC501    14.5等
・IC1689    14.7等
・IC1690    14.9等

DSSによるNGC507と銀河群

Ngc507

アンドロメダの銀河団AGC262

秋は春と同じく銀河が見やすい季節です。特に春はなかなか透明度が良い日が少ないことや天候不順で秋の夜長が銀河が楽しむには最適でしょう。
その中でも幾つか目立つ銀河群/銀河団があります。このAGC262は密集度は高いほうではありませんが、13等級ぐらいの銀河も幾つかあり、割と見やすい銀河団です。

場所はアンドロメダ座とさんかく座の境界近くにあり、明るい散開星団NGC752のすぐ近くにあるため導入は容易です。NGC752から2度ほど南西に行った場所にあります。一般的な銀河群/銀河団は楕円銀河が多いのが普通ですが、このACG262は渦巻銀河が多いことが特筆できます。ただ渦巻銀河は多いのですが、Ninja-400ではいかんせん暗い銀河であるために渦巻ということは分かりません。
まばらな銀河団とは言え、中心部には0.5度の視野で8個の銀河が群れていてかなり見ごたえがあります。
Ninja-400ではこの銀河団の銀河として40個ほどカウントできました。中心部の銀河としては以下のものをリストします。

・NGC703    13.2等
・NGC704    14.1等
・NGC705    14.6等
・NGC708    13.7等
・NGC709    14.2等
・NGC710    14.3等
・NGC714    13.1等
・NGC717    13.8等

銀河の明るさからはペルセウス銀河団とほぼ同等の銀河団と言えると思います。

DSSによるAGC262

Agc262
中央部の青の円は視野0.5度の円

2005-09-15

アンドロメダ座βのすぐ傍の銀河NGC404

アンドロメダ座β(Mirach)は、DeepSky観望での要の星だと思います。この星の周りにはM31やM33などのメジャー天体や銀河群/銀河団などが多く、銀河巡りの目印になる星です。この星のすぐ傍にNGC404の渦巻銀河ありますが、Ninja-400では渦巻というよりも楕円銀河のようです。

アンドロメダ座βとNGC404の角距離は7'ほどであり、よく見ないとβ星のゴーストと間違えてしまいます。200倍以上の倍率をかけたほうが良く分かります。

昔、Sky & Telescope誌で彗星捜索家でも有名なレビーが、お気に入り10天体に選んでいた天体ですが、なかなか通好みの天体なようです。

導入が超簡単ですので一度お試しあれ。DSSではβ星の明かりが強烈で、光芒に消されてしまっています。

DSS写真によるNGC404
Ngc404

2005-09-05

NGC891と周りの銀河群

NGC891はパロマ写真集で有名なエッジオン銀河です。エッジオン銀河で典型的なものの一つです。暗黒帯が見事に横一直線に入り、Ninja-500(50cmドブソニアン)で見たNGC891はシーイングも良かったせいか、暗黒帯が波をうっている様子まで分かりました。

この銀河は面積あたりの光度は低いようで、透明度が悪い空だと悲しいくらいに見えなくなります。暗い空と透明度が必要ですね。実視等級10.8等よりも暗く感じます。12等級くらいの感じでしょうか。視直径は14.3'x2.4'となっていて長さは満月の半分もあるのですが、エッジオンの面目躍如で幅は直径の1/7です。非常に均整の取れた銀河ですね。

・NGC891        10.8等

この銀河の形、大きさとも銀河系に非常に似ていて銀河系を横から見たようだと言われています。そう思いながら見てみるのも一興ですね。

さらにこの銀河の傍には0.5度ほど離れた場所にAGC347という銀河群があります。総じて13等級よりも暗いので、地味な銀河群ですが、NGC891の近くにあるため導入は容易です。ぜひ大口径ドブをお持ちの方はチャレンジしてみてはいかがでしょう。
Ninja-400では銀河として12個が数えれました。秋には天頂付近に来て意外とよく見える銀河群だと思います。

NGC891と傍の銀河群AGC347
NGC891
*表示の銀河は確認できたもの

2005-08-18

アンドロメダ座の惑星状星雲 : NGC7662 Blue Snowball 青い雪だるま

Magnitude: 8.3
RA: 23h 25m 54s
Dec: +42°32' 08"

Size: 0.6 x 0.6

青い雪だるまという愛称で有名なNGC7662です。

30cm以上で500倍くらいの倍率で見ると、二重のドーナツ構造のような感じが見えてきます。雪だるまという表現よりはふわふわボールという感じがします。
真ん中が少し周囲よりも暗い様子が見えると思います。

とても明るいので、色も緑っぽい青に見えると思います。秋の惑星状星雲はこれからスタートでしょう。

ngc_7662

2005-08-01

アンドロメダ銀河の巨大な球状星団G1

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の写真で有名な、お隣の銀河であるアンドロメダ銀河の球状星団です。この球状星団は銀河系最大のオメガ星団より大きく、ローカルグループ最大で明るいものです。

この球状星団を見るためには空の透明度もさることながら、シーイングも必要です。なにせ視直径がMegaStarだと30"ですが、実際に見えるところは10"もありません。倍率も最低でも200倍でなんとか見えてきます。お供の星は実際には銀河系内の星ですが、M13を低倍率のファインダで見たような見え方です。

もう8年ほど前ですが、Ninja-320でHSTで有名なこの星団が見えるかどうか分からないのですが、チャレンジしてみました。意外や意外、結構見えたので吃驚しました。それもG1のところは滲んだような感じで、球状星団を彷彿とさせました。確か寒い富士山須走五合目でしたが、シーイングと透明度がかなり良い秋の空でした。
海外も含め、当時紹介されたものは無かったのですが、今や定番に加えても良いと思いますね。遥か200万光年も離れた球状星団がアマチュアの望遠鏡で見えるわけですから。

このG1はアンドロメダ銀河の傍に見えるわけではなく銀河の中心から2度も離れています。それも珍しいようです。

試しに銀河系で最大の球状星団オメガ星団(NGC5139)を、アンドロメダ銀河の位置まで持っていくとどうなるでしょうか。オメガ星団までの距離は17,000光年、等級は3.9等です。アンドロメダ銀河までは2,900,000光年なので、距離で約170倍となり、天体は距離の自乗で暗くなりますので、オメガ星団は11等ほど暗くなります。つまり15.0等級で見えるハズです。G1の等級は13.7等なので、G1のほうがやはり明るいのですね。1.3等違うと3倍程度明るいことになります。
ちなみに視直径で考えるとオメガ星団は55'(MegaStarでかなり周辺までカウントされてます)で、0.32'となり、G1の0.5'よりやはり小さくなります。南天で見るオメガ星団を想うとこのG1をぜひ近くで見てみたいものです。

視野1度で見たG1(三角形の形が分かります)

G1-1

視野10'で見たG1(三角形の頂点にG1は見える)

G1-2

導入チャート(M32から簡単導入)

P050801_024115

HST画像によるG1

m31gc1