5/3はGW後半に入ったのもあり、当クラブメンバーが集まりました。富士山新五合目での最高の空を堪能して彗星、月、惑星、二重星、星雲・星団と楽しめました。以下、参加メンバーのインプレッションです。
夕方の新五合目から見る雲海...素晴らしい
*kimataさんご提供 機材:NikonD70S
AFNikkor24㎜F2.8 露出:オート
新五合目到着直後の富士宮方面の雲海。
観望会の様子...濃い天の川がモクモク凄い空
*kimataさんご提供 機材:NikonD70S DXNikkor10.5㎜/F2.8→絞り:F4
露出3分 固定撮影 ISO800相当 ノイズリダクションON
対角魚眼で撮影した26時頃の空です。
kimataさんの観望記
現地到着は18時ジャストで私が一番乗りでした。御殿場市内から見る富士山は麓付近が雲に覆われ、ちょうど五合目辺りから上が見えている状態で、太郎坊入口を過ぎた辺りから雲の中に突入、水が塚公園の辺りでは小雨がパラついており、五合目スカイライン進入後もずっと雲の中状態で少しハラハラさせられましたが、五合目まであとヘアピンカーブを二つほど残した辺りでようやく雲の上に出て、頭上には素晴らしいスカイブルーの空が広がっていました。先日の五合目開きの時とは打って変わり、風もほとんどなく快適でした。
この日は重星目的でSchwarz150/F8を持参しましたが、最初はRadian6㎜で月齢6の月に筒先を向けターミネーターを中心に流しましたが、いきなりそのシーイングの良さに目を疑いました。こうなると広角アイピースの方が面白いのは言うまでもなく、UW8.8㎜+×2パワーメイト280倍の組み合わせで見ても、ほとんど揺らぐ事のない像が見えています。丹星のI君が冗談半分で×4パワーメイトに換え、この筒ではこれまで経験のない560倍で見ても、光度は落ちるものの破綻の少ない像が見えていました。ちょうどティオフォルスが夜明けを迎えるときで、中央火口が二つに割れている様子や、リンクルリッジなどが大変明瞭に見えました。
同じ倍率で土星を見るとさすがに像が崩れ気味になるものの、450倍まで下げて?見ると、エッジの際立った素晴らしい輪郭、ここ数年傾きが小さくなり全周が見辛くなったカッシーニも余裕でOK、C環も明瞭に見えました。A環を集中して見ると一筋の影も見えています。多分見えた位置からみてエンケミニマムだと思いますが、15㎝で偽エンケが見えたほどだから、
相当の好シンチレーションであったと言えますね。Ninja320で見た土星も大口径の能力を余すことなく発揮してましたね。Ninjaでは本物のエンケも時折見えていたような気がします。月、土星とも、同行の仲間全員でアイピースにかぶり付き状態で見てましたよ。
そのあとも好条件を生かして、難物のアンタレス他、角距離1″前後の重星を幾つか見ましたが、どれも確実に分離して見えました。
残念ながら夜半頃からシンチレーションがやや低下し、200倍まで倍率を下げて見る時間が増えましたが、その分月没と共に透明度が上がり、頭上の天の川のモクモクが大変色濃く見えていました。酒好きの私が序盤からほとんど酒を控えてひたすら走り続けた事もあり、夜半からは椅子に腰掛け双眼鏡中心の天の川ライン下りに切り替えましたが、その時の様子は筆舌に尽くし難い眺めとしか書けません。
富士山にはこれまで何度も通いましたが、皆さんのインプレにもありますが、私的には透明度もさることながらシンチレーションが抜群に良かったことが特に印象的でした。
私は普段からシーイングを見る時、ピッカリングシーイングスケールと言うものをひとつの目安にしています。
http://uk.geocities.com/dpeach_78/pickering.htm
レイティング10/10と言うのは理論上の話と言いますが、この日の富士山は夜半前までに限定すれば、9.5/10を付けてもよいと思いました。シーイングに限った事ですが、これまでの星見経験で過去の私のベストは、ハチベーさんと一緒に参加した2000年清里スターフェスの時でしたが、この時は当時星ナビの川口編集長が体験した事のない空だと言っていました。今回の空はそれと双壁だったと断言できます。
以上、我々のフランチャイズである富士山も、条件次第ではまだまだ一級の空を見せてくれるなあ、とつくづく感じた観望会でした。数年ぶりにお会いした星くりさんが同行された小5のお嬢さんの礼儀正さもとても印象的であったと付け加えておきます。
岡崎さんの観望記
快晴・微風・全面雲海・・・本当に素晴らしい空でした。自分的にはこの場所でのNo.1と言えます。おそらく、私のような月一スカイウォッチャーにとっては、何年かに一度の僥倖でしょう。
昨日は18:30ごろ町田の自宅スタート、御殿場のいつものセブンイレブンで三原さんと遭遇、麓は晴れていましたが、水ヶ塚の手前あたりから2合目くらいまで濃いガスで、kimataさんの雲海写真は見てましたが、若干の不安を持ちつつ先を急ぎました。しかしそこを抜けると下界とは別世界の「雲上の楽園」が待っていました。そこは、雲海・微風・快晴の絶好のコンディションでした。ただ西天高く月が輝いていましたが・・。5合目到着は20:30ごろだったでしょうか。すでに、古屋さん、kimataさんとお仲間数名が来ておられました。
自筒の筒内気流が収まるまでの間、とんでもないものをkimataさんとお仲間の方に見せていただきました。まずは、Ninja320で480倍の土星・・エンケが見えた(と思います)。次にkimataさんのシュワルツ150で600倍の月面・・何とかという珍しい地形(月面は皆目わかりません)等々、この倍率でも揺らぎが非常に少なくシャープな月面でした。透明度は言うに及ばず、抜群のシーイングに感動。ありがとうございました。
自筒でまずはSW3彗星。C核、B核を即確認、B核が3日前に比べてだいぶ増光している様子です。ヘルクレスの胴体を隔てて2つの彗星が長大な尾を引いて天空を行く姿は圧巻でしたね。特にB核はM13とファインダーで同一視野に入り、宇宙の奥行きを感じさせてくれました。目的にしていた「G核」の探索ですが、予報位置には影も形もありません。夜更けに天頂の最高の状態でも全く確認できませんでした。消滅したのか?暗すぎたのか?(・・情報がありましたらお願いします)
月没直後の0:30ごろ、いつもの「ジュボボボボ・・」の爆音とともに安田さん登場。え、こんな時間に・・。「今日はさすがの安田さんもMLへの書き込みも無かったので、お休みか?」と皆で噂していたところでしたので吃驚しました。やはり、安田さんの観望に対する飽くなき執念と嗅覚には脱帽です。
それからの3時間は至福の時でした。安田さん、星くりさん、關さんらとともに最高の空でのDSO観望(メシエハーフマラソン??)も十二分に堪能しました。M51,M101、M100などのフェイスオン銀河は、すべてファインダーで視認できましたし、腕が絡みつく素晴らしい眺めでした。また、M64 の黒目が320で直視で楽々見ることができました。その他メジャーどころは全て嘗め尽くしました。言うことなしです。
まさしく今回は遠征観望の醍醐味を味わわせてもらいました。これからは、南天が抜群の南伊豆と雲上の5合目と・・どちらにするか悩みそうです。
では、皆さんまた次回。
古屋さんの観望記
Kimataさんの写真に急かされて、いつになく早めの出発でした。
いつも十里木経由で向かうのですが、西臼塚当たりから雲の中に突入しました。
ところが登山道に入ってすぐの高鉢駐車場当たりで視界が晴れてしまい、これは雲海は望めないかなと思ってました。バス駐車場に着いたときには、非常に綺麗
な月が出てまして、透明度も良さそうです。下界を見ると心配とは裏腹に見事な雲海。挨拶もそこそこにセッティング開始です。
最近はオートガイド撮影にはまってまして、セッティングも時間がかかります。最初の撮影対象は、3月末に絞りを入れずに撮って失敗したM51を撮りまし
た。1,2枚目はよかったのですが、20分露光した3枚目ぐらいから甘い画像になってました。いつもこんなものなのでレンズのせいだと思ってましたが、帰
宅してから見比べると明らかに2枚目まではよく撮れてます。どうやら温度変化によるピント移動があるようです。
月も沈んで、素晴らしい星空になったので、今回の目玉の彗星撮影に入りました。最初簡単に導入できるかと思ったのですが、手動では難しそうでしたので、岡
崎さんに軌道要素データをいただいて、スカイセンサーで導入しました。C核の撮影に入ったのですが、ここで謎のガイドエラーの発生。結局まともには写せま
せんでした。残念。三原さんよりアドバイスをいただき、どうやら赤道儀のバランスのせいだということで、とりあえずウエイトを調整して次の対象を狙いま
す。B核は残念ながら天頂付近で導入が難しく、2階ほどチャレンジしましたが見つからずに諦めました。(家で確認したら1回目の写野に入っていました。も
うちょっとよく探すんだった。)
しょうがないのでメジャーどころのM8とM20を撮影。高度が低いので、光害が少ない今日がチャンスです。何とか薄明開始までに3ショット撮って撮影を終了しました。
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しかし、ガイドマウントを一つ取り替えただけでこんなに苦労するとは。オートガイドは奥が深いです。唯一の成功作を
http://furuya00.hp.infoseek.co.jp/
の掲示板に貼っておきました。昨年の10Dと比べると色の出方が全然違いますね。空がよかったのでコントラストを稼げたのも効いているかと思います。とりあえず一枚だけでも撮れたので、ホッとしてます。
星くりさんの観望記
久しぶりのまとまった休日のため、5/3の昼過ぎから実家に帰省していました。このところの仕事疲れがたまっておりちょっと迷ったのですが、みなさんからのSW3観望メールに触発され5/3夕方に出動を決めました。出がけ直前に小3の長女が「ついて行く!」と言うので連れて行くことにしました。東名高速は渋滞もなく快適に御殿場まで走り抜けましたが、水が塚辺りから濃霧に突入して10m先が見通せずスピードダウンしました。濃霧(雲)を抜け、道路脇の鹿をよけ、新五合目に到着したのは22時頃でした。
雲上快晴ほぼ無風の好条件の割には星見屋サンは比較的少ない印象です。それでもバス駐車場に10数名いたのでまっすぐ入って北側正面に駐車しました。気がつくと隣にいるのは岡崎さんでしたのでご挨拶さしあげたところ、すでにセッティング済みのNinja320で木星・土星を見せてくれました。長女はNinja320を見て「まるで大砲のようだ。」と喜んでいました。そうしているところへKimataさんがわざわざご挨拶にいらっしゃって下さり、Schwarz150で400倍超でも像に崩れのこない最高の状態だと教えてくれました。長女と一緒に丹星の方々にSchwartzで惑星・月巡りをさせていただいているうちに、月が沈んで新五合目最高レベルの漆黒の星空が訪れたのです。(^0^)v
SW3彗星はすでに天頂近くに高く昇っているはずです。三原さんや古屋さんへのご挨拶もそこそこに(失礼!)自分の機材を準備して、目標位置を岡崎さんにレクチャーしてもらい照準をSW3に合わせました。(今回の機材は宮内10cm双眼とEOS kiss-D搭載のスカイメモです。)C核は肉眼でなんとか確認できましたが、B核はギリギリ・・・?の印象です。ふたつの分裂核とも双眼鏡を使うと1.5-2度くらいの尾を見せたきれいな姿で、特にB核はM13と同一視野に並んでなんとも見ていて飽きない姿でした。宮内双眼鏡ではだいぶ拡大されて結構立派な彗星らしい姿を見せてくれます。G核はどうやっても確認できず、写真に撮ることもできませんでした。
今回はスカイメモで久しぶりの星野撮影にもチャレンジしましたが、木星でのオートフォーカスピント+極軸も適当の放置自動ガイド撮影なので、出来上がりはピンボケ+ブレのため拡大には耐えない仕上がりでした。それでもSW3やモクモク天の川が簡単に写るので調子に乗って撮影し続け、まじめにやっている三原さんの周りをウロウロしてしまいました。m(_ _)m
ひととおり撮影に飽きてから、宮内双眼鏡でSW3のC・B核をスケッチしました。隣では遅れて到着した安田さんと岡崎さんがNinja対決をしていたために、ついつい気になりその都度スケッチを中断してのぞかせてもらう始末でした。(^_^ゞ M51の二重~三重の渦巻、LPSフィルターのみで見る網状星雲の立体感など、いつもながらおかげさまでいろいろと楽しませていただきました。S状星雲を見損なってしまったのはちょっと残念でした。
ところで長女はと言うと、關さんのお子さん(小3の男の子)と一晩中遊んでいて、驚いたことに結局帰るまで一睡せず楽しんでいたようです。そして時々は望遠鏡や双眼鏡をのぞいて結構喜んでくれました。(^0^)v しかしそれでもさぞや疲れたことだろうと思い、薄明が始まったのを機に機材を片づけて挨拶もそこそこ先に失礼いたしました。帰宅後に爆睡したのは言うまでもありません。11時に長女が起き出していったにもかかわらず、午後2時頃まで寝てしまいました。
Kimataさんには、長女の礼儀が正しいなどとほめられて恐縮いたします。關さんのお子さまと遊んだりして結構楽しかったようで、家で吹聴したために次男が「次は僕も行く!」と張りきっています。そうなった場合にはご迷惑おかけしないように注意しなければ・・・!
シュワスマン・ワハマン彗星C核
*星くりさんご提供 機材:EOS kiss Digital EF200mmF2.8 露出3分
シュワスマン・ワハマン彗星B核
*星くりさんご提供
機材:EOS kiss Digital EF200mmF2.8 露出3分
観望会での天の川
*星くりさんご提供
機材:EOS kiss Digital EF28-105F3.5-4.5(F3.5) 露出3分
安田の観望記
kimataさんの携帯メールの雲海に誘われて急遽出動しました。出動が23:00で到着0:30超特急です。雲海や雲上の言葉に弱いこのごろです。
ガスは自衛隊基地のあたりから、七曲駐車場の一段下の道あたりまででしたが、結構濃かったですね。到着すると吃驚の空で、透明度は抜群だった昨日5/2を軽く凌いでいるのが分かりました。完璧な雲海で南天でいつも苦労する東海地方の光害がほとんどありません。いて座のあたりの天の川の濃いこと。複雑に入り組む暗黒星雲は昨日を越えてます。
シーイング7/10、透明度10/10ちゅうかんじですね。もう数え切れないくらい新五合目には行ってますが、ベスト10には入りますね。
肝心の彗星は、B核が明るくなって、C核より若干暗くなった感じで、分裂している様子は見えませんでした。C核の核が尾の方向に延びている感じが異様といえば異様。二つの彗星はまさに鯉のぼりという感じですね。肉眼でチャレンジしたところ、最高の空のためか両方ともなんとか分かります。B核は昨日よりもかなり増光のだと思います。比較のためにM13は楽勝で見えましたが、M13よりは両方暗い感じなので、C核の光度増加がほとんど無かったのでしょうか。
他、岡崎さんのNinja対決をば、メシエ天体を順に行いました。たぶん見慣れてない人でないと、それほど差が分からないかもしれませんというのが結論です。いつもそうなっちゃうのですが、逆に見慣れている人なら気になるハズ。ははは。シーイングが良いので幾つか銀河を見ましたが、中心核が綺麗に光ってます。NGC6946とNGC6939の銀河と散開星団のナイスペアはエッジオン銀河の腕がM101のようにちゃんと見えて、良い空なのを証明してました。M57の中心星もピカッと見えて、難物のS字状暗黒星雲も見える空でした。M51の濃淡がハッキリ分かる腕をまくArp銀河も特別な見え方ですね。
そんなこんなで至福の3時間を過ごせました。丹星の皆さん5,6名と我々と、手前奥の何人かでミニオフ状態でしたね。それにしても完璧な雲海は薄明が始まっても続いていて、下界を眺めると見渡す限りの雲海が広がり勇壮な気分でした。こりゃ、標高低いところは全滅だったと思える標高のメリットを感じた観望会でした。
明け方の気温は-2.5度、風はほぼ無風。風さえなければ大丈夫ですね。
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